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手持ち扇風機で風を受ける女性

【これって熱中症?】よくある初期症状と対策ポイント6つ

ひろしまで暮らす |

最近連日のように熱中症対策を呼びかけるニュースを目にしますが、具体的にどういったことに気を付けたらいいのでしょうか?

熱中症対策と初期症状、そして異変を感じたときの対応策についてまとめましたので、ポイントを押さえて、暑い夏を乗り越えましょう!

そもそも熱中症ってなーに?

夏の木漏れ日の画像

熱中症とは体温の上昇やめまい、痙攣 (けいれん) 、頭痛など暑い環境で生じる健康障害の総称です。

体温が上昇することで体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、産熱 (身体が熱を作る働き) と放熱 (身体の外に熱を逃がす働き) のバランスが崩れて体温の調節機能が働かくなることで引き起こされます。

症状が深刻なときは命に関わることもありますが、正しい知識があれば予防することができます。

見逃さない!熱中症の初期症状

頭を抱える女性

1段階目 : 立ちくらみ、めまい、足がつるなど

体温が上がると体の表面 (皮膚の下) を流れる血液の量が増えて血液が体全体に行き渡るため、一時的に血液が足りなくなり血圧が下がることがあります。その時脳に十分な血液が送られず酸欠状態になって、立ちくらみやめまい、足がつるなどの症状を起こします。

2段階目 : 嘔吐、だるさ、体のけいれんなど

汗をかいて体内の水分を失った時、十分に水分を摂取しなければ脱水症状になり嘔吐や倦怠感を感じるようになります。また汗をかくことで体内の塩分が不足し、手足がつるなど筋肉のけいれんを引き起こすことがあります。

3段階目 : 倒れこみ、意識障害など

体温が上がり体温を調節する働きが追いつかなくなると脳に影響が及び、倒れたり意識障害をきたすことがあります。熱射病という症状で、体にとって非常に危険な状態です。

1段階目のめまいやふらつきなど熱中症の初期症状に気付いたらすぐに休んで水分・電解質補給すべきです。何も対応をしなければ結果として意識が朦朧としてきて、状態を判断できないまま急に意識を失う場合もあります。

その他によくある熱中症の症状

  • 唇がしびれる
  • 大量の汗をかく
  • 脈がいつもより早い
  • 顔のほてり、赤くなっている
  • 呼吸が難しい、過呼吸になっている
  • 体温がいつもより高い、熱がこもっている感じがする

いつもと身体の調子が異なる場合は「今年の夏は暑いからそんなもの」「まだもう少し耐えられそう」と考えてはいけません。無理をせずに休む、部屋のクーラーをつけるなどの対策を取ってください。

熱中症の症状が疑われる場合は、冷房が効いた屋内や木陰などの涼しい場所へ移動して、衣服をゆるめて安静にしましょう。自動販売機の冷たいペットボトルで構いませんので、首や脇の下、太ももの付け根を冷やして体温を下げ、水分や塩分を少しずつ摂取してください。

無知と無理から熱中症は始まる!知っておきたい対策6つ

熱中症は無理と無知から起こると言われています。危険性や対策などの知識を持っていれば予防できるということで、今回は熱中症対策の6つのポイントを、広島県と包括的連携協定を締結している大塚製薬株式会社広島支社の大久保さんと江上さんに教えていただきました。

大塚製薬株式会社の大久保さんと江上さん
大久保さん(左)と江上さん(右)

(対策1) 喉の渇きを感じる前にこまめに水分補給を

汗をかいていないとしても1日に約900ml (※) の水分が知らないうちに呼気や皮膚などから失われると言われています。屋内外限らず、水分を手元に置いておくなど常に補給ができるようにしておきましょう。

目安としては、3食食事をするタイミング以外で、汗をかいてない場合でも1日に1,200mlの摂取です。体の約60%が水分ですが1-2%の損失で軽度の脱水になります。のどの渇きは体重の2%失われたら感じるため、喉が乾いたと感じたらそれは脱水症状のサイン。

喉の渇きを感じる前に、意識的に摂取しましょう。特にマスクによって、のどの渇きを感じにくいのでこまめな補給を心がけましょう。

※体重60kgの人が平熱、室温28℃の環境の場合。

(対策2) 水やお茶では不十分?電解質の補給も

炎天下のペットボトル

汗をかいていない時は水での水分補給で十分ですが、屋外での活動やスポーツをする時など汗をかくような状況では、水だけでは不十分。汗をかくことで失われる電解質は、血液中に最も多いナトリウム (塩分) です。ナトリウムを補給するためには電解質や水分吸収を促進する糖質が含まれた飲料がおススメです

