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令和3年度を振り返って【取組と成果】

印刷用ページを表示する掲載日2022年5月18日

令和3年度の総括

新型コロナウイルス感染症は拡大と収束が繰り返され、県民生活や本県経済に大きな影響を及ぼす中、昨年度も、感染拡大防止対策や医療提供体制の確保、経済・雇用対策などに全力で取り組んできた1年でした。特に年明け以降、オミクロン株による過去に経験したことのない感染の急拡大は、社会機能の維持すら困難になることも懸念される厳しいものでした。

こうした中、外出抑制や飲食店等の営業時間の短縮、ワクチン接種など、県民や事業者の皆様のご協力によって、感染の急拡大を抑えることができました。改めて、お礼を申しあげます。そして、最前線で県民の皆様の尊い命と健康を守っていただいている医療・介護や保健関係者の皆様に、心からの敬意と感謝を申し上げます。
県では引き続き、感染拡大防止対策と医療提供体制の確保に取り組み、感染を最小限に抑えながら、一日も早く日常生活を取り戻せるよう対応してまいります。
また、コロナ禍によって、現在も多くの事業者の皆様が苦しい経営状況に置かれています。こうした皆様の事業活動の継続や雇用維持を支える取組を全力で進めるとともに、オンライン会議やテレワークの普及、地方への関心の高まりなど、様々な変化に対し、デジタル技術の活用などによって、単にコロナ前の状況に戻るのではなく、さらに高い軌道に上げて、社会的にも経済的にも、より良い形での発展的回復を目指してまいります。
さらに、コロナ禍がもたらした社会環境の変化により顕在化した東京一極集中による地域間格差など、従来から日本社会が抱えていた構造的な課題への対応にも注力するとともに、県民の挑戦を後押しする取組や、本県の特性を生かした適散・適集な地域づくりに資する取組を推進してまいります。

一方、陸上競技男子100メートルのレースで広島県出身の山縣亮太選手が、日本新記録9秒95を樹立した、県民の皆様にとっても大変うれしいニュースもありました。
そして、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における本県ゆかりのアスリートの皆様の活躍も思い返されます。特に、本県ゆかりの5選手が大きな原動力となった野球日本代表チームの金メダル獲得は、県民の皆様のみならず、日本中に大きな感動を与え、次代を担うジュニア選手の大きな励みにもつながりました。

他にも、本県がロケ地となっている「ドライブ・マイ・カー」がアカデミー賞国際長編映画賞を授賞されました。映画では、美しい島々とヒスイ色の海が織りなす穏やかな瀬戸内海をはじめとした本県の魅力がスクリーンで表現されており、この映画を通じて、こうした魅力が世界中の皆様にお届けできることは、本県にとって大変明るい話題でした。

また、「黒い雨」にかかる控訴審判決が確定し、本年4月から新たな制度運用が開始されました。これによって、多くの「黒い雨」体験者が救済されるものと考えております。県では引き続き、国に対して控訴審判決を尊重し、事務処理基準から「疾病要件」を外すよう、求めていく必要があると考えています。

最後に、昨年度、広島県では広島市、広島商工会議所とともに、令和5年に日本で開催される「G7サミット」の誘致を表明しています。世界の主要国の首脳が集う会議が、被爆地広島において開催されることは、核兵器廃絶に向けた取組を具体的に進展させる契機になるものと考えており、広島市や経済界等と連携し、官民一体となってオール広島で誘致の実現に取り組んでまいります。

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新型コロナウイルス感染症対策の強化

新型コロナウイルス感染症への対応

昨年も新型コロナウイルス感染症は日本全国で拡大と収束が繰り返されましたが、特に年明け以降のオミクロン株によって、本県においても過去に経験したことのない感染の急拡大が生じました。

こうした中、本県では、感染拡大を最小限に抑えながら、社会経済活動を維持し、県民の皆様が日常生活を続けられることを基本として、感染初期には幅広い積極的疫学調査やPCR検査の集中実施を、感染拡大期には「早く」「深く」「短く」との考え方のもと、外出や移動の自粛などの行動制限とあわせて、飲食店等への休業・時短要請といった強い対策を行うことで、感染拡大防止と早期収束を図る取組を進めています。

そして、県民、事業者の皆様に基本的な感染防止対策の徹底と積極的な検査を要請するとともに、県では、PCRセンターの運営やワクチン接種体制の整備などによる「感染拡大防止対策」、入院病床の確保や宿泊療養施設の借上げなどによる「医療提供体制の確保」、県内事業者の「事業継続と雇用維持」に、全力で取り組んでいます。

感染拡大防止対策

まず、県では、個々の感染の連鎖を遮断していくことで、感染状況を社会経済活動が継続可能なレベルに抑えることが重要であるとの基本的な考え方のもと、積極的疫学調査や、県内各地に設置するPCRセンター等での検査を通じて、感染者の早期発見に取り組んでいます。

PCR検査キット

また、感染症医療の最前線で業務に従事する医療従事者の皆様や、重症化しやすい高齢者等が入所する施設の職員の皆様を対象に、定期的なPCR検査等を継続して実施できる体制を整えるなどの取組も行っています。

飲食の機会を通じた感染拡大防止対策としては、業界の定めるガイドラインの遵守や感染者発生時の行政への積極的な協力に加え、アクリル板等の設置もしくは座席間隔の確保、手指消毒の徹底、食事中以外のマスク着用の推奨、換気の徹底などからなる認証基準を満たした「広島積極ガード店ゴールド」制度を開始し、認証基準の遵守について継続して調査を実施しています。

広島積極ガード店ゴールドゴールド店ステッカー

この他、県民の皆様が安心して通学、通勤、通院といった日常生活を送れるよう、県内に本拠地を置く公共交通事業者に対し、感染防止対策に必要な経費を令和2年度からの2年間で合計54億円あまりを計上し、支援してきました。

ワクチン接種では、希望する方が早期に接種できるよう、大規模接種会場を広島市、福山市、東広島市及び三次市に設置し、妊婦の方などについては優先予約枠を設けるなどによって、県民の皆様が円滑にワクチン接種を受けられるよう取り組んできました。

大規模接種会場

また、お住まいの市町に限らず、県内のどこでも接種できるよう、市町や医師会と連携して広域接種の体制を整えるとともに、接種する方にとって利便性の高い大学、企業等の職域接種が円滑にできるよう、医療関係者の確保などの支援を行いました。
さらに、ワクチンの効果を持続させるための追加接種を進め、年明けからの急激な感染拡大を受けて、広島市及び福山市において、大規模設置会場を予定より1か月前倒して設置するなど、市町の接種体制確保を支援してきました。

医療提供体制の確保

昨年11月には、コロナ禍を踏まえた新たな「保健・医療提供体制確保計画」を策定しました。昨年の夏と同程度の感染拡大が生じる場合を想定し、必要となる最大の入院病床数(938床)及び宿泊療養施設の居室数(2,397室)を定めて、療養体制の整備に取り組みました。

また、高齢者や基礎疾患があるなどリスクが高い方に対して、デルタ株の重症化予防に有効とされる「抗体カクテル療法」を実施するため、入院による治療を基本に県内39の医療機関において当該治療薬を備蓄し、実施体制の整備を進めました。

さらに、高齢者施設等においてクラスターが発生した場合には、保健所ならびに感染症対策の専門的知識を有する「医療・福祉クラスター対応班」が、感染管理や施設の継続運営を支援しながら、必要に応じて外部の医療機関の協力を得て訪問診療を行うなど、重症化予防にも取り組みました。

しかしながらその後、オミクロン株による感染急拡大に伴い、自宅療養者も急激に増加しました。このため県では、まず、重症化リスクが比較的高い方については保健所により注意深く健康観察を行い、軽症または無症状の方に対しては、フォローアップセンターにおいて、日々の健康観察を行いました。そして、療養中に発熱等の症状が生じた場合に確実に医療につなげるため広島県オンライン診療センターを設置し、数多くの方々の診療を行っています。

オンライン診療・服薬指導イメージ

この他、宿泊療養施設に併設する臨時の医療施設においては、中和抗体薬の投与を行っています。また、経口治療薬の相談ダイヤルを設置して、投与の対象となる方を速やかに適切な医療機関につなぐ仕組みを構築し、重症化の防止と症状に応じた迅速・適切な医療提供体制の整備を進めました。

事業継続と雇用維持

雇用については、コロナ禍の影響が長引く中、求職者数が高めの水準で推移しており、県では「働きたい人全力応援ステーション」を新たに設置し、コロナ禍の影響を受けている離職者・転職希望者の方や、産業構造等の変化に伴う事業縮小や倒産等による離職者の方に対して、求人開拓で集めた求人情報の提供や、個別キャリアコンサルティングによる就業相談からマッチング、就職後の定着まで伴走型による就業支援などを行い、求職者の皆様の円滑な就職を支援しており、これまで250名の方の就職につながっています。

