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2025年 国際平和のためのユース対話イベント 開催結果
2025年「国連ユニタール広島青少年大使プログラム」に参加する高校生をはじめとする若者が、ゲストとの対話を通じて、平和への取組に関する議論を深め、「平和な世界」を実現するためのロードマップを、世界に向けて発信しました。
概要
日時:2025年8月6日(水曜日) 12:00~16:00
場所:ANAクラウンプラザホテル広島 3階 オーキッド
スケジュール:
セッション1(12:00~14:00):グループワーク(ロードマップ作成)
セッション2(14:30~16:00):ロードマップ発表、ゲストとの対話 ※ゲストはセッション2のみ参加
テーマ:被爆80年の今、広島から世界へ -若者が提案する核兵器廃絶・平和への道-
開会あいさつ:岸田 文雄 衆議院議員・元内閣総理大臣
参加者:
- 国連ユニタール青少年大使事業参加の高校生及び県人材育成事業修了者 22名
- オーディエンス(大学生・高校生) 64名
- 被爆者 後東 利治 氏
- 広島大学平和センター センター長 ファンデルドゥース・瑠璃 氏
- 国連事務次長・軍縮担当上級局長 中満 泉 氏
- 国連事務次長補兼国連ユニタール総代表(ファシリテーター) ミシェル・ジャイルズ=マクドノー 氏
- HOPe代表、元広島県知事 湯崎英彦 氏
- 赤十字国際委員会(ICRC)アジア大洋州地域局長 レジス・サビオ 氏
配信:
へいわ創造機構ひろしま(HOPe)YouTubeチャンネルにてライブ配信
大阪・関西万博広島県ブースにてライブ配信
集合写真
開会あいさつの内容
岸田 文雄 衆議院議員・元内閣総理大臣
「今日の安全保障環境は厳しさ、複雑さを増しており、核兵器の壁も私たちの前に大きく立ちはだかっている。だからこそ核兵器廃絶への気運を高める必要がある。これは唯一の戦争被爆国である日本の使命である。」

若者によるロードマップの発表
将来、核兵器の使用に対する問題意識や危機感が薄れてしまうという想定のもと、それを回避するため、今からできる方策を高校生が自ら考え、ロードマップを作成した。
高校生は3グループに分かれ、それぞれ平和へのロードマップを平和教育、被爆体験継承、人権・国際法の3テーマから発表しました。セッション1ではロードマップ案を作成し、当イベントで世界の政治リーダーと対話をし、ロードマップを完成させました。
| 平和教育 | 被爆体験伝承 | 人権・国際法 | |
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2025年 ~ 2030年 |
・平和学専門の学部を大学に設立 ・軍縮・SDGs紛争解決など多角的な視点からカリキュラム制作 |
・国内外の各被害地域とネットワーク構築 ・VRによる原爆体験シュミレーションを構築・普及 |
・市民参加型キャンペーンの立ち上げ ・核兵器禁止条約へ日本が署名・批准
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2031年 ~ 2035年 |
・ユネスコと協力し各国が活用可能なカリキュラムに改革 |
・ホログラムを活用し、被爆者が目の前で語っているような体験施設の開発 |
安保理の拒否権行使について、説明義務を設けるなど制度改革を進める |
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2036年 ~ 2040年 |
・世界で平和教育が浸透 |
・開発したホログラム作品を博物館へ展示 |
・拒否権乱用を非難する国連決議の採択 |
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2041年 ~ 2045年 |
・AIを活用し、各個人に平和学習を最適化 |
・ホログラムの技術革新を進め、平和資料館での常設展示 |
・核抑止論の正当性を政治的に否定する国連決議を採択 |
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2046年 ~ 2050年 |
・各国の教育水準を担保するような平和教育認証制度を設置 |
・被爆証言がユネスコの「世界の記憶」遺産に登録 |
・全ての国が核兵器禁止条約に署名 ・核抑止から平和外交へ転換
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高校生によるロードマップ発表
ゲストからのコメント
ミシェル・ジャイルズ=マクドノー 氏
ミシェル・ジャイルズ=マクドノー 氏は、「すべてのアクションには対話が必要。AI等の科学技術を正しく活用し平和へ取り組む具体的なロードマップが示されていた。私たちが持ているツールをいかに活用し、平和につなげていくかが重要である。平和の定義とは、戦争をすることなく人々に平等に機会を提供できる世界である。」などと述べました。
中満 泉 氏
中満 泉 氏は、「こういう未来が作りたい、1人ひとりが変革を自分たちで起こそうとする一歩が大切。そうすることで新しい視点・方法でコミュニティの安全、繁栄を考えることができる。」などと述べました。
湯崎 英彦 知事
湯崎 英彦 知事は、「ご存命の被爆者が少なくなっていく時代において、学生が平和への意識を保ち続けるために何が必要か。」という質問に対し「今までは被爆者の証言に依存しすぎていた。次の世代を担う自分たちで平和について考えていく事が重要。」などと答えました。
また、3つのアプローチ(非人道性アプローチ、安全保障アプローチ、持続可能性アプローチ)の重要性を指摘し、戦争が続く世界でも、これらの3つを広島から発信し続けていく重要性を述べました。
レジス・サビオ 氏
レジス・サビオ氏は、「ロードマップについて現実的にはさらに詳細に内容を整える必要があるが、学問的・専門的な視点で取り組んでくれたことを賞賛したい。政治的リーダーが改めて国際人権法の尊重を表明し、核兵器廃絶への最後の一押しをする。」などと述べました。
ファンデル・ドゥース・瑠璃 氏
ファンデル・ドゥース・瑠璃 氏は、「若い人たちが自分の考え方で、被爆の実相を伝え、自ら何ができるのかについて伝えようとしている姿を見て力を感じた。」などと述べました。
後東 利治 氏
被爆者の後東 利治 氏は、「今にも死ぬかということを何度も経験した。戦争につながることが一番良くないこと。国や自治体のトップ、被爆者、国民が一丸となって平和に取り組む必要がある。」などと述べました。
対話の様子
イベントが終わった後も、会場の熱気が冷めることなく、参加した若者は熱心に質問したり、写真撮影をするなどしていました。核軍縮・不拡散の分野で活躍する世界のリーダーと共に考え、対話することは、若者にとって得難い経験になったように思います。このイベントでの経験が、若者の様々なチャレンジのきっかけとなり、核兵器のない平和な世界の実現につながることを期待します。
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