スペシャルトークvol.3

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SPECIAL TALK(スペシャルトーク)

サミットを、もっと身近に

G7広島サミットについて、県民等の皆さんにもっとよく知ってもらうため、専門家2人のお話を3回に分けてご紹介します。

第3回目の最終回は、次世代を担う若者へのメッセージやサミットの注目ポイントについてのお話です。​

対談写真

左:原 琴乃(はら ことの)外務省G7広島サミット事務局 総括次長/絵本作家

​右:高瀬 淳一(たかせ じゅんいち)名古屋外国語大学・大学院教授/グローバル共生社会研究所長

次世代を担う若者へのメッセージ

原琴乃氏(以下、原):サミットの開催は、次世代の方々が、世界を間近に見て、自分たちがどういう位置づけにあるのかというのを見つめなおす、非常に良い機会になるということ。そこで、サミットや世界が直面する課題を知ってもらうこと、世界の人たちと交流し一緒に課題を考えてもらうこと、サミット自体を体感してもらうことの3つの観点から、どういうことができるかについて考えているところです。知ってもらうことについては、「サミット塾」という参加型の事業を企画しており、「サミットってそもそも何なの?」「サミットの議題ってどういうもの?」といったことについて学んでもらいつつ、世界の課題や日本のリーダーシップに関心を高めてもらうというもの。また、世界の人たちと交流する企画やサミットを体感できる企画も、地元と連携しながら考えていきたいなと思っています。ぜひ積極的に参加してもらいたいですね。

 

高瀬淳一氏(以下、高瀬):サミットで話し合われていることをフォローすることにより、世界で起きていることを知るだけでなく、日本という国はG7の重要な一角を形成していて、自分たちも責任を持ってそういう課題に取り組んでいかなきゃいけない、という意識を持っていただくことも重要。例えば、日本には豊かな海があります。でもそれで満足しているだけじゃなくて、その豊かさに伴う責任も果たしていかなきゃいけないという自覚を持っていただきたい。ただ単に、環境を保護しましょうということで満足するのではなく、実際にいろんなことを率先してやっていかなきゃいけないし、呼びかけていかなきゃいけない。そういうことを意識して、次世代のリーダーになっていっていただけたら。

 

高瀬さん

 

原:今の若い世代のみなさんは、本当に私たち世代では思いつかないような想像力と行動力があると感じてます。サミットでは、世界が直面する重要で喫緊の課題を扱って、それに対して首脳たちによる処方箋が示されますが、その中で、自分たちだったら、こう提案したり解決したい、というような視点を持って、みなさんの柔軟な発想力で、考えてもらえる機会になると嬉しいです。世界的な統計でも国内の調査でも、Z世代やミレニアル世代の方は、社会に良いことをやりたいという活力が他の世代よりも高いというデータが示されています。そういうエネルギーが楽しみですね。

サミットに注目しよう

高瀬:マスコミの方から1番聞かれるのは、やはり写真撮影の場所と立ち位置ですね。それから、首脳が召し上がられた食事や、文化プログラムで取り上げられたもの。こうした話は、地元メディアの報道で特に詳しく報じられますので、県民の皆さんの関心も高いでしょう。写真撮影の立ち位置で言うと、議長国の首脳は必ず真ん中に立ちます。その両サイドに国家元首の格を持った大統領、そしてその外側に首相が、就任年数が長い順に並ぶ。一番外側には、EUの代表2人。また、9人で並んでいるからといって、それだけの会議だと思うのではなくって、EUは域内の27か国を代表してメンバーに入っていますし、アウトリーチ国の参加者もすべて集まると20人ぐらいになります。せっかくですから、各国の首脳のお名前や役割もチェックしていただき、クイズ感覚で、どの人がどこの国の首脳か当ててみる、というふうに楽しみながら勉強してみてください。