働きたい人全力応援ステーション

厳しい経営環境にある宿泊事業者や旅行業者等の皆様に対しては、宿泊事業者の皆様が行う感染防止対策や、ワ―ケーション等の新たな利用ニーズに対応した施設改修などへの取組を支援するとともに、県内旅行や宿泊の割引制度「やっぱ広島じゃ割」を実施し、延べ25万人以上の皆様に予約・利用いただきました。
また「Go To Eatキャンペーン」でも、約20億円分の食事券を予約販売しました。

やっぱ広島じゃ割

GoToEat

さらに、県の集中対策の取組の影響を受けて売り上げが減少している中小企業者の皆様に、「頑張る中小事業者月次支援金」による本県独自の幅広い支援を実施しました。
この他、離職者を新たに雇用する建設業者等への助成や、医療機関、介護サービス等事業所に勤務する職員の方への賃上げ効果が継続されるための取組などを行ってきました。

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それぞれの「欲張りなライフスタイル」の実現

県民が抱く不安を軽減し『安心』につなげる

子供の健やかな育ちを支える環境の充実

本県では、全ての子供たちが生まれ育った環境に左右されることなく、健やかに夢を育むことができる社会づくりを進めています。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、妊産婦や子育て家庭が孤独や不安を抱えやすい状況となっています。こうした状況なども踏まえ、県では、広島で生まれ、育つ全ての子供たちの健やかな育ちに向けて、広島で子育てをする全ての人が、地域とのつながりを感じ「あたたかく見守られている」と心から実感できる社会を実現するため、「ひろしま版ネウボラ」のさらなる拡充に取り組んでいます。

ひろしま版ネウボラネウボラ拠点

現在、「ひろしま版ネウボラ」の取組は県内13市町に広がっていますが、今年度から新たに4市町が参加する予定となっています。県では引き続き、全県展開に向け、これまでの評価検証なども踏まえながら、取組の強化、改善につなげてまいります。

また、小さく生まれた赤ちゃんとご家族のための母子健康手帳のサブブック「ひろしまリトルベビーハンドブック」を作成し、周産期母子医療センターや市町を通して配布も始めています。

リトルベビーハンドブック1リトルベビーハンドブック2

AIを活用した予防的支援については、府中市と府中町において実際にAIのリスク評価を参考にしたアセスメントから支援につなげるまでの一連の取組を試験的に実施しました。また、海田町と三次市では、導入に向けた準備が進んでいます。

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新たな価値を創造する人づくりの実現

新型コロナの感染拡大は、教育現場にも多大な影響を与える一方で、デジタル技術を活用した教育の有効性や必要性を改めて認識する契機にもなりました。このため県では、デジタルならではの特徴を生かした個別学習や協働学習などを通じて、児童生徒の「主体的な学び」を促す教育活動のさらなる充実を図っています。

乳幼児期においては、子供が育つ環境にかかわらず「遊びは学び」という基本的な考え方が共通認識され、一人一人の子供が興味・関心に基づき、やりたいことを自由に選択できるような環境の中で、生涯にわたって主体的に学び続けるための基盤が培われていることを目指しています。こうした将来像の実現に向け、「オール広島県」で取組を進めていくため、「遊び 学び 育つひろしまっ子!」推進プラン(第2期)を策定しました。

遊びは学び

また、広島叡智学園中学校・高等学校は開校3年目を迎え、中学校3年間を見通した教育課程が完成しました。また、「広島版学びの変革」を先導する実践教育が評価され、国際バカロレア・ディプロマプログラムの認定校となり、生徒全員が国際バカロレアの教育プログラムを履修する全国初の公立学校となりました。そして、いよいよ今年度から外国人生徒が入学します。広島叡智学園では開校からこれまで、主体的で深い学びを促す授業や、実社会との結びつきを重視した課題発見・解決学習を推進しており、県では、こうした成果について他の県立学校や市町教育委員会への普及に取り組んでいます。

広島叡智学園授業風景

昨年4月に開学した叡啓大学では、1期生として国内外から94名の学生を迎え入れ、文理の枠を超えた知識やスキルを身に付け、解のない課題に果敢にチャレンジし、新たな価値を創造する人材の育成に取り組んでいます。

昨年11月には、県内企業や市町、国際機関など80団体の参画を得て「叡啓大学実践教育プラットフォーム協議会」を設置し、実社会のリアルな課題に挑む課題解決演習やインターンシップなど、実践的な教育を効果的に推進しています。

叡啓大学授業風景

また、近年増加傾向にある不登校児童生徒への支援の充実や不登校の未然防止を図るため、県では不登校児童生徒支援校を指定しています。令和2年度末には、指定11校中9校において、不登校児童生徒数が前年度以下となるなど成果も現れてきていることから、昨年度は指定校を県内21校に拡大し、新しく設置した不登校支援センターの指導主事が、各指定校を毎週訪問し、支援の強化・充実を図るとともに、研修等による全県波及に取り組んでいます

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人生100年時代を見据えた「健康寿命の延伸」

本県では、「全ての県民のQOL(Quality of Life)の向上」を目指す姿として掲げ、病気や加齢による自立度の低下の抑制に取り組んでいます。人生100年時代を迎える中、それぞれのライフステージに応じて、心身ともに健康で活躍できるよう、若い時期からの生活習慣の改善など健康づくりの定着に取り組むとともに、県内企業と連携し、健康経営の実践企業の拡大による「からだとこころ」の健康づくりを進めています。

若い時期からの適切な生活習慣の定着に向けては、健康経営に取り組む県内企業約50団体、1,300人の参加協力を得て、デジタル技術を活用して健診情報から健康リスクを予測し、生活習慣の改善につながる効果的な介入方法を検討するための実証試験を行っています。

実証試験イメージ

また、昨年度からは、企業の経営者等の皆様を対象とした健康経営セミナーを開催するなど、健康経営の考え方の浸透と優良事例の展開によって実践企業の拡大を図っており、令和4年3月末現在で健康経営に取り組む中小企業数は3,069社まで増加しました。

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持続可能な医療・介護提供体制の構築

高齢者人口の増加に伴い、医療・介護ニーズが高まる一方で、労働力人口の減少により人的資源が縮小することが見込まれています。さらに医療においては、多数の症例や研修体制が充実している大都市圏の病院に若手医師などの集中が加速することで、県内の医師不足が顕在化することも見込まれており、サービスを支える人材や体制の確保が必要となっています。こうした中、将来にわたって、必要な医療機能を持続していくために、医療機能の分化・連携、医療資源の集約を行い、効率的かつ新興感染症等の感染拡大時にも柔軟に対応できる医療提供体制を構築し、全ての県民の皆様が、質の高い医療介護サービスを受けることができ、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、医療・介護提供体制の整備を進めています。

令和3年度には、本県に必要とされる医療機能や体制等を示すため、有識者会議において、高度医療・人材育成拠点に必要となる医療機能等について検討いただき、全国トップレベルの高度医療機能や、専門人材の育成機能などを有する新たな拠点を創出するための拠点ビジョンについて提言をいただきました。県ではこの提言を踏まえ、ビジョンの具現化に向けて、広島都市圏を中心とする公立・公的医療機関等との機能分化・連携のあり方について、関係医療機関との協議をさらに深めていくこととしています。

また、三原市においては昨年度、二つの医療機関の統合を決定し、医師や看護師などの医療人材等を集約することにより、二つの病院が強みとしている専門領域の充実や、救急医療の強化を図っているところです。

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地域共生社会の実現

本県では、県民の皆様の誰もが、住み慣れた地域とつながり、生きがいや役割を持ち、助け合いながら生き生きと暮らしていくことができる地域共生社会の実現を目指して取組を進めています。

このため、令和2年度から、地域住民の皆様をはじめ、様々な主体が連携・協働して地域共生社会の実現に取り組めるための土壌づくりに向けた有効策等の検討について、モデル事業を通じて進めています。このモデル事業では、例えば、認知症高齢者を介護する家族の負担を軽減したいというケアマネジャーの方からの相談をきっかけに、寺院を活用した居場所づくりが進み、現在では、認知症高齢者ご本人やご家族だけでなく、学生や産後のお母さん、近隣の医療機関に通院される患者の方など、誰もが集える場として、世代・属性を超えた交流にもつながっています。こうしたモデル事業が、各地域で多様に展開されるよう支援するとともに、昨年度は新たに安芸高田市、府中市においても取組を開始したところです。

東広島市のモデル事業「みんなの日曜日学校『みんクロ』」1東広島市のモデル事業「みんなの日曜日学校『みんクロ』」2

さらに、市町の包括的な支援体制の構築を後押しするため、市町や社会福祉協議会の職員等を対象とした人材育成研修や、市町への個別訪問による勉強会や協議、情報交換なども実施しています。

