「比婆牛」 オススメの食べ方とは!?お酒との相性も!
広島県が推している隠れたグルメ「比婆牛 (ひばぎゅう) 」。頭数が少なく普段はなかなか食べることができないことから「幻の和牛」とも言われています。広島県では比婆牛を県内の高級飲食店で食べられる「比婆牛の魅力体験フェア 第2弾 」を11月25日まで開催しました。
今回は、このフェアに参加の10店舗のうち、第1弾にも参加され、広島市内中心部で腕を振るう日本食とフレンチの料理人お二方に、比婆牛の美味しい食べ方、更にはお酒とのペアリングについてインタビューしました。 記事を読み終わった時にはきっとあなたも比婆牛を食べずにはいられなくなるはず!
※なお、フェア参加店舗のフェア後の比婆牛メニューの提供については、直接店舗までお問い合わせください。
絶妙な「脂と赤身のバランス」でリピーターも唸る
まずは広島市南区で肉と純和食の組み合わせを堪能することができる「肉割烹 まさ㐂 (まさき) 」の平賀正樹シェフに、比婆牛の魅力をインタビューしました。
料理人として、素直にすごいなぁと思います
比婆牛の魅力は何ですか?
肉の味がとてもしっかりしており、口溶けがよく脂にも旨味があリます。脂があっさりしていることも特徴の一つで、脂が比較的多いロース肉を喜んで食べていただいています。また、脂身は避けてほしいと仰る年配のお客様に、三角バラ (サシが入っている脂みのある部位) の冷製料理をお出ししたところ、その脂のあっさりか故喜んで食べていただけました。
料理人の立場で比婆牛の魅力を考えた時、他の和牛はもちろん基準はクリアしているけれども個体によってクオリティがいい時もあればそうでもない時もあるんです。ただ比婆牛は一定のクオリティでブレがなく調理がしやすく、料理人として、素直にすごいなあと思います。
もともと比婆牛をご存じでしたか?
存在は知っていましたが調理するチャンスに巡り合うことがありませんでした。他の和牛については料理人の間で話題になることはあるのですが、比婆牛について話す機会はほとんどなかったですね。
この度、比婆牛フェアに参加することになって本格的に調理してみたのですが、比婆牛の美味しさと魅力を再認識することができました。
口の中で広がる甘味を味わって
美味しい食べ方は何ですか?
焼肉やしゃぶしゃぶ、すき焼きとして食べるのは言わずもがな美味しいですが、脂がすっきりとして他の食材と喧嘩しないので、海鮮と合わせても美味しさが引き立つと思います。
この料理はサーロインの部位を薄くスライスして、煮穴子を炊いたタレにくぐらせたあと、蒸した穴子と広島菜を一緒に巻きました。穴子のタレは味がしっかりしていますが、そのタレの強さに負けることなく、比婆牛が本来持っている旨味を感じていただけます。口の中で広がる甘みも味わっていただきたいです。
オススメのペアリングを教えてください
比婆牛は肉の旨味がしっかりしていることから和食と相性がいい気がしていて、やはり日本酒が合うと思っています。比婆牛の独自の口どけを感じていただけるように冷製料理もご提供していますので、日本酒のペアリングをぜひお楽しみいただきたいです。
料理をとおして「比婆牛の美味しさ」を届けたい
お客様の反応はいかがでしたか?
昨年度から比婆牛フェアで比婆牛をご提供していますが、比婆牛の存在はまだまだ知られていないと感じています。ただ確実に比婆牛ファンの輪は広がってきており、予約をして下さる度に「比婆牛が食べたい」と仰る常連のお客様もいらっしゃるほどです。その声に応えられるように毎回試行錯誤を重ねながら料理をご提供しています。
肉の素材を生かすため、いつもできるだけシンプルな味付けを心掛けていますので、様々な形で比婆牛を楽しんでいただけると嬉しいです。
比婆牛の美味しさや料理の詳細、ストーリーをお話しさせていただきながら、お客様とのコミュニケーションを大切にして多くの方に比婆牛の美味しさを知っていただけるよう、引き続き「料理」という形で魅力を届けていきたいと思っています。
シェフも憧れる「希少で理想的な」和牛
つづいて、広島市中区で季節や旬を感じる本格フランス料理を楽しむことができる「Fine bouche」店主の山田崇シェフに、比婆牛の美味しさをお聞きしました。
いつか調理したいと憧れていた食材
比婆牛の魅力は何だと思いますか?
