【和牛甲子園2022】最優秀賞!おいしい秘訣は“赤ぬか”にアリ!?
ひろしま自慢 |
「和牛甲子園」をご存知ですか?甲子園で熱く盛り上がるのは野球だけではないんです。和牛を飼育する全国の農業高校生が一堂に会して、日頃の取組成果を競っています。おいしい和牛の生産に力を入れている広島県としても、彼らの取組を応援したいですね。
今年1月に開催された第5回大会で、広島県立西条農業高等学校が最優秀賞を受賞しましたので、今回はその成果をご紹介します。
和牛甲子園とは?
JA全農 (全国農業協同組合連合会) が主催する和牛肥育のチャンピオンを決める全国大会です。
この大会では、甲子園と名付けられているとおり全国から「高校牛児」が集い、授業等の一環として農業高校生の手によって飼育された和牛を「和牛飼育の取組内容」と「枝肉の肉質」2つの部門で競います。
祝!最優秀賞!県立西条農業高等学校
2022年1月に開催された第5回大会において、東広島市にある広島県立西条農業高等学校が和牛肥育の「取組評価部門」で最優秀賞を受賞しました。おめでとうございます!
今年の大会は過去最多の出場数だったようで、19県35校50頭 (新規参加県3県・新規参加校5校) の中、広島県では唯一の出場でしたが、和牛肥育の取組内容が高く評価されて最優秀賞に輝いています。
どんな取組が評価されたの?
テーマは「短期肥育への挑戦!広島牛児の和牛革命」ということで、脂肪の質であるMUFA (脂の口どけ) に着目した短期肥育に取り組みました。独自に行った市場調査によって浮き彫りになった課題を、広島牛児ならではのアイデアで解決の糸口を提案しました。
短期肥育の課題は…?
一般的に、出荷月齢 (現在の県内平均:28か月) の短縮は、飼育費の削減や回転率の向上など生産コストの低減につながります。
しかし、西条農業高校が行った今回の市場調査では、短期肥育の牛は旨味が少なく、肉質が安定しないという意見が多い結果に。短期飼育を実現しながらも、いかに旨さを確保できるかが課題でした。
解決の糸口は日本酒の“赤ぬか”にあり!
ここで、西条農業高校が注目したのが日本酒の醸造過程から出る“赤ぬか”です。赤ぬかにはオレイン酸 ※1 が多く、栄養価や牛の嗜好性も高くなります。その特徴に着目して地元の酒蔵である賀茂鶴酒造の協力の下、赤ぬかの給与に取り組みました。
また、短期肥育には牛の体重を増やすことも重要になりますが、「赤ぬか」を適切なタイミングで給与することで、採食率が落ちてしまう夏場でも50%以上の維持に成功。順調な増体結果が得られました!
※1 オレイン酸:口どけの指標として用いる脂肪酸の一種。脂肪の融点が低いため、常温でも溶け出し口どけが良いとされています。
赤ぬかの効果はどうだった?
さて、肝心の肉質の結果が気になりますね。赤ぬかを給与した今回の試験牛の格付成績は、県内選抜牛が集まる広島県畜産共進会出品牛 (令和3年度夏季・冬季) の平均値と同程度の結果が得られ、短期肥育を実現しながらも肉の旨さを確保する糸口が見つかりました。
また、平均月齢よりも4か月早い出荷により、その分の飼料 (1戸あたり400万円!) 削減につながったとのこと。生産者さんのコスト削減にも貢献できそうですね。
今後の高校牛児にも期待!
広島県にはたくさんの「おいしい」が詰まっていますが、そこには高校牛児のような頼もしい存在がありました。今後の活躍をひきつづき応援しています!
広島県が発行する広島和牛News 61号 (PDFファイル) でも取り上げられていますので、こちらもぜひチェックしてみてください。