原:多くの方が一番アクセスしやすいであろう、ホームページやツイッターなどを活用して、堅めの情報から柔らかめのお話までいろいろなものを積極的かつ頻繁に情報発信していこうと思います。サミットでは、重要で喫緊の課題を取り上げると申し上げましたが、私たちが普段見聞きするニュースでは、それぞれの課題がばらばらに、これが起きた、あれが起きたと、報道されることが多いですよね。首脳会合の結果やその合意事項を見ると、そのような課題全体を把握できますので、こういう課題が国際社会で一番解決が求められているんだなということが俯瞰することができます。そういう視点で、どのような成果が構成されているのかという点を見ていただくと面白いかも。柔らかいお話については、広島の魅力や日本の魅力を世界に向けて発信するときに、特にどういう視点からどういうメッセージが使われているのかを見ていただくと、地元の方々にとっても新しい発見があるかもしれませんね。

 

高瀬:警備は非常に厳重なので、首脳たちと気軽に会えるチャンスがあるというふうには思わないほうがいいと思います。しかしながら、街中での移動ということになれば、その沿道でその様子を見るということは十分にあり得ます。前回の伊勢志摩サミットでも、首脳が伊勢神宮を訪問された際は、皆さんが沿道で待っていて、手を振ったりされていました。それこそ近くのお好み焼き屋さんにぽんと入ってきて召し上がるということはないにしても、いろんなところで交流が行われることはあるかもしれませんね。それから、配偶者や随行の方との交流もあるかも。そういう機会でいろいろな国のことを知るきっかけにしていただければ。

 

原さん

原:高校生ぐらいで、国際的なことに関心がある方だと、外国のニュースなどもインターネットで見られるかと思います。例えばBBCとかCNNで、どういうふうに広島サミットが報道されているのかといったことに注目すると、世界から見る広島、世界から見る日本というのがわかって面白いのではないでしょうか。​

地元の方へのお願い

高瀬:間違いなく市民の方には御迷惑がかかります。特に、元宇品の住民約1,500人には大変な影響があると思われます。過去20数年間の中で、今回のような人口100万人都市でサミットを開催するケースは聞いたことがないんです。それこそテロが話題になってからでは初めてぐらい。街の中心から7キロしか離れていないんですね。そうすると、世界のマスコミに向けた宣伝目当てにやって来るNGOや市民運動団体がいるわけです。最近も話題になっていますが、エコテロリズムとか何とか、とにかく目立って自分たちの主張を届けたいというような方々が来る可能性もあります。したがって、警備にも非常に力が入ることになるだろうと思いますので、市民生活にも間違いなくかなりの影響があると思います。これは長い期間じゃないので我慢していただくしかないかと思いますが、その分広島が世界に知れ渡っていくということで、御容赦いただければ。

 

原:G7広島サミットは、国が総力を挙げて取り組む、2023年で最も重要な外交行事という位置づけです。そのために、企画力、交渉力、調整運営力、発信力の全てをかけて頑張ってまいりますが、その分、地元の御負担も大きいかと思います。特に、サミット開催の10日前ぐらいから、警備などの準備が始まるので、宿泊施設や交通機関の運営や利用、それから様々なイベントの開催において、御不便をおかけすることがあると思います。皆さんのお力を借りて、良いG7サミットにしていけるよう、一緒に会合を作り上げていけたらと思っています。どうか御協力をお願いします。

 

おわりに

高瀬:サミットが始まってもう50年近くになるんですけど、多分歴史に残るサミットになるんじゃないかと。過去のサミットで行われた議論について、覚えてらっしゃる方はなかなかいないと思いますけど、今回、広島で平和のメッセージをしっかり出したということになれば、皆さんの記憶にも残るのではないでしょうか。開催都市を広島市に決めた段階で、ある意味成功間違いなしのサミットになっているので、あとはつつがなく実行されて良い成果が出るだけです。平和だけではなくいろいろな点で、新しいメッセージが打ち出せるようなサミットになることを期待しています。

高瀬さんと原さん

 

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