憧れの和牛ですし、大好きです。正直、許可が下りるのであれば生肉を食べていただきたいと思うほど、脂が綺麗で口溶けがいいです。赤身のお肉の味が強くて旨味を感じることができる理想的な牛肉だと思います。
高級和牛ですが、脂が全くしつこくなくて口溶けがいいですね。柔らかいと聞くと脂っこいというイメージがあるかもしれませんが、全く脂臭くもなくしつこくないのでたくさんの量を普段召し上がらないお客様もしっかり食べていただいています。
もともと比婆牛についてご存じでしたか?
母の出身が庄原市だったこともあり、子供の頃から存在は知っていました。ただ食べる機会はあまりなかったです。てっきり比婆牛は広島県では有名だと思っていたのですが、料理人になって比婆牛を食べたいと思っても広島市内で食べられる店がなく、仕入れも庄原市へ足を運ばないといけない状況でした。
以前、三越で比婆牛フェアが開催されていた時に比婆牛を食べて感動し、いつか私も調理したいと思ったことを覚えています。
昨年比婆牛フェアのお話をいただき、ようやく比婆牛に辿り着くことができました。料理人になって以降、いつか調理したいと何十年も憧れていた食材なのでとても嬉しいです。
難題があればあるほど「面白い!」
比婆牛フェアで冷製料理にチャレンジしてみていかがでしたか?
正直、難しかったです。一度加熱して冷ます必要があり、筋肉が硬直したタイミングで火を入れると固くなり、それをまた冷ますとより固くなってしまうので、固くなく歯切れがいい状態を念頭に置いていました。
肉の厚さにもこだわりました。薄ければさほど固さは気にならないのですが、そうしてしまうと肉を食べた感じがしないため、ある程度の厚さもあり咀嚼感や歯応えを感じられるようにしました。調理するタイミングと厚さを調整することは難解でしたが、難題があればあるほど「面白い!」と思う性格なので、冷製料理をお皿として仕上げるための試行錯誤は楽しかったです。
冷製料理でこだわったことは何ですか?
部位によって調理方法を変えることと、手間をかけることです。肉質が硬くなる部分はコンソメのジュレにして柔らかい部分は火を入れてスライスにするなど、部位よって調理方法を変えています。
例えば、夏には広島県産のトマトをぎゅっと凝縮させてソースにし、トマトの香りで酸味をつけながらコンソメがお肉の味に勝らないように冷製料理に仕立てました。
工程だけ見るとお肉自体は焼いて冷ますだけなのですが、ソースにしっかり手間をかけています。料理人は手間をかけた分を突出させたいと思うのですが、比婆牛に勝ってはいけないのでソースは控えめにして比婆牛を突出させるようにしました。このバランス感覚は難しかったですが楽しかったです。
お客様も噛めば噛むほど味が出てきて、美味しかったと言ってくださいました。
「焼いた比婆牛が食べたい」の声にも応えたい
今後の意気込みを教えてください
自分自身のルーツが庄原にあるため比婆牛との出会いはご縁だと感じています。欲を言えば比婆牛取扱店になりたいと思っています。冷製料理は前菜であり入口なので、多くのお客様からは「焼いた比婆牛が食べたい」というご要望を多くいただきました。やはりせっかくだからステーキでガッツリ食べたいというお声にもお応えしたいと思います。
今後一人でも多くの方に、広島県が誇る和牛の味を体感していただきたいです。
インタビューを終えて
インタビューにご協力いただいた平賀さんと山田さんは共通して比婆牛の魅力を「柔らかさとさっぱりとした脂、そして旨味をしっかりと感じることができる」と仰っていました。シェフにとって長年調理したいと思っていた憧れの和牛だったという言葉が印象的でした。比婆牛を料理として提供されている飲食店、そして何より愛情を持って価値を伝えられているシェフの皆様がいらっしゃること自体が比婆牛の価値でもあります。
広島の美味しい食は、お好み焼きや牡蠣だけではありません。広島でしか食べられない「幻の和牛・比婆牛」も候補の一つに入れてみてはいかがでしょうか?特別な人との食事にもってこいです。これから広島市内でも比婆牛を楽しむことができる飲食店が増えてくるので、とても楽しみですね。
- 肉割烹 まさ㐂
- 〒732-0811広島市南区段原1丁目6-9
- 電話:082-569-5553
- ウェブサイト
- Fine bouche
- 〒730-0041 広島県広島市中区小町8-5
- 電話:082-259-3996
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