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ハード・ソフトが一体となった防災・減災対策

本県には、全国最多の土砂災害警戒区域があり、さらには毎年のように大規模な災害が発生しています。近年の地球温暖化等による気象災害の激甚化・頻発化や南海トラフ巨大地震等が懸念される中、大規模災害への備えは喫緊の課題となっています。県では、防災施設の整備による事前防災に取り組むとともに、県民の皆様一人一人が、災害から命を守るための適切な避難行動ができるよう、きめ細かな防災情報の提供や、災害リスクを正しく認識できる取組を推進しています。

また「広島デジフラ構想」に基づき、自然災害等による被害を防止・軽減するため、調査・設計、施工から維持管理のあらゆる段階において、デジタル技術を最大限活用し、計画的なハード整備や維持管理を、より効果的・効率的に推進するとともに、災害リスク等の的確な発信や高度化など、県民の皆様の安全・安心の向上が図られるよう取り組んでいくこととしています。

洪水予測の高度化に向けては、予測プログラムの構築を進めるとともに、予測精度の向上につながる危機管理型水位計の設置拡充、また、カメラによる水位観測の運用を目指して、AI判別による画像解析技術などの実証実験を進めています。また、河川の様子や増水の状況など、洪水の切迫性を伝えられる河川監視カメラを新たに62台設置しました。

危機管理型水位計と河川監視カメラ

次に、災害リスクの可視化については、土砂災害の恐れのある箇所やその範囲について、斜面の高さや谷の形状など、具体的な地形をイメージでき、より視覚的に理解しやすくなるよう、三次元の地図上に土砂災害警戒区域等を表示する3Dマップを「土砂災害ポータルひろしま」(スマホ版)に実装・公開しました。

警戒区域3D表示

さらに、洪水時に県民の皆様の円滑かつ迅速な避難につながるよう、自宅やその周辺の水害リスクを事前に確認し、水害から身を守っていただくため、県内全河川の洪水浸水想定区域や浸水深を示した「洪水リスクマップ」をオープンデータとして公開し、市町を始め、民間防災アプリでも活用できるようになりました。

この他、高潮に対する避難体制の充実・強化も求められる中、県民の皆様に、高潮による浸水の危険性について知っていただくため、想定し得る最大規模の高潮による浸水範囲や深さなどを「高潮・津波災害ポータルひろしま」に掲載しました。

加えて、ヤフー株式会社との連携により、Yahoo!防災速報の災害マップ上に、県の有するため池情報が掲載され、「広島県ため池マップ」へのリンクによって浸水が想定される区域の情報の取得も容易になりました。

ため池マップ

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治安・暮らしの安全の確保

県では、県民だけでなく、広島を訪れる方も安全安心を実感することができるよう、「減らそう犯罪」広島県民総ぐるみ運動や交通事故防止運動を推進するとともに、特殊詐欺やサイバー犯罪などの新たな犯罪脅威や悪質・危険な交通違反への対処を強化しています。

まず、これまで取り組んできた「減らそう犯罪」広島県民総ぐるみ運動については、「犯罪の起こりにくい広島県づくり」を目指し、住む人 来る人 誰もが日本一の安全安心を実感できるよう、昨年から「減らそう犯罪」第5期ひろしまアクション・プランに取り組んでいます。昨年は、刑法犯の認知件数が前年に比べ4.6%減少し、治安が良好だと感じる人の割合も86.9%と前回調査の平成29年と比較し1.6ポイント増加するなど、一定の成果が見られています。

さらに今年2月から、犯罪情報や不審者情報などを提供する安全安心アプリ「オトモポリス」の運用も開始しました。この「オトモポリス」は、ご自身の身を守るだけでなく、子供の見守り活動などで活躍されている防犯ボランティアの方にも活用いただき、特殊詐欺の発生情報を受けた際はATM周辺に目を向けていただくことで、高齢者等の特殊詐欺被害防止につなげるなどの防犯活動にも活用してもらえるよう取り組んでいます。

広島県警察安全安心アプリ「オトモポリス」

また、犯罪等にあわれた被害者の方が、平穏な生活を営むことができる社会を実現するため、今年3月には広島県犯罪被害者等支援条例を制定しました。県では、この条例に基づき、被害の軽減・回復に向けた支援や、必要な支援にアクセスしやすい環境整備、社会全体の理解促進と支援基盤の強化などの、犯罪等にあわれた方への支援に取り組みます。

この他、将来にわたり安全・安心な水を適切な料金で安定供給できる水道システムを構築するため、市町と県で構成する県内水道事業の統合の受け皿となる企業団を令和4年度に設立し、令和5年度の事業開始を目指しています。
令和3年度には、県内15市町と「広島県における水道事業の統合に関する基本協定」を締結し、企業団設立に向け、企業団の基本的事項や事業内容をまとめた事業計画及び規約の素案を取りまとめました。また、統合以外の連携を選択する市町とも、個別の連携方法について協議を続けています。

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働き方改革・多様な主体の活躍促進

経済のグローバル化の進展や新型コロナの感染拡大など、社会環境が大きく変化する中で、本県では、多様な人材誰もが働くことを通じた人生の豊かさを実感するとともに、企業において、そうした人材の多様性が発揮されることで、イノベーション力や生産性の高い事業活動が展開されるよう取組を進めています。このため、テレワークなど時間や場所にとらわれない柔軟な働き方や、働きやすさのみならず、従業員の働きがいや達成感につながる働き方改革の促進、女性の活躍や外国人材の円滑かつ適切な就労を促進しています。

コロナ禍においてICTを活用した働き方は、県内企業においても一定程度浸透し、業務の進め方が変わりつつありますが、県内企業のテレワーク実施率は2割から3割にとどまっています。このため、製造業、建設業や卸・小売業など、テレワーク導入が困難と考えられる中小企業5社を対象に、IT経営の専門家による業務プロセスの見直しやIT環境の整備などの課題解決支援を行い、モデル事例を創出しました。これにより、働く人の生活の質の向上につなげられる働き方の一つであるテレワークの効果的な導入ノウハウやメリットを見える化し、県内中小企業に波及できるよう取組を進めているところです。

働きがいの向上に向けては、県内企業において働きやすい職場環境づくりとともに、従業員の働きがいやモチベーションの向上など、企業成長につながる働き方改革への理解と実践を促進するため、専門コンサルタントを派遣して伴走型支援を行うことで、働きがいの向上の取組が経営上のメリットにつながることを実証し、県内中小企業にとって参考となる取組の優良事例を見える化し、情報発信を行っています。

働き方改革の方向性(広島県モデル)

また、働きやすい環境づくりに取り組む県内企業が広がる中、広島県働き方改革実践企業の経営者層を対象とした交流イベントを開催し、講演やグループ意見交換などを通じて、「働きがい」を高める重要性の理解と実践を促し、県内の他の企業の取組にもつながるよう取り組んでいます。

この他、県では、人材の県外転出の抑制及び県内転入の促進を図るため、コロナ過における全国的な移住動向の変化を捉え、本県への移住を促進しています。こうした中、NPO法人ふるさと回帰支援センターが発表する「移住希望地ランキング」では、本県はここ数年、ランキング上位に定着していたところですが、2021年はランキング発表開始以来、初の全国1位(セミナー部門)となり、移住先としてのブランド力や認知度が向上しつつあります。

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交流・連携基盤の整備

アフターコロナ時代においても、地域産業の持続的発展や、アジア諸国等との交易を支援する国際物流拠点の基盤整備、瀬戸内海と世界をつなぐ国際交流拠点の環境整備などの広域的な交流・物流機能の強化や、都市交通の定時性・速達性に役立つ自動車専用道路などの交通基盤の整備は重要です。

こうした中、広島空港では、昨年7月に広島国際空港株式会社(HIAP)による空港運営事業が開始されました。滑走路とターミナルビルなどの経営を一体的に運営委託することで、民間ノウハウや資金を活用した航空ネットワークの拡充や空港機能の強化などを図り、より機動的で創意工夫に富んだ空港経営が期待されます。
県では引き続き、HIAPが掲げる「中四国の持続的成長を牽引し続ける圧倒的NO.1ゲートウェイ」の実現を目指し、空港及び空港周辺地域の活性化や県を往来するビジネス渡航需要の創出などに連携して取り組みます。
また、新型コロナウイルス感染症の影響により旅客需要の激減が長期化し、広島空港の定期路線の維持が困難となっていることから、航空会社等に対して、航空ネットワークの維持に必要な支援を実施するとともに、空港アクセスバス事業者に対してアクセスバスの運行に必要な支援も実施しています。

画像09-①210504SNS(広島空港民営化)

福山港箕沖地区岸壁では、定期コンテナ船の大型化に対応するための第2バースの延伸工事が完成し供用を開始しました。これにより、大型コンテナ船の2隻同時着岸が可能となり、備後地方の企業の輸送コストが削減されるなど、国際競争力の強化が期待されます。

福山港箕沖地区岸壁

広島港出島地区では、今年3月、国において岸壁整備が新規事業化されました。これにより、広島港出島地区の外貿コンテナ機能の充実・強化が図られ、地域産業の国際競争力強化、地域経済の発展が期待されます。

