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比婆牛とは?|特徴、美味しさの秘密、肥育のこだわりを徹底解説!

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広島県に対して「牛肉」というイメージをもつ人は正直なところ多くないでしょう。でも実は、最近話題になっている広島のブランド牛があるんです。その名も「比婆牛 (ひばぎゅう)。え?比婆牛?はじめて聞いた!という方のために、ひろしまラボ研究員が徹底解剖していきます。

比婆牛とは?

放牧されている比婆牛

広島県の北東部に位置する庄原市 (旧比婆郡) で、中国山地特有の冷涼な気候のなか生育された広島和牛の一つ。肉質等級が3等級以上で岩倉蔓 (いわくらづる) をルーツにもち、口どけの良さが特徴的な広島県を代表するブランド和牛です。生産されている頭数が少なく、ほとんどが地元で消費されるため、めったに市場に出回らない稀少価値の高い和牛です。

比婆牛の定義

  1. その牛の父、母の父、母の母の父、のいずれかが広島県種雄牛であること
  2. 庄原市内で生まれ、広島県内で最終最長期間肥育されたこと
  3. 肉質等級が3等級以上であること
  4. 市が指定した県内のと畜場でと畜された黒毛和種の去勢牛または未経産牛であること
  5. 庄原市長が発行した「比婆牛素牛認定書」を有していること

実績と評価

和牛界のオリンピックと呼ばれる「全国和牛能力共進会」で種牛の部において、第4回 (昭和57年) ・第5回 (昭和62年) と2大会連続で全国制覇を果たしています。その翌年 (昭和63年) には、農林水産祭で畜産業界最高の栄誉である天皇杯を受賞するなど、実績も確かです。

また、令和元年 (2019年) 農林水産省より地理的表示 (GI) 保護制度に登録され、これは広島県だけでなく、中四国地方の和牛肉としても初めての登録でした。

GIマーク

地理的表示(GI)保護制度 ちりてきひょうじ(じーあい)ほごせいど

地域の伝統に育まれ、生産地の気候・風土・土などによって生み出された味や形、香りなどをもつ農林水産物や食品などの「地域ブランド」を守るための制度。

出生地は広島県庄原市

庄原市は西日本のなかでも寒冷な地域の一つで、標高150~200mの盆地をはじめ全般的に緩やかな起伏の地形を有しています。明治33年 (1900年) には、日本初の畜産研究機関「国立種牛牧場」が設立され、畜産研究の拠点として多くの研究成果や人材を社会に送り出してきました。

味わいの特徴は?

比婆牛のしゃぶしゃぶ

「幻の和牛」と言われるだけあり、その美味しさや味わいについてもまだ知られていないことが多い比婆牛ですが、一度食べてみると想像を超えた美味しさに驚く方が多いようです。

「脂と赤身のバランス」が絶妙!

脂と赤身のバランスがよく、すっきりと旨味が際立っていることが特徴です。和牛にとって、美味しさの秘訣ともいえる「口どけ」ですが、比婆牛は血統的に小ザシ (赤身に入る網目状の細やかな脂肪) が多いため、なめらかな口当たりを楽しめます。

豊富な「オレイン酸」で、とろける美味しさ

比婆牛の料理 広島菜巻き

比婆牛の脂にはオリーブオイルと同じオレイン酸が遺伝的に多く含まれています。オレイン酸の代表的な特性として、悪玉コレステロールの抑制や生活習慣病の予防が挙げられますが、その他にも「人肌で溶けてしまうほど融点が低い」という特徴があり、オレイン酸の含有量が「口どけや風味の良さ」に繋がることが分かっています。牛肉の美味しさにも深く関わっているんですね。

比婆牛を食べるなら「冷製料理」

比婆牛の料理 冷製料理

和牛といえば、まず「ステーキ」「すき焼き」を思い浮かべますが、比婆牛を食べるなら口どけの良さを活かした「冷製料理」が特にオススメ。お肉の概念を覆す新しいスタイルの料理として、ぜひ一度味わってみてください。

「美味しさの理由」をシェフに直撃インタビュー

「Fine bouche」の山田崇シェフ
Fine bouche 山田崇シェフ

広島県内で腕を振るう和食「肉割烹まさ㐂 (まさき) 」の平賀正樹シェフと、フランス料理「Fine bouche」の山田崇シェフに「料理人目線」から比婆牛の魅力や美味しさについてお伺いしました。脂と赤身のバランスはシェフも一目置いているようですよ。

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ところで、和牛とは「日本の牛 (在来牛) 」という意味ではなく、在来牛をもとに外国品種の牛と交配して誕生した品種群を示しています。日本の在来牛は、もともと役用 (農作業を手伝うための牛) として飼われていましたが、農作業の機械化に伴い、食用として品種改良されていきました。

比婆牛のルーツは、日本最古の四大蔓牛

優秀な系統を蔓 (つる) と称し、「蔓牛 (つるうし) 」によって和牛の改良が進められていくのですが、その元祖である「四大蔓牛」の一つに、庄原市発祥の「岩倉蔓」があります。比婆牛のルーツも、実はこの岩倉蔓にあるんです。

広島血統の「岩倉蔓」

江戸から明治時代に生きた畜産家の岩倉六右衛門 (1818-1896年) が、地元 (旧比和村) の優良な雌牛をもとにして血統の優れた蔓牛として作り上げたのが「岩倉蔓」です。遺伝学も生まれていなかった幕末に、近親交配を重ねて畜産の育種 (※) を図ろうという発想は、当時としては驚異的だったようです。

※育種とは、生物の遺伝質を人工的に変えて、一段と利用価値の高い新しい型のものを作り出すこと。

とにかく一度、食べてみて!

比婆牛は、酒どころ広島の日本酒とも相性抜群です。お好み焼や牡蠣だけではない広島県の新たなグルメとして広島観光の際にはぜひ一度、食べてみてくださいね。