熱中症対策飲料と呼ばれている100mlあたり0.1~0.2%の食塩を含んでいる飲料や経口補水液を摂取することで、効率よく水分補給ができます。

逆に汗をかいているときに水やお茶などを摂取すると体の中の塩分濃度が薄まってしまい、体液の濃度を一定に保とうとする体の働きによって、過剰な水を尿として体の外へ出してしまいます。結果的に自発的脱水という状態を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

(対策3) 室温28℃を目安にエアコンや扇風機を使う

スポーツやお出かけなど汗をかくことを日頃しないからといって油断は禁物です

屋内でも汗をかくような状況では皆さん意識的に水分補給をされているかもしれませんが、クーラーの効いている涼しい部屋にいる時にも体から水分が出てしまいます。室温を28℃を目安に設定し、エアコンや扇風機を使って体温の上昇を防ぐとともに、こまめに水分や電解質を補給をしましょう。

1日中涼しいオフィスで過ごす方やテレワークのため自宅で仕事をする方の日常にもリスクは潜んでいます。実際、自宅で熱中症になられて救急搬送される方も多いため、油断しないようにしましょう。

(対策4) 暑い時は無理をしない

普段感じないようなしんどさや症状があれば、何よりも無理をしないことが大切です。例えば部活動を始めたばかりの学生さんは、部活中に異変を感じたとしても訴えることに躊躇するかもしれません。

しかし、我慢は禁物です。ご家族に部活動を頑張る方や屋外での仕事や活動が多い方などがいらっしゃる場合は、休憩やこまめな水分・電解質補給を呼びかけましょう。暑い時に無理や我慢をしないこと、そして周りにそのことを伝えることが命を守ることに繋がります

(対策5) 涼しい服装をする

できるだけ風通しのいい涼しい服装を心がけましょう。汗が空気に触れ蒸発することで効率よく熱を外に逃し、体温を下げることができます。

夏場は日焼け対策のため長袖のカーディガンを羽織っている方をよく見かけますが、長袖は生地と体の間に熱がこもりやすく、体温上昇に繋がり熱中症を引き起こす可能性が高くなります。

日焼け対策も大切ですが、熱や汗がこもりやすい服装を避けて快適に過ごしましょう。直射日光を避けることができる日傘は体温の上昇も抑えることができ効果的です。

(対策6) 汗をかく習慣を身につける

運動する女性

人の体には暑熱順化といって、暑さに少しずつ慣れていく機能があるのですが、梅雨明けに気温が急に上昇し、夏日が続くことで、暑さに身体が順応できないまま熱中症を発症することがあります。熱中症によって救急搬送される人が最も多いのが梅雨明けの時期です。

そのため、日常的に汗をかくように心掛けましょう。汗は蒸発するときに体温を下げるので、体温調節に役立つためです。日頃から運動して汗をかき、体温調節に慣れておくことで、気温の急激な上昇に順応できるようにしておきたいですね

「おかしいな?」と思ったらすぐに行動を!

もし熱中症の症状を感じたり一緒にいる家族や友人が発症したら「大したことはないだろう」と放っておかず、すぐに対応する必要があります。周りの人が発症した場合はまずは意識があるか確認しましょう。意識障害を発症しているようであればすぐに救急車を呼ぶことが大切です。

もし移動できそうな場合は、クーラーが効いている場所など涼しい部屋に誘導し水分や電解質を摂取しましょう。そして効率的に体温を下げるため、水や濡れタオルなどで体を被い血管が集中している脇の下や首、大腿の付け根に冷たいものを当てるなどして、体温を下げるための対応が必要です。そのまま安静にして十分に休息をとりましょう。

インタビューの様子

体が発する危険信号をしっかり察知できるよう正しい知識を身に付け、日頃からできる対策を行いましょう。もし立ちくらみやめまい、足がつるという症状を感じた時には「大丈夫だろう」と油断せず対応を行うことが大切です。

マスクを着用していると熱中症のリスクは上がります。お一人お一人が場面に合わせてマスクの着脱を判断しましょう。