広島南道路では、今年3月、国においてミッシングリンクとなっている木材港西から廿日市の新規事業化が発表されました。広島南道路は、工業・物流拠点が集中する広島湾臨海部を東西に貫く、生産性向上に資する物流基盤の強化等に貢献する重要な路線です。県では、廿日市市など地元関係者と連携しながら、事業実施環境の整備に取り組むとともに、引き続き、このたび事業化された区間の着実な整備と、残る未事業化区間の早期事業化を国に要望していきます。

また海田大橋では、広島都市圏の広域交通ネットワークの状況変化を踏まえ、利用者の利便性向上や港湾物流等の円滑化など、地域経済の発展に資するため、ETC通行料金を終日半額とする料金改正を行いました。

さらに、広島都市圏東部地域の慢性的な混雑や鉄道による市街地分断の解消を図る広島市東部地区連続立体交差事業では、昨年6月から本格的な工事が開始され、向洋駅における仮跨線橋や北口仮駅舎が供用開始されました。県では引き続き、共同事業者である広島市と連携し、地元住民の皆様のご理解とご協力を得ながら、早期の事業効果の発現に向けて取り組んでいます。

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環境への負荷の少ない持続可能な社会の構築

国は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、カーボンリサイクルを始めとした革新的なイノベーションなどを通じて、経済と環境の好循環をつくり出していくこととしています。県としても、ネット・ゼロカーボン社会の実現に向けて、家庭における省エネ機器などの選択を促すとともに、事業者による自主的な取組の促進により、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの導入を推進しています。

こうした中、持続可能な社会の実現に貢献するビジネスをグローバルに展開できる企業群の育成を目指す「ひろしま環境ビジネス推進協議会」では、新たな事業創出を目的とした研究会を設置し、再生可能エネルギー比率の向上などの課題解決につながる新たなビジネス創出に向けた取組を実施しています。

また、環境・エネルギー分野での新事業開発に興味のある事業者を対象に、カーボンニュートラル時代を機会と捉え、経営資源や技術の組み合わせによる新事業開発や、多様なステークホルダーとの共創による新たな価値の創出に関する知見を深めるセミナーも開催しました。

さらに、本県がCO2削減及びカーボンリサイクルの先駆的な研究開発の拠点となり、これら技術の社会実装への取組を推進し、地域振興さらにはカーボン・サーキュラー・エコノミーを実現するため、「広島県カーボン・サーキュラー・エコノミー推進協議会」を設立しました。昨年度は、事業者の皆様にカーボンリサイクル技術についての理解を深めていただき、この技術の現状と将来、そして本県の取組について紹介するフォーラムを開催し、400名を超える方々にご参加いただきました。
また、同協議会会員のご意見も伺いながら、カーボン・サーキュラー・エコノミーの実現に向けて、企業等から多くの意見を聴取しながら、カーボンリサイクルを核とした新たな産業集積を目指すための方向性や今後3年間の取組を「推進構想」として整理しました。

そして、2050年までに新たに瀬戸内海に流出するプラスチックごみゼロを目指すため、昨年6月に、「2050輝く GREEN SEA瀬戸内ひろしま宣言」を行うとともに、事業者や関係団体、市町と連携した「GREEN SEA瀬戸内ひろしま・プラットフォーム」を設立し、参画会員数も設立時の20社・団体から、3月末時点で80社・団体に広がっているところです。
また、海洋プラスチックごみ問題に係る課題ごとにワーキンググループを立ち上げ、県内120箇所でのペットボトル自動回収機の設置や、県内16箇所での新型容器回収BOXの実証実験などの流出防止対策について、小売企業や飲料業界などと連携して取り組んでいます。

画像10-①瀬戸内ひろしま宣言ロゴ

今後とも、瀬戸内4県及び日本財団と連携して設立した「瀬戸内オーシャンズX推進協議会」や関係府県等とも連携・協働のもと、瀬戸内海全域での海洋プラスチック対策を進めてまいります。

ペットボトル回収機設置セレモニー

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県民の『誇り』につながる強みを伸ばす

県経済の持続的な発展に向けた産業振興

新型コロナウイルス感染症の拡大による経済への影響は極めて厳しく、県内企業は幅広い業種で深刻な影響を受けています。県では、こうした急激な事業環境の変化に対応し、本県経済の安定的な発展を図るため、研究開発機能や本社機能、マザー工場など、高付加価値拠点の誘致や、アフターコロナを見据えた新たなビジネスモデルの構築支援などに取り組んでいます。

オフィスの誘致については、コロナ禍を契機としてデジタル系企業を中心に地方移転への関心が高まるなか、企業誘致促進助成制度や積極的なPR活動の展開により、昨年度は一昨年度の31件を上回る45件のオフィス等の移転・拡充が進みました。県では、さらにこうした動きを加速させるため、シェアオフィス等の運営事業者と連携した企業誘致にも取り組んでいます。

また、コロナ後を見据えた経済活動の安定的な発展を図るため、製造業を中心とした企業のAIやロボット化など、生産性向上に向けた設備投資を後押しするために助成制度や、カーボンニュートラルに対応するための先行的な取組を推進する前向きな県内ものづくり企業に対し、カーボンニュートラルに関するセミナーを実施するとともに、専門家による伴走型支援を開始しました。

さらに昨年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響や中長期的な産業構造の変化など,企業を取り巻く経営環境が大きく変化しており,アフターコロナに対応したビジネスモデルや新事業展開等を目指す県内企業に対し,戦略策定や組織改革等のコンサルティング支援を実施しました。なお、支援した50社にコンサルティングを受けた場合と受けなかった場合の3年後の売上高、利益、従業員数予想をヒアリングしたところ、50社全体で3年後には売上高は106.5億円、利益は21.4億円、従業員は276人増加の効果があるという結果となっており、「モデル事例」として取りまとめています。

新事業展開等支援事例集1新事業展開等支援事例集2

新事業展開等支援事例集3新事業展開等支援事例集4

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成長産業の柱の一つとなる観光産業の確立

自然災害の多発や新型コロナの感染拡大によって、観光分野においても安全・安心のニーズが高まるなど、観光客の方の意識や価値観の変容、さらに観光関連事業者への極めて深刻な影響など、急激な環境変化が生じています。こうした中、 昨年度からは新たに、異業種を含む幅広い事業者によるネットワークを強化するためのプラットフォームを創設し、300を超える事業者にご参画いただき、専門家のアドバイスなどを得ながら、県内各地で観光プロダクトの企画・開発を進めているところです。県では引き続き、本県ならではの価値を体験できる、多彩で魅力的な観光プロダクトの開発に取り組むほか、受入環境などの安全安心情報や観光プロダクトをマーケティング等に基づいて、効果的に発信することなどにより、広島の魅力を自発的に発信してもらえる広島ファンの増加を図ってまいります。

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特色ある資源を生かしたスポーツ・文化の振興

県では、第2期広島県スポーツ推進計画を策定し、競技力の向上やスポーツ参画人口の拡大などのスポーツ振興を進め、スポーツの力を活用して、地域の活性化や県民の皆様の健康増進といった様々な課題の解決に積極的に取り組んでいます。

こうした中、昨年度開催された東京オリンピック・パラリンピックでは、本県ゆかりの選手と、県内での合宿実施に係る協力協定を締結したメキシコ選手団が、様々な競技で活躍されました。平成29年5月に協定を結んで以降、県内10市町で延べ457人のメキシコ選手団を受け入れ、地元アスリートとの合同練習や学校訪問を始め、事前合宿における地元小学生とのオンライン交流会や練習見学会など、県民の皆様との交流が各地域で行われ、双方の友好関係が深まりました。

オンライン交流会の様子1オンライン交流会の様子2

また、県内のスポーツ資源を活用した地域づくりについて、これまで6市町において戦略策定などの支援を行ってきましたが、今年度は新たに尾道市及び大崎上島町で取組が始まる予定となっています。

さらに、スポーツへの関心が高い県民性や、全国的に活躍する数多くのスポーツチームが拠点を置くという本県の特色を活かし、広島東洋カープやサンフレッチェ広島を含む県内26チームの選手情報や試合等のデータを活用し、チームや競技の枠を越えた新た
なスポーツの楽しみ方である「Team WISH」を3月から試行的に開始しています。

広島横断型スポーツ応援プロジェクト「Team WISH」

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国際平和拠点ひろしまの形成

「核兵器のない平和な世界」の実現に向けては、被爆者の方々を始め、関係者や諸団体による長年の努力により、国際社会での核兵器の非人道性に関する認識が広まり、核兵器禁止条約の発効決定という大きな一歩が踏み出されています。県では、この時機を捉え、核抑止に替わる新たな安全保障政策づくりや賛同者の拡大の取組を進め、国際平和拠点ひろしまとして、核兵器のない平和な国際社会の実現に具体的に貢献するよう取り組んでいます。

