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10月18日(土曜日)5日目
○ 5日目のプログラム
・(希望者のみ)被爆樹木めぐりガイドツアー(広島城にて)
・ 研修成果発表(公開セッション)
5日間にわたる広島-ICANアカデミーのプログラムも、いよいよ最終日を迎えました。この日は、希望者が早朝に集合し、 広島城へ被爆樹木の見学に向かいました。
広島城内の被爆樹木や被爆遺構を見学する参加者
80年前、原爆により、広島城やその周辺地域も一瞬にして焦土と化しましたが、お城の境内にあるユーカリ、マルバヤナギはなんとか爆風に耐え、被爆から復興に至るまでの広島の歴史や被爆の実相を語り続けています。
参加者は境内にある被爆樹木や周辺にある遺構に関する歴史やエピソードについて説明を聞きました。
被爆樹木を見学した参加者のひとりは、「原爆に耐えた被爆樹木や、75年は草木が育たないと言われていたが、翌年には草木が生えたことで人々に復興への希望を与えた話は大変心に残った」と感銘を受けていました。
その後、全員が会場に集合し、午後から予定されている、成果発表会に向け、準備を進めました。
ファイナルプレゼンテーションに向けた準備の様子
参加者は3つのグループに分かれ、広島で印象に残ったことや、学んだことを今後どう生かしていくかなど、それぞれの学びや、発表の内容について活発な意見交換が行われました。

午後からは広島セッションの集大成として成果発表会が行われました。発表ではそれぞれのグループが、広島で学んだ事や広島の経験を通じて今後の活動にどう生かすかなどについて、プレゼンテーションを行いました。
【グループ1】

1つ目のグループは、それぞれが広島セッションで印象を受けたことや、広島での学びを今後の活動にどのように生かすのかということについてについて述べました。
参加者の一人は、林田 光弘氏の長崎の被爆の実相や被爆体験者のお話で印象を受けたことについて言及しながら、今後は広島、長崎の被爆の実相や被爆者の経験、核実験により被爆した人の体験について知り、被爆の記憶継承方法を研究し、応用することを通じて、人道的な活動をしていきたいと述べました。
また、別の参加者は、平尾 直政氏から原爆小頭症を患った胎内被爆者の影響や受けた差別が当時、そして現在の社会においてもあまり認識されていないことについて触れ、彼らの経験を社会に広く伝える必要性を示し自身もそのような活動に携わって行きたいと述べました。
このような意見を踏まえたうえで、参加者からは、今回広島に集まった20名の力は大変大きく、私たちが先頭に立って同世代を巻き込み、政府への提言活動や、核兵器、核実験の被害に遭った人々の体験を周囲に発信すること等を通じて、核兵器のない未来のために活動をしていく必要性が訴えられました。
【グループ2】

2つ目のグループは、今回の広島でのプログラムで体験したことを踏まえ、これまで広島、長崎への原爆投下について学習してきたこととの違いや、広島を実際に訪れて得た気づきなどについてそれぞれ発表しました。
まず、一人の参加者が、登壇いただいた被爆者の方から聞いたお話について触れ、被爆者の中にも日本人だけではなく、外国人もおり、それぞれの被爆者が被爆によって受けた身体的影響や、差別などの心身的な影響等、それぞれの経験を広く世間に広める必要があると述べました。
次の参加者は、自身の出身国が核兵器禁止条約に署名し核兵器に反対をしている国でありながらも、核兵器を開発するべきであると主張する人々が存在することについて触れ、被爆者のお話や原爆の様々な影響から学習した核兵器の非人道性について、帰国してからも積極的に周囲に発信していきたいと述べました。
別の参加者は、自国で聞いたある被爆体験伝承者の話を、広島で改めて聞いたことについて触れながら、広島・長崎を実際に訪れたうえで直接被爆体験を聞くことの重要性を訴えました。これらの意見を踏まえ、参加者からは、無差別に人の命を奪う核兵器の問題は全ての人類に関わっている問題であり、その解決のためには、一人一人の問題意識と、広島、長崎の被爆の実相が国境を越えて広がっていくことが重要であると発言がありました。
【グループ3】

3つ目のグループは、今回のプログラムを踏まえ、異なる視点の重要性について発表しました。
一人の参加者は、広島県内や、それ以外の地域の人々が持つ原爆投下に対する認識や考え方の違いや、核兵器を所有することに対して、世代ごとで傾向が異なること等について触れながら、自分たちの行動や、ものの見方次第で核兵器に対する社会の認識を変えることができると述べました。
次の参加者は、被爆者の経験を聞く際に、その背景にある想い、文脈のみならず、共有される方法や、誰によって語られているか等に目を向けることの重要性を述べました。
別の参加者は、自国の学校では、広島・長崎への原爆投下について詳細があまり語られていないことについて触れながら、原爆が落ちて多くの命が失われたという事実のみに目を向けるのではなく、原爆が投下された日以降も、多くの被爆者を苦しめ続けていること、またそれが社会的にそれほど認知されていないことに目を向け、それについて発信することで核兵器の非人道性について社会に認識させる必要があると述べました。
また、ある参加者は広島が復興した経緯について学び、それが自国の核実験の場所に住む人や同じような境遇にある人々の希望の光となることを知り、帰国後その経験を周囲のコミュニティに広げていきたいと述べました。
すべてのグループの発表が終わった後、フローリアン・エブレンカンプ ICANアドボカシー担当官、川崎 哲 ICAN国際運営委員からフィードバックのコメントがありました。

エブレンカンプ氏は、すべての参加者に今回のアカデミー参加への感謝を述べた上で、「元々はお互いを知らず、それぞれの考え方や背景を持つ若者がこの短期間でチームとなり、このような学習成果を発表してくれたことに非常に感銘を受けた。それぞれのプレゼンテーションには、広島での経験を踏まえた様々な学びが反映されていた」と発表を振り返り、「核兵器の問題は『決められた運命』ではなく私たちの行動で未来が変えられる。問題解決のためには若者の力が大きな役割を果たす。アカデミー終了後も参加者はICANの一員として活動を続けてほしい」と参加者の今後の活動に向けたメッセージを送りました。
また、川崎氏からは、「それぞれの発表が参加者一人一人の考えや広島での経験を反映しており非常に優れたものだった。今回の広島での皆さんの活動は、今後国際社会で活動を続ける上で重要な基盤になると思う」と発表についての感想と、「これからは、政策決定者や核兵器廃絶に否定的な人々を説得するための具体的な行動をしていただきたい」と今後の活動への期待が述べられました。

今回のプログラムを通じて、参加者の一人は「広島を訪問し被爆者との交流などにより、核兵器廃絶のためには広島のリーダーシップが必要不可欠であると実感した」と述べ、また別の参加者は「広島を訪れることで、広島の経験を過去のものにしないためそれらを語り継ぐ決意が固まった」と述べました。
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