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治療と仕事の両立支援

印刷用ページを表示する掲載日2023年3月30日

【目次】

 

現状と課題

現状

 広島県では,平成30年に約2万2千名の方ががんと診断されており,その内約23%にあたる5,242名が就労世代(15歳~64歳)の方でした。

平成30年全国がん登録における広島県の年齢階級別がんり患者数の折れ線グラフです。

 また,平成28年国民生活基礎調査によると,仕事を持ちながらがん治療のために通院している方は約36万5千人いるといわれており,平成22年と比べ4万人増加しています。

がんの治療をしながら仕事をしている方の数を示す棒グラフです。

 現在,日本人の2人に1人ががんにかかるといわれていますが,がんと診断される方が増える一方で,医療の進歩(手術の負担軽減や抗がん剤・放射線治療による副作用のコントロールなど)により,がん種によっては完治が期待できるものや,かなり長期にわたる安定状態が期待できる病気になってきました。そうした状況をふまえ,がんにり患した方が,仕事へ早期復帰することや,治療しながら働き続けることが可能になってきています。

 

課題

 平成30年度に厚生労働省が行った調査では,がんと診断された時に収入のある仕事をしていた方の内,約2割の方が退職・廃業していたという結果がでました。

がんと診断された時の仕事への影響を示した円グラフです。

 また,その約2割の方の詳細を見てみると,実に6割近い方が初回治療を開始するまでに退職・廃業していたことが分かりました。もちろんこの中には,会社や家族と相談をし,十分に検討した上で仕事を辞められた方もいますが,そのタイミングを見ると「がん診断直後」が34.1%と最も高く,これは説明によって回避可能かもしれないと出典の報告書の中で考察されています。

がん患者さんの退職のタイミングを示したグラフです。

 

皆様にお願いしたいこと

 大切なことは,がんになってもすぐに仕事を辞めないことです。

 多くのがんにおいて,「がんになったから治療に専念するために仕事はやめないと…」,「がんになったから長期間入院しないといけないから…」というのは一昔前の話になっています。治療に関する医療技術の進歩や,副作用をかなり抑えることができるようになってきたことなどにより,平均入院日数は年々減少するなど,現在では,通院によってがん治療を行うことができる患者さんも多くなりました。

がん患者さんの平均在院日数の推移を示すグラフです。

がん患者の入院と来院による治療患者数の推計値をそれぞれ示したグラフです。

 

 また,企業側としても,これまで会社に貢献し,業務に精通している貴重な人材を簡単に失うことは不利益のほうが大きく,柔軟な働き方(休暇・時差勤務など)を認めたり,業務内容を症状に合わせて配慮するなど,両立支援に向けた取組の輪が広がってきています。

 もちろん,あなたの気持ちや家族の状況など踏まえて,「仕事を辞める」という選択が必要な場合もあります。ただ,もし可能であれば,まずは主治医や担当看護師,職場の上司の方などと,治療と仕事の両立について話し合ってみてください。治療と仕事の両立についてしっかり考え,納得してがん治療に臨んでいただくことは,あなたの療養生活をより良いものにすることにつながるかもしれません。

 

お悩みはがん相談支援センターへ

 「職場に迷惑がかかるかも…」,「病状について何をどこまで会社に伝えたらいいのだろう…」,「何から始めたらいいかわからない…」という方は,まずがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターにご相談ください。

 がん相談支援センターでは,がん患者さんの治療と仕事の両立支援に関する相談についても,看護師や社会福祉士などが対応し,制度のご紹介やアドバイスなどを行っています。また,必要に応じてハローワークなどの他機関と連携したり,場合によってはあなたの会社と意見書などをやり取りし,就労上必要な配慮の検討や治療計画の見直しなどを行うことも可能です。

 

がん相談支援センターに設置されている両立支援専用の相談窓口

 がん相談支援センターには,広島産業保健総合支援センター(以下「産保センター」といいます。)と連携し,治療と仕事の両立支援専用の相談窓口が設けられています。
 この相談窓口では,産保センターが派遣する,社会保険労務士などの資格をもつ両立支援促進員による相談支援を受けることができます。両立支援促進員は調整役として,症状や治療計画,職場で配慮することなどを踏まえて,働き続けられるような体制づくりをサポートしてくれます。
 令和3年4月現在,13のがん診療連携拠点病院に設置されています。詳しくは,下記リンク先をご確認ください。

 

その他(ハローワークによる長期療養者への出張就職相談)

 県内4カ所のがん診療連携拠点病院では,がんをはじめとした疾病の長期療養をしながら,働きたいという方の就職を支援するために,ハローワーク広島東及びハローワーク福山の専門担当者「就職支援ナビゲーター」による出張就職相談が月に1回開催されています。

 症状や通院状況に配慮した求人探しや,仕事復帰の不安解消のための相談に応じているほか,応募書類の作成や面接の受け方などについて,あなたの療養状況を踏まえたアドバイスをしてもらえます。

 詳しくは,各病院のサイトをご確認ください。

広島市

福山市

 

がんと仕事のQ&A

 国立がん研究センターがん情報サービスのサイト「がんと仕事のQ&A」には,がんの診断から復職までの間に就労上注意することや個々の状況に応じた具体的なアドバイス,復職後の働き方だけでなく,新しい職場への応募におけるポイントや,医療費や生活費などお金に関すること,家事・育児に至るまで,就労世代のがん患者さんの日常生活に関するヒントがたくさん掲載されています。(正社員だけでなく,アルバイトやパートの方,自営業者の方や求職中の方向けの情報もあります。)

 

 同じく国立がん研究センターがん情報サービスのサイト「がんと共に生きる『まず一歩前へ』」には,がん患者さんの治療と仕事の両立支援に向けて,がん患者さんやその家族だけでなく,企業の方や,地域の方,また病院関係者の目線から体験談やアドバイスなどが掲載されています。
 また,企業の方向けに,がんになっても安心して働ける職場づくりに関するガイドブック(大企業編・中小企業編)なども掲載されています。

 

参考になるページなど

Teamがん対策ひろしま

 広島県では,社員のがんに関する正しい知識の普及・啓発やがん検診受診率向上,治療と仕事の両立支援,地域へのがん検診啓発活動,がん患者団体等への支援など,総合的ながん対策に主体的かつ積極的に取り組む企業を,「Teamがん対策ひろしま」登録企業として登録し,その取り組みを支援しています。

 広島県内にも,がん患者さんの治療と仕事の両立支援に取り組む企業がたくさんあります!ぜひ参考にご覧ください。

 

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