昨年度当初には、核兵器のない平和な世界の実現に具体的に貢献することを目指す「ひろしまイニシアティブ」の推進組織として「へいわ創造機構ひろしま」、略称HOPeを設立・発足しました。

へいわ創造機構ひろしまホームページ

そして、昨年7月、国連経済社会局(DESA)、持続可能な開発目標課(DSDG)、ユニタールの3者により実施される「国連ハイレベル政治フォーラム」特別イベントに広島県/HOPeとして、初めて参加し「核軍縮と我らの持続可能な未来」(Nuclear Disarmament and Our Sustainable Future)をテーマにセッションを担当しました。

次に、被爆76年を迎えた8月6日には、国連軍縮部等との共催により公開セッションを開催し、持続可能な未来における核兵器廃絶の意義と、ひろしまイニシアティブの実現について考える機会としました。

さらに、ビジネスと平和構築のあり方との関係を多面的に議論することを通じ、ビジネスの前提となる「国際平和」の重要性について改めて関係者間で共有し、経済界に対して核兵器のない平和な世界の実現に果たす役割を見つめ直し、具体的な貢献につなげていただくための契機とする「2021世界平和経済人会議ひろしま」を開催し、「2021広島アピール」を取りまとめました。この「世界平和経済人会議」は、平成25年度の第1回から数え、今回で6回目の開催となっています。

また、東アジアの核軍縮・軍縮管理に焦点を当てた多国間協議である「ひろしまラウンドテーブル」を開催し、核軍縮・国際関係の専門家や政府関係者の皆様と、朝鮮半島の非核化や東アジアの核軍縮の進展に向けてオンラインで議論を行い、声明を取りまとめ、岸田内閣総理大臣に手交し、その実現に向けた協力を依頼しました。

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県民一人一人の夢や希望の実現に向けた『挑戦』を後押し

イノベーション立県の実現

デジタルトランスフォーメーションの進展など、急速に技術革新が進む中で、持続的な成長を実現していくためには、イノベーションの創出により生産性を飛躍的に高め、本県産業における新たな付加価値の創出と環境変化に対応できる、しなやかな産業構造への転換を進める必要があります。

こうした中、新たな産業を育成するため重点的に取り組んできた観光産業では、豪雨災害前のピーク時である令和元年の観光消費額は4,410億円と、平成21年と比較して、1,534億円の増、健康・医療関連分野では、令和2年度の医療関連企業の県内生産額が375億円と取組開始前の平成22年度と比較して285億円の増、環境・エネルギー分野では、令和2年度の県内環境関連産業の売上高が1,724億円と直近で確認できる平成23年度と比較して724億円の増となっています。
さらに県では、これまでの基幹産業である輸送用機械などのイノベーション力を強化するとともに、前述の産業の育成のほか、今後大きな成長が見込まれるデジタル系企業の集積や、スタートアップ企業への支援などに、昨年度から、より一層注力することとしています。

また、コロナ過における課題解決を図るための実証実験「ひろしまサンドボックスD-EGGSプロジェクト」では、約半年間の実証期間を経て30件の成果が発表されました。このうち15件は実際に商品やサービスが販売・提供され、さらに県内への拠点開設を検討している県外企業が8社、また事業化に向けて新たに資金調達した企業も8社となるなど、実証実験を通じて様々な成果が得られました。加えて、地元の皆様や教育機関など地域全体で実証に参加し共創いただいたことは、デジタル企業の進出先として広島県が選ばれ、「チャレンジするなら広島県」というイノベーションフレンドリーな地域としてのブランド向上にもつながったと考えています。

D-EGGSプロジェクトオンライン発表会の様子1D-EGGSプロジェクトオンライン発表会の様子2

なお、コロナ禍のもと、「新しい生活様式」を構築する上で、社会全体のデジタル化が強く求められています。このため、行政手続のオンライン化や県保有データの利活用の推進など、デジタル技術やデータを活用して、県民の皆様の利便性の向上を図り、より質の高い行政サービスへとつなげていけるよう「広島県行政デジタル化推進アクションプラン」を策定し、まず、県民の皆様が県へ提出する申請書類など1,874件のうち、1,742件の押印を廃止しました。

この他、県では、県内の企業や事業者の皆様、教育機関、行政など、あらゆる主体がDXに対する理解を深め、さらにDXを実践することを促すため、「広島県DX推進コミュニティ」の活動に取り組んでいます。昨年度は「みんなのDX研修」を実施し、1,200人以上の方に受講いただくとともに、さらにはコミュニティメンバーの企画によるセミナーが開催されるなど、DXに対する理解や実践意識の醸成が進み始めたところです。

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生産性の高い持続可能な農林水産業の確立

県では、令和3年度から令和7年度までの実行計画である「2025広島県農林水産業アクションプログラム」を策定し、「生産性の高い持続可能な農林水産業の確立」を基本理念とし、スマート農林水産業の実装等を通じた生産性の向上や経営力の高い経営体の育成などに取り組んでいます。

比較的小規模な経営体等の減少が進む中で、今後はさらに人口減少、少子高齢化が進むことから、経営資源や技術、生産基盤が継承されず、主な生産現場である中山間地域を中心に、生産基盤の維持が困難となるリスクが顕在化していくと考えられます。また、スマート農業技術の実装は全国的に始まっていますが、中山間地域では活用が難しい技術も多いことから、本県の生産条件に応じたひろしま型の技術を構築する必要があります。このため本県では、県内で生産量などが多い品目について、中山間地域に適応した技術の開発と改良を行い、収益性の高い経営モデルを構築して、県内各地にスマート農業の実践を進めたいと考えています。

令和3年度は、プロジェクト名「ひろしまseed box」を立ち上げ、全国の企業等から205件もの技術・アイデアのご提案をいただき、その中から、中山間地域の狭小ハウスに合わせた低コストなほうれんそう及び小松菜の栽培管理システムの構築、分散した農地に対応した作業の省力化と生産流通情報を連携させたシステム構築によるカット用青ねぎの露地栽培、新規雇用者でも正確な作業が可能となる栽培管理システムによるぶどうの大規模栽培について、民間企業の皆様方と実証実験を行っています。今後は、最長3年間かけて、データを解析しながら、本県の中山間地域に適応した技術へと改良し、収益性の高い「ひろしま型の経営モデル」の構築に取り組みます。

ひろしまseed boxの取組スマート農業

また、昨年に引き続きスマート農業フェアを開催し、県内におけるスマート農業の取組を紹介するとともに、スマート農業の展示・体験や技術相談を行い、生産者を始め、農業高校の生徒や農業関係者など、昨年度の倍以上、約420名の方に参加いただきました。

さらに県では、経営力の高い担い手が生産の大部分を占める力強い生産構造への転換を目指し、担い手の経営発展意欲の醸成を図り、企業経営への転換に向けた支援にも取り組んでいます。
具体的には、ひろしま農業経営者学校において、担い手の経営発展段階に応じて、経営スキルの習得、経営ビジョンの作成などを目的とした講座を開講するとともに、企業経営の実現を目指す経営体に対しては経営コンサルタントの派遣支援を行い、さらには、これからの社会変化にも柔軟に対応しながら、新たなビジネスを創出するため、県立広島大学大学院経営管理研究科(HBMS・MBA)と連携した「アグリ・フードマネジメント講座2021~ひろしまファーマーズテーブル~」も実施しました。

この他、水産資源の回復に向けた「環境の変化」への対策として、計画的な藻場・干潟の造成に加えて、昨年度からは、海底耕うんに取り組み、底質改善やエサとなる生物の増加の効果検証などを開始しております。さらに、かき養殖において、水温やエサとなるプランクトンの量などのデータを採苗や収穫予測などに活用していくスマート養殖の取組も始めました。今後は、こうした海況データの蓄積・活用により、県内の海域における漁場環境予測などへの活用についても検討したいと考えています。

また、広島和牛を振興する上で、ブランド化の推進が重要であるため、比婆牛のブランド化の取組も開始しました。比婆牛は、料理人から味だけでなく、歴史と伝統、牛肉の口どけなど食味に対する評価を得ているものの、県民や観光客への認知が十分ではありません。このため昨年度は、料理人と連携した営業実証等を広島市内の高級料飲店10店舗で実施し、お客様や料理人へのアンケート結果等から、比婆牛の魅力を高める要素を抽出し、ブランド戦略を構築することができました。今後は、ブランド戦略に基づき、比婆牛の魅力と認知を高める取組を重点的に実施したいと考えています。

「ひろしまの森づくり事業」では、制度を5年間延長し、県産材が生産から流通、加工、利用まで効率的に流れ、社会において有効な資源として利活用されている姿を目指して、県産材の消費拡大を図るとともに、手入れが不十分な人工林や放置された里山林を整備することで、鳥獣被害対策や防災・減災対策などにもつなげ、県土の保全や水源かん養などの公益的機能の維持に取り組むこととしています。

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安心や誇りの醸成につながる それぞれの「挑戦」の後押し

県では、県民の皆様が、夢や希望に挑戦できる基盤づくりとあわせて、一人一人の興味・関心やライフステージに応じて、安心や誇りの醸成につながる、それぞれの「挑戦」を後押ししています。

