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広島県とへいわ創造機構ひろしま(HOPe)は、被爆・終戦 80 年の節目にあたり、広島大学等と連携し、被爆 80 年人材育成特別プログラム「2045年の世界‐核兵器のない未来のために私たちができること‐」を実施しました。
2025年12月14日(日)に実施する公開イベントについては、公開発表会のイベントリンクをクリックしてください。
1 プログラムの目的
1945年8月、広島と長崎に投下された原子爆弾によって、多くの人が命を失い、生き残った方々も放射能の影響に苦しんできました。
それから80年たった現在、安全保障環境が厳しさを増す中で核兵器に対する依存の強化高まりや国家間の分断が進行しており、被爆の実相を伝えてきた被爆者の高齢化も進んでいます。
そのような中でも、核兵器のない世界の実現に向けて歩みを進めていくため、若い世代が核兵器のない未来の実現に向けて歩みを進めていくことが重要です。
そのため、本プログラムでは、広島大学平和センターや米国アイダホ大学と連携し、被爆体験と被爆者の想いを受け継いだ若い世代が、核兵器を巡る国際情勢と歴史に関する知識を深め人類が進むべき未来を発信することにより、核兵器問題への人々の意識を変革し、核兵器のない平和な世界の実現に向けた足がかりをつくることを、目的としています。
プログラムの中では、核兵器が使用される場合のワースト・シナリオを参加者が一丸となって考えるとともに、その回避策を検討しました。

2 プログラムの参加者
広島県内外の15~20歳の学生10名に御参加いただきました。
彼らは、既に被爆者との交流などを通して、被爆の実相に触れる機会があり、その後、自ら、平和活動や被爆の実相についての学習を行ってきており、継承の重要性を意識した上で本プログラムに参加しました。

3 プログラムの詳細
プログラムは3段階に分けて実施をしました。第一段階として、国内の核兵器分野の専門家などを招き、核兵器の状況に関する講義やワークショップを行い、第二段階として、習得した知識を活用し、核兵器国のアメリカで現地の大学生や、専門家と意見交換を行いました。
第三段階として、プログラムを通して作り上げたワースト・シナリオやその回避策についての発信を行っていく予定であり、12月14日に公開発表会を実施します。
専門知識の習得
(ア)時期:令和7(2025)年8月25日(月曜日)~令和7(2025)年8月29日(金曜日)
(イ)会場:広島市内
(ウ)内容:
核兵器分野の専門家を招き、核兵器を取り巻く安全保障環境や、核兵器の使用に伴う直接的影響、核兵器が使用された場合のシミュレーションなどについて学びました。
また核抑止の理論と核兵器禁止条約と規範形成の両面を学び、専門家へアドバイスをもらいながら、ワークショップを実施し、ワースト・シナリオの検討をしました。また、ワースト・シナリオを考える際などに活用していくために生成AIの使い方について学んだほか、アメリカでの国外研修に向けて、英語で議論するための演習を行いました。
ワースト・シナリオの検討については、ゼロから試行錯誤しつつ、学んだことを軸に考察を深めていました。
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月日 |
時 間 |
研修内容 |
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8/25(月) |
10:00-12:25 |
オープニング、アイスブレイク 生成AIの活用について(講師:ソフトバンク株式会社) |
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13:20-15:40 |
世界情勢、安全保障環境、核兵器の使用可能性への理解 (講師:元軍縮会議日本政府代表部大使 高見澤 將林 氏) |
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8/26(火) |
9:00-11:30 |
核兵器使用の直接的影響 (講師:広島大学平和センター教授 川野 徳幸 氏) |
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12:30-15:00 |
核兵器が使用された際に起こりうること (元長崎大学核兵廃絶研究センター(RECNA)センター長 鈴木 達治郎 氏) |
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8/27(水) |
10:00-12:20 |
アイダホ大学学生とのワークショップのための予行演習(英) (講師:アナリス・ガイズバート氏) |
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13:20-15:40 |
シナリオ作成ワークショップ |
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8/28(木) |
10:00-12:20 |
核軍縮と不拡散の現状と課題 (講師:長崎大学多文化社会学部教授 西田 充 氏) |
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13:20-15:40 |
核兵器禁止条約と規範形成の視点 (講師:Peace Boat共同代表、ICAN国際運営委員 川崎 哲 氏) |
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8/29(金) |
110:00-11:40 |
核軍縮・不拡散の議論の振り返り、ワースト・シナリオ等の検討 |
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12:40-14:20 |
核兵器問題、核兵器廃絶の振り返り、ワースト・シナリオ等の検討 |
国外研修(核兵器問題を巡る国際情勢や政策に関する意見交換)
(ア)時期:令和7(2025)年9月14日(日曜日)~令和7(2025)年9月21日(日曜日)
(イ)会場:米国 モスコー市、ワシントンD.C.
(ウ)内容:
核兵器国であるアメリカで、アイダホ州立大学に訪問し、現地の大学生とともに、講義やワークショップをしながら、核兵器に対する認識などを共有しました。

広島の原爆について知識のない学生達もいたことから、2日目には、被爆の実相に関する有志のプレゼンテーションや現状のプログラムでの学びの発表を実施しました。
また、核兵器について研究しており、それぞれ異なる立場をとる4つのシンクタンクに訪問し現状の世界情勢や核兵器に対する立場に対する意見交換をしました。
日本では普段触れることもない意見にも触れながら、生徒それぞれが自分たちの考えや疑問を積極的に表明していました。

意見交換等を参考にして、現地でもワースト・シナリオの具体化を進めていました。
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月日 |
場所 |
研修内容 |
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9/14(日) |
日本からモスコーへの移動 |
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9/15(月) |
米国 モスコー |
アイダホ大学職員による講義など |
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9/16(火) |
日米ユース共同ワークショップ (プレゼンテーションやディスカッション) |
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9/17(水) |
モスコーからワシントン D.C.への移動 |
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9/18(木) |
米国 ワシントン D.C. |
・核兵器関係のシンクタンク訪問・意見交換 〇軍備管理協会(Arms Control Association) 〇カーネギー国際平和財団 〇核脅威イニシアティブ(NTI) ・ワースト・シナリオ検討 |
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9/19(金) |
米国 ワシントン D.C. |
・核兵器関係のシンクタンク訪問・意見交換 〇ハドソン研究所 ・エノラ・ゲイ(ウドバー・ハジー・センター)視察 ・ワースト・シナリオ検討 |
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9/20(土) |
ワシントンD.C.発 日本帰国 |
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9/21(日) |
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発信
プログラムを通して作り上げたワースト・シナリオやその回避策についての発信を今後行っていきます。
令和7(2025)年12月14日(日)には、県内外の核兵器問題に取り組む若者たちも招待し、公開で発表会を行います。
是非御参加ください!詳しくは、公開発表会のイベントリンクをクリックしてください。