令和6年11月25日(月)に、細川委員が広島西特別支援学校を訪問しました。
広島県立広島西特別支援学校は、県西部の大竹市に位置し、独立行政法人国立病院機構広島西医療センターに隣接する県内唯一の病弱特別支援学校です。
同校は、小学部・中学部・高等部を設置しています。病気や障害のため入院中、または入院見込みの児童生徒を対象に、治療を受けながら学ぶ環境を提供しており、主に重症心身障害や神経・筋疾患の児童生徒が学んでいます。
また、令和6年度に創立60周年を祝う会を行いました。学校の広くて明るいエントランスには、学校の活動を紹介するポスターや60周年を記念して作成したタイルアートが飾られています。タイルに描かれているマスコットキャラクターも生徒が考えたそうです。
【画像:エントランスに掲示されているポスター等とタイルアート】
今回は、学校の様子についてお話を伺ったほか、授業の様子や近隣の小学校とオンラインで交流する様子等を視察させていただきました。
広島西特別支援学校では、学校だけではなく、病棟でも授業を行っています。
同校と広島西医療センターは大きな渡り廊下で繋がっており、病棟で授業を行う教員や校舎で授業を受ける児童生徒が行き来しているほか、双方向通信システムなどICTを活用して、学校と病棟をつなぐ授業を実施しています。
最初に、通学生の特別活動の授業の様子を見せていただきました。
【画像:高等部の授業の様子】
高等部では1名の生徒が教室で学んでいます。授業では、自分の興味のある分野等から今後取り組んでいく探究テーマを決めているところでした。
指に装着するリングマウスを手に持って、小さい力でもタブレットを操作できるように工夫されていました。
この生徒はマスコットキャラクターを考えたり、小説を書いたりといろいろなことに挑戦しています。今年もオンライン上で対戦する「ロボットプログラミング選手権(病弱教育部門)2024」中国・四国大会に参加しました。プログラミング技術を磨くことだけでなく、他校の児童生徒との対戦を通して、交流する楽しさや達成感を味わったとのことでした。
中学部では、音楽の授業を視察しました。
筋力低下を補うための新しい支援具を利用してリコーダーの練習をするなど、児童生徒一人ひとりの実態に合わせて授業のやり方や教材などが工夫されています。
【画像:中学部の授業の様子】
次に病棟での授業の様子を、感染対策のため、オンライン上で視察しました。
病棟の児童生徒を教員が訪問し、ベッドサイドで授業を行います。高校2年生の生徒は、目の動きを感知してタブレット端末などを操作する視線入力装置を利用して教員とコミュニケーションをとっていました。
【病棟での授業の様子(オンライン)】
ICT機器を活用することで、オンライン上で病棟同士や校舎とつなぐことも簡単にできます。
児童生徒同士の交流や生徒会の活動、さらには、遠隔操作ロボット等も利用して校外学習や修学旅行もオンラインで実施されたそうです。
また、当日は近隣の大竹市立玖波小学校との交流の日ということで、遠隔操作ロボットで小学校と病棟をつなぎ、交流する様子を見せていただきました。近隣の小中学校とは年に数回交流を行っているそうです。特別支援学校の教員と一緒に小学校を訪れたのは遠隔操作ロボットtemi(テミ)。
ロボットを通して病棟の児童たちは玖波小の児童たちと交流していました。
【画像:玖波小学校と広島西特支の生徒の交流の様子】
【画像:遠隔操作ロボットtemi】
下山校長は、「意思表出が難しいと思われがちな児童も、同世代の児童に声をかけてもらうなど、普段と違う刺激があると覚醒レベルや心拍数があがるなどの反応があり、目の輝きや普段の表情と違う。
小中学校との交流は特別支援学校にとっても刺激となっており、中学校にとっても障害への理解が進むなど、お互いにプラスになっていると感じている。小学校や中学校、地域の人など、応援団を増やしていきたい。」と話しておられました。
今回の視察では、いろいろな場面でICT機器が活用されていることがうかがえました。
細川委員からの「普通に学校に行っているのと変わらないですね。」という感想に、下山校長は、「ICT機器を活用することで、病室にいながらも、外の世界とつながり、色々なことができるようになっている。人とのふれあいを感じ、いろいろなことを経験してほしい。挨拶やコミュニケーションを大切にし、病室にいながらもいろんなチャレンジをしてほしい。」と話していました。
学校訪問後の令和6年12月4日、広島県庁で開催された「特別支援学校フェスタ」では、広島西特別支援学校も遠隔操作ロボットを通じて参加し、会場の案内等を行っていました。
ICT機器によって児童生徒たちの世界が広がっているようです。
【画像:特別支援学校フェスタにて遠隔操作ロボットで案内等をする様子】