中山間地域では、新たに「元気さとやま応援プロジェクト」として「ひろしま里山・チーム500」の登録者の皆様が、地域の方々と協働して行うコミュニティ支援活動や仕事づくりを通じた地域との新たなつながりを生み出す活動などへの支援が始まります。

ひろしま里山チーム500_1
ひろしま里山・チーム500_2

また、国内外の高校生等が国際平和について討議や交流等を行い、平和のメッセージを世界に発信することを通じて、次の世代の人材育成を行うことを目的に「ひろしまジュニア国際フォーラム」をオンラインで開催し、日本を含む14か国の高校生等が10のグループに分かれて討議・交流等を行い、広島宣言を取りまとめて発表しました。

さらに、へいわ創造機構ひろしま(HOPe)では、核兵器廃絶に向けた平和のためのイベントや取組について、国内でのPRや国際社会への働きかけに積極的に取り組んでいただける熱意あふれる若者3名に「ひろしま核なき持続可能な未来ユース大使」として就任いただきました。今後、大使の皆様には、核なき持続可能な未来を実現するため、自らの企画立案による活動や、国際会議などに同行しNPTやTPNWの現状について広く発信いただくこととしています。

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特性を生かした適散・適集な地域づくり

県全体の発展を牽引する魅力ある都市の形成

人口、産業、都市基盤など、あらゆる面で中国・四国地方最大の集積地である広島市の都心において、「ひろしま都心活性化プラン」に掲げる将来像の実現に向け、県では、エリアマネジメント活動の一層の活性化を支援するなど、広島市や市民、企業と連携して官民一体となったまちづくりを推進しています。

広島市都心部の拠点性向上については、昨年4月、地域住民、地権者、民間企業、エリアマネジメント団体等の様々な関係者や行政が一体となってまちづくりを推進する「広島都心会議」が発足し、会員企業とエリアマネジメント団体の交流会が開催されるなど、具体的な活動が加速しています。

また、昨年度は旧広島市民球場跡地の整備等を行う事業者が決定されたほか、基町相生通地区の第一種市街地再開発事業の都市計画も決定されるなど、都心の拠点性の向上に資する事業も着実に進展しています。

この他、サッカースタジアムは、広島市によって広場のにぎわい拠点整備・運営を担う事業者の選定が行われ、スタジアムと広場エリアの全体像が示されました。その内容は「街なかスタジアム」である好立地を生かし、スタジアムと広場が一体となって新たな賑わいの拠点を生み出すことで、都心の回遊性向上と、年間を通じて広域から幅広い世代を集客し、県内各地を訪れるきっかけとなる魅力発信が期待できるものとなっています。

新たなスタジアムパーク

備後圏域の玄関口である福山駅周辺地区においては、「福山駅前再生ビジョン」の「めざす福山駅前の姿」の実現に向けて、「福山駅周辺デザイン計画」に掲げた取組の推進や、民間主体のエリアマネジメント体制の構築に向けて、福山市と連携した取組を推進しています。
昨年度は、居心地が良く歩きたくなるウォーカブルな駅周辺の実現に向け、福山駅広場に係る基本方針や基本計画を策定する協議会が開始されました。また、三之丸町の旧キャスパ地区の再開発では、北棟の新築工事が着工され、先行して工事が行われていた中棟は2月末に完成しました。

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自然豊かで分散を生かした中山間地域の形成

昨年度は、第2期広島県中山間地域振興計画策定を受けて、中山間地域を次世代に託すための力強い土台を築くスタートの年でした。

こうした中開催された「ひろしま さとやま未来博2021」では、耕作放棄地の活用や、地域資源の魅力発信といった地域づくりの実践者から寄せられた40件以上の体験プログラムなどをオンラインで展開し、33,000人を超える皆様にご参加いただきました。ご参加いただいた方の中には、体験プログラムを通じて、地域づくり実践者との交流や、自ら地域づくり活動を開始する方もいらっしゃるなど、取組の成果が見え始めています。

ひろしまさとやま未来博2021ひろしまさとやま未来博2021_2

また、地域の推進役となるリーダーの育成・確保のため、「ひろしま『ひと・夢』未来塾」に、地域に根差した活動に焦点を当てたコースを新設し、幅広い人材の育成・確保に向けた取組も進めています。

中山間地域へのサテライトオフィスの誘致は、コロナ禍における企業の意識変化を踏まえた積極的なPR活動の結果、進出企業数は9社増加し累計27社となっています。また、誘致に取り組む市町も広がり、今では県内11市町がサテライトオフィスの誘致に取り組んでいます。

また県では、中山間地域を始めとした地域公共交通等の利便性と持続可能性の向上を図ることを目的として、交通事業者、利用者、商業施設等が連携し、デジタル技術を活用しながら交通と生活サービスをひとつのサービスとして提供する「広島型MaaS推進事業」にも取り組んでいます。昨年度、安芸太田町では、定額タクシーの導入に向けた実証実験に加え、マイナンバーカードと連携した交通データの取得・活用の計画作成を行いました。また庄原市では、東城地区において、AI技術を活用した予約制バス・乗り合いタクシーの試験運行や、地域キャッシュレスカード「ほろか・なみか」との連携について実証実験を行いました。

さらに、デジタル技術を活用した遠隔教育システムによる学習環境を整備することにより、県立学校の生徒が、地域を越えて専門性の高い授業や、多様な人々との交流学習など、より質の高い学びを享受し、探究的な学びを実践できる取組も進めています。昨年度は、県立高等学校12校でハードウェア及びソフトウェアを整備し、都市部の拠点校の教員が中山間地域の連携校の生徒にオンライン授業を行うとともに、中山間地域の複数校で合同授業を実施するなどの取組を進めています。今後は、配信校と受信校との連携の在り方や授業の運営方法なども検証しながら、令和5年度の本格実施につなげていくこととしています。

遠隔授業の様子1遠隔授業の様子2

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利便性の高い集約型都市構造の形成

県では、人口減少下においても、県民生活や地域経済等の持続性を維持するために、災害リスクが低く、利便性が高いエリアへ居住が誘導された集約型都市構造の形成に向けて、様々な取組を実施しています。

まず、空き家・空き地など未利用ストックを活用して居住環境を整備する「広島型ランドバンク事業」では、三原市本町地区をモデル地区として選定し、事業の実例を重ね、事業スキームの確立に向けた検証を進めています。今後は、スキームの有効性を検証しながら改善を図り、検証結果を基にしたマニュアルを作成し、全県へ展開していく
こととしています。

ランドバンク事業のイメージ

また、居住を誘導していくべき区域の既存住宅について、リノベーションや新築への建替え、宅地統合等によって有効活用し、住み替えを促進していくための検討チームを設置し「居住誘導区域内の既存住宅の流通促進に向けた方策」を取りまとめました。今後はこの方策を基に、引き続き事業者・市町等と連携して、住宅市場の目指すべき方向性等を共有し、その実現に向けたインセンティブ策などの手法を検討するとともに、居住誘導区域内の既存住宅の需要と供給のミスマッチに係る課題等を分析・検証し、解決策の具現化に取り組みます。

さらに、災害に強い都市構造の形成に向け、災害リスクが低い地域への居住の誘導を図るため、市街化区域内の土砂災害特別警戒区域を市街化調整区域に編入する、いわゆる逆線引きに取り組んでいます。県では、この取組を進めるため、概ね一世代後となる「50年後に土砂災害特別警戒区域内において居住者が概ねゼロとなること」を目指す姿に掲げ、20年後に逆線引きを完了するという目標や今後の進め方などを盛り込んだ取組方針を策定しました。具体的には、逆線引きの対象となる候補地が多数あるため、段階的に取組を進めることとし、住宅や店舗等の新たな土地利用の広がりを防ぐ観点から、まずは、市街化区域と市街化調整区域にまたがる縁辺部の山地や農地などを対象として、逆線引きの取組を進めています。

逆線引きの取組イメージ

この他、地域の特性を生かした魅力的なまちづくりの推進を図るため、東広島市の広島大学周辺エリアを、ゆとりと魅力ある居住環境の創出に向けたモデル地区に選定し、東広島市及び広島大学と連携して、適散・適集社会の新たな都市モデルの構築を目指す将来ビジョンの策定などにも取り組んでいます。

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創造的復興による新たな広島県づくり

安心を共に支え合う暮らしの創生

平成30年7月豪雨の発災から4年を迎える中、県では「復旧・復興プラン」に基づき、被災者の方々の生活再建や県内企業等の経済活動の再生への支援、公共土木施設等の早期復旧などに全力で取り組んでまいりました。

被災者の皆様への生活再建への支援は、地域支え合いセンターを中心に、被災者の一人一人に応じたきめ細やかな支援に取り組み、重点・通常見守り世帯数は、ピーク時は1,457世帯でしたが、順次減少し、昨年度内に0世帯となりました。また、生活再建支援は、市町保健師や関係行政機関等へ引き継がれ、地域支え合いセンターによる集中的な支援は、令和3年度末をもって終了しました。一方、こうした被災者支援を通じて、地域コミュニティの力が再評価されています。これを踏まえ、県では、県民誰もが住み慣れた地域でつながり、生きがいや役割を持ち、助け合いながら生き生きと暮らしていくことのできる地域共生社会の実現を目指しています。

生活再建への支援

平成30年7月豪雨災害により被災された方々の住宅再建について、仮住居の入居世帯は11世帯となり、ピーク時の約0.8%まで減少しました。このうち、災害関連事業の進捗等により住宅再建が遅れている方々には、応急仮設住宅の供与期間を延長しています。

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未来に挑戦する産業基盤の創生

被災した県内企業の速やかな再生に向けては、国、地元市町、経済団体、金融機関等と連携し、企業訪問や被害状況調査により判明した県内企業の被害状況を踏まえ、各種支援制度を実施してきました。

中小企業等の施設・整備の復旧を支援する「グループ補助金」については、630者・約64億円が完了しており、この他、公共事業の遅延により復旧工事に着手できなかった1社についても支払いが完了する見込みです。
補助金を活用した事業者に対してアンケートを実施したところ、およそ9割の事業者から「事業継続に役立った」と回答をいただき、また「早期に復旧できた」「従業員の雇用を維持できた」といった回答も多く見られたことから、地域経済の再生に大きな効果があったと受け止めています。

また、農地・農業用施設の復旧については、令和4年2月末時点で全4,273箇所のうち約9割にあたる4,105箇所の工事に着手し、このうち約8割にあたる3,282箇所の工事が完成しています。

農地・農業用施設の復旧前農地・農業用施設の復旧後

一方で、被災箇所が多く、遅れが見られる一部市町については、水路復旧までの間、仮設パイプなどの資材を市町から提供するなど、生産活動の継続を支援するとともに、ため池や農業用水の取水施設などの工事について、一部を県で受託するなど、早期の生産活動の再開に取り組んでいます。

また、県内企業における自然災害や感染症等の脅威発生における被害軽減、早期の事業復旧や、県内産業のサプライチェーンの強化、企業価値の向上のため、BCP(Business Continuity Plan「事業継続計画」)の策定に向けセミナーやフォーラムの開催、策定講座の開設や机上演習の実施といった支援に取り組んでおり、これまで442社がこうした支援によりBCPを策定しています。

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将来に向けた強靭なインフラの創生

平成30年7月豪雨災害により被災した公共土木施設の災害復旧事業については、改良復旧事業等により実施する箇所を除いた2,523箇所のうち約9割に当たる2,228箇所の工事が完成しています。今年度中の事業完了を目指していたものですが、令和3年7月及び8月豪雨による復旧中箇所の再度被災によって、完成時期がずれ込む見通しとなりました。

さらに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより、依然として地域内事業者の手持ち工事量が多く、業者の確保が困難な状況が続いています。このため、業者や技能労働者の確保に向け、関係団体を通じて、手持ち工事量が比較的少ない地域から、業者の確保が困難な地域への下請参加などの協力要請を行うとともに、工期短縮・省力化
に資する二次製品や広報の積極的な活用などに取り組み、事業の進捗を図っています。

災害復旧事業の完成箇所

砂防・治山の災害関連緊急事業については、本県が実施する170箇所のうち168箇所において工事が完成しています。現在は、未完成の2箇所を含めて、緊急事業に引き続き、同様の降雨による新たな土砂流出により再び被害が生じることを防止する再度災害防止事業に取り組んでいます。

土砂災害施設完成箇所

また、静岡県熱海市の土石流災害を踏まえ、土砂災害警戒区域の上流域等に位置する盛土約1,500箇所について、許可手続きの有無や災害防止の観点から総点検を実施し、このうち20箇所の是正指導等を進めています。

ため池復旧工事については、275箇所のうち、令和4年2月末時点で254箇所の工事に着手し、149箇所の工事が完成しています。また、被災箇所が多く、遅れが見られる一部市町については、工事の一部を県で受託し、年度内の完了に向けて取り組んでいます。

利用しなくなった防災重点ため池については、同じく令和4年2月末時点で155箇所の廃止工事を実施し、87箇所の廃止が完了しました。

また、決壊した場合に人への被害の恐れがある防災重点ため池については、ため池管理保全法に基づく実態把握を実施しており、聞き取りや現地調査等により管理者等の確認を進め、対象となる6,287箇所のうち、約9割にあたる5,878箇所について届出書を提出いただいています。

この他、ため池対策として広島県ため池支援センターを設置し、ため池のパトロールや管理者へのサポートをすすめ、ため池の適正な管理につなげるとともに、農業者や地域住民の皆様の安全と安心の確保に取り組んでいます。

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新たな防災対策を支える人の創生

県では、全ての県民の皆様が、日頃から身の周りの災害リスクを正しく把握し、災害発生のおそれが生じた際には、リアルタイムに情報を入手した上で、躊躇することなく、命を守る行動がとれるよう、自助・共助・公助が一体となった「みんなで減災」県民総ぐるみ運動を展開しており、昨年度からは避難行動の実践につながる取組に重点を置いた第2期の「みんなで減災」県民総ぐるみ運動がスタートしました。

これまで、自然災害に備えて日頃から行うべきことや、いつのタイミングで何をすべきかなどをあらかじめ決めておく「ひろしまマイ・タイムライン」の教材を、県内全ての小学校に配布するとともに、防災教育を実践する推進員を設置し、小学校等での出前講座に派遣するなど、防災教育の充実を図ってきました。昨年10月時点のアンケートによると、県内全小学校のうち、マイ・タイムラインの作成に取り組んだ学校の割合は7割を超えています。この他、自主防災組織の活動なども通じて、「ひろしまマイ・タイムライン」の普及を進め、県民の皆様に適切な避難行動を実践していただくよう取り組んでいます。

ひろしまマイ・タイムライン1ひろしまマイ・タイムライン2

また、ヤフー株式会社のスマートフォンアプリ「Yahoo!防災速報」に「災害に係る情報発信等に関する協定」に基づき、県が企画段階から協力して、マイ・タイムラインを作成できる機能「防災タイムライン」が追加されました。これにより、自宅周辺で災害の危険性が高まった時には、あらかじめ設定したタイミングで防災行動開始を呼びかけるお知らせが届き(プッシュ通知)、それぞれの状況に応じた防災行動を確認できるようになりました。

さらに、VRゴーグルを装着し、土砂災害の危険が迫ってくる様子を疑似体験することで早めの避難の重要性を知っていただく「ひろしま土砂災害体験VR」は、これまで58の学校や自主防災組織など、概ね2,000人の方に活用いただいています。加えて、マイ・タイムラインの防災教育コンテンツを民間企業と共同開発し、人型ロボットを活用した授業を行うことで、小学生の関心を喚起し学習効果の向上を図るなど、ICT技術を活用した取組を行いました。

土砂災害VRひろしま土砂災害体験VR

この他、土砂災害の記憶を次世代に語り継ぎ、地域の防災力の向上に役立てるため、地域の皆様からご提供いただいた過去の土砂災害に関する貴重な写真等を「地域の砂防情報アーカイブ」で公開しています。こうして集めた写真等は、出前講座などの防災教育での活用や、各地域で主催される土砂災害伝承パネル展への貸し出しなどにより、地域の災害伝承の取組に役立てています。

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令和3年度の主な取組(一覧表)

時期 区分 内容
4月 ひろしま創造機構ひろしま(HOPe)発足 核兵器のない平和な世界の実現に向けた取組強化の新たな提案「ひろしまイニシアティブ」の推進組織が発足
広島県「みんなで減災」県民総ぐるみ運動(第2期)の開始 社会情勢の変化や近年の災害の教訓を踏まえ、避難行動の実践につながる取組に重点を置いた行動計画の開始
叡啓大学 第一期生入学式 社会を前向きに変えるチェンジ・メーカーを育てる「22世紀型大学」として「実践力」と世界で通じる「教養力」を培う
広島都心会議の設立 地域住民、地権者、民間企業、エリアマネジメント団体等の関係者や行政が一体となってまちづくりを推進する「広島都心会議」が設立
日本創生のための将来世代応援知事同盟サミットinひろしまの開催 大学生とディスカッションするなど、将来を担う世代を社会全体で応援する機運を高めるため行われた18県の知事によるサミット
広島県水道企業団設立準備協議会設置 持続可能な水道システムを構築するため、企業団への参画に賛同する県内15市町と広島県水道企業団設立準備協議会を設置
5月 広島県カーボン・サーキュラー・エコノミー推進協議会設立 本県がCO2削減及びカーボンリサイクルの先駆的な研究開発の拠点となることで、地域振興等を実現するための協議会を設立
広島市東部地区連続立体交差事業の安全祈願祭 広島市東部地区連続立体交差事業の安全祈願祭を実施し、6月から鉄道工事に本格着手
6月 2050 輝く GREEN SEA 瀬戸内ひろしま宣言 海洋プラスチックごみ削減に向けた対策を強化していくため、県民及び事業者の皆様と一緒になって取組を進められるよう宣言
GREEN SEA 瀬戸内ひろしま・プラットフォームの設立 海洋プラスチックごみによる環境汚染の課題解決に向けた取組を進めるため、官民連携プラットフォームを設立
7月 広島国際空港株式会社による広島空港の運営開始 経営ノウハウや資金活用により、機動的で創意工夫に富んだ空港経営の実現のため、民間事業者による広島空港の運営を開始
カーボンニュートラル時代の新事業開発セミナーの開催 カーボンニュートラル時代を機会と捉え、新事業開発や共創による新たな価値の創出に関するセミナーを開催
国連ハイレベル政治フォーラム特別イベントに参加 国連ハイレベル政治フォーラム特別イベントに参加し「核軍縮と我らの持続可能な未来」をテーマに広島県/HOPeとしてセッションを担当
土砂災害区域等の3Dマップ表示運用開始 土砂災害の恐れのある個所や範囲の具体的な地形をイメージできるよう土砂災害警戒区域等について3Dマップによる表示を開始
「ひろしま『ひと・夢』未来塾(第7期)」開講 中山間地域の未来をリードし、サポートする人材の育成・確保を目的とした人材養成塾を開講
8月 公開セッション「核兵器廃絶と持続可能な未来について考える」開催 持続可能な未来の実現における核兵器廃絶の意義と「ひろしまイニシアティブ」の実現について考える公開セッションを開催
ひろしまジュニア国際フォーラム開催 国内外の高校生等が国際平和について討議や交流等を行い、平和のメッセージを世界に発信することを通じ、次世代の人材を育成
広島県カーボン・サーキュラー・エコノミー推進協議会設立フォーラム開催 カーボンリサイクル技術についての理解を深めていただくため、同技術の現状と将来、及び本県の取組を紹介するフォーラムを開催
想定最大規模の高潮による浸水範囲等を表示した浸水想定区域図の公表 想定し得る最大規模の高潮による浸水範囲や深さなどを「高潮・津波災害ポータルひろしま」に掲載
広島県行政デジタル化推進アクションプラン策定 デジタル技術やデータを活用し、県民の皆様の利便性の向上を図り、より質の高い行政サービスへと繋げるためアクションプランを策定
「みんなで減災」備えるフェアの開始 非常持出品や備蓄品、家具の転倒防止対策など「災害への備え」について、防災グッズや関連商品を県内一斉にPRするキャンペーン
Yahoo!防災速報にマイ・タイムライン機能が実装 県が企画段階から協力し、スマホアプリ「Yahoo!防災速報」にマイ・タイムラインを作成できる機能が実装・運用開始
9月 ひろしま さとやま未来博2021開幕 ⾥⼭・⾥海を舞台に活動するチャレンジャーの発掘と育成に向け、コミュニティビジネスや地域の暮らしを⽀える活動を体感する博覧会
2021世界平和経済人会議ひろしま開催 ビジネスと平和構築のあり方を多面的に議論し、ビジネスの前提となる「国際平和」の重要性を共有する「世界平和経済人会議」を開催
みんなのDX研修スタート DXに対する理解・実践意識の醸成を図る活動として,全国で初めて実施された大規模なDX基礎研修。通称「みんなのDX研修」
東京五輪金メダリストへの広島県民栄誉賞の授与 東京2020オリンピックで、野球が正式競技となった平成4年以降初めての金メダルを獲得した広島ゆかりの選手5名に県民栄誉賞を授与
洪水リスクマップの公表 大雨が降った際に危険な場所(浸水が予想される区域)と危険の程度(想定される浸水深)を示した洪水浸水想定区域図の公表
叡啓大学 第一期生入学式(秋入学) 海外からの留学生が秋から合流し、日本人学生と共に、リベラルアーツやデジタルリテラシー等、基盤となる知識・スキルを学修
10月 初代 ひろしま核なき持続可能な未来ユース大使の任命 核兵器廃絶に向けたイベントや取組について、国内PRや国際社会への働きかけに取り組む熱意あふれる若者を大使に任命
広島県名誉県民・奥田小由女氏の顕彰式 令和2年12月11日に女性初の名誉県民に選定された三次市(旧吉舎町)出身の人形作家、奥田小由女氏に称号記等を贈呈
やっぱ広島じゃ割の販売開始 広島県または島根・鳥取・岡山・山口・愛媛県在住の方(順次拡大)が行う広島県内旅行・宿泊プランの最大50%相当額を割り引く制度
海田大橋ETC通行料金の見直し 利用者の利便性向上や港湾物流等の円滑化など、地域経済の発展に資するため、ETC通行料金を終日半額とする料金改正を実施
11月 Go To Eatキャンペーン食事券販売再開 感染防止対策に取り組みながら営業している飲食店及び食材を供給する農林漁業者を支援するためのキャンペーンを再開
旧広島陸軍被服支廠の活用の方向性に係る懇談会の開始 実現可能性のあるアイデアを「活用の方向性」として複数案取りまとめるため、有識者で構成する懇談会を設置し、検討を開始
叡啓大学実践教育プラットフォーム協議会設置 叡啓大学において、実践的な教育を効果的に推進するため、県内企業や市町、国際機関など多様な主体との連携拠点を設置
ひろしまサンドボックスD-EGGS PROJECT成果発表会(Day1 Day2) デジタル技術を活用し、コロナ禍の課題解決を図る実証実験「ひろしまサンドボックスD-EGGS PROJECT」の成果発表会をライブ配信
12月 広島県内で高病原性鳥インフルエンザが発生 福山市において高病原性鳥インフルエンザが発生。翌年1月3日に全ての防疫措置が終了
広島県スマート農業フェア開催 スマート農業を農業関係者等へ紹介することにより理解を深め、新たな生産技術の導入を促すフェアを昨年度に続き開催。
ひろしまラウンドテーブル2021開催 「国際平和拠点ひろしま構造」に掲げる「核兵器廃絶のロードマップへの支援」を具体化するための多国間協議の場として開催
1月 2023年G7サミット広島誘致推進協議会設置 2023年に日本で開催される主要国首脳会議(G7サミット)の広島への誘致活動を官民一体で進めるための協議会を設置 
旧広島陸軍被服支廠の活用を考えるワークショップの開始 多様な活用アイデアの意見交換を行い懇談会へ報告するため、幅広い世代の方々で構成するワークショップを設置し、検討を開始
2月 広島県警察安全安心アプリ「オトモポリス」の運用開始 犯罪情報や不審者情報などを提供する安全安心アプリ「オトモポリス」の運用開始
旧広島陸軍被服支廠 安全対策・価値調査等検討会議の開始 安全対策工事と文化財指定に向けた建築物としての価値調査等について有識者の意見をうかがうため会議体を設置し、検討を開始
広島県カーボン・サーキュラー・エコノミー推進構想の策定 カーボンリサイクルを核とした新たな産業集積を目指すための方向性や今後3年間の取組を整理
働き方改革・女性活躍シンポジウムの開催 「働き方改革」と「女性活躍」の一層の普及拡大を図るため、企業の経営者や人事労務担当者等を対象にしたシンポジウムを開催
3月 ひろしまファーマーズテーブル成果発表会の開催 企業経営を目指す農業経営者を対象に、県立広島大学大学院と連携して実施した講座の成果発表会を開催
「遊び 学び 育つひろしまっ子!」推進プラン(第2期)を策定 県が目指す乳幼児期の教育・保育を実現するための基本的な考え方と取組内容を示したプランの見直しを行ったもの
広島県内で初めて豚熱(CSF)が確認 県内で捕獲した野生のイノシシから初めて豚熱の感染(陽性)が確認
広島県犯罪被害者等支援条例の制定 犯罪にあわれた被害者の方が、平穏な生活を営むことができる社会を実現するため、広島県犯罪被害者等支援条例を制定
広島横断型スポーツ応援プロジェクト「TeamWISH」開始 全国的に活躍する県内スポーツチームの選手情報やデータ等を活用し、チームや競技の枠を越えた新たなスポーツの楽しみ方を提供
向洋駅仮跨線橋及び北口仮駅舎の供用開始 広島市東部地区連続立体交差事業により、向洋駅の仮跨線橋及び北口仮駅舎が完成し供用を開始
中国地方初となる特定都市河川の指定に向けて流域自治体の意見聴取を実施 改正特定都市河川浸水被害対策法に基づき、竹原市を流れる二級河川本川水系本川の特定都市河川指定に向けた手続きを開始
二級水系における「流域治水プロジェクト」を策定・公表 流域治水を推進するため、実施すべき対策の全体像をとりまとめた「流域治水プロジェクト」を県内すべての二級水系で策定・公表

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