
日本酒の種類と違いを知ろう!秋限定のひやおろしって?
ひろしまを学ぶ |
暑さが和らいで朝晩涼しくなってきたこれからの季節は、熱燗が恋しくなるなど日本酒ファンにとって楽しみの幅が広がります!
何より「ひやおろし」が出荷されるのもこの時期♪今回は、そもそも日本酒ってどんな種類があって何が違うのか、そして「ひやおろし」ってどういう日本酒なのかについて解明していきたいと思います。
目次
純米酒と本醸造酒の違いをまずは知ろう!

「日本酒」と名乗れるのは、原材米に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒のことです。
「日本酒」の中でもさらに、お米の精米歩合や原料などの条件を満たしたものを「特定名称酒」と呼び、その中に「純米」や「本醸造」があります。
「純米」は、米、麹、水だけで作られる日本酒のことで、「本醸造」は、米、麹、水に醸造アルコールを添加して作られる日本酒のことです。
つまり、「純米」と「本醸造」とは、「醸造アルコール」が含まれているかどうかの違いになります。この「醸造アルコール」の役割がポイントで、醸造アルコールを入れることで飲み口がスッキリして、香りが良くなると言われています。
そのため、酒蔵や製法によっても異なりますが、一般的には、「純米酒」は米本来の香りや味わいを楽しめるものが多く、「本醸造酒」はクセが少なく飲みやすいものが多いため、日本酒を初めて飲む方は「本醸造酒」から試してみるのがよいかもしれません。
お米をぜいたくに使う吟醸酒とは?

もう1つ、日本酒のラベルで「吟醸」という言葉を目にしたことはありますか。
「吟醸」というのは、先ほどの「純米」や「本醸造」の条件を満たしたうえで、さらに原料となる米を磨く度合い (「精米歩合」と言います) が高く、精米歩合60%以下のものを「吟醸酒」、50%以下を「大吟醸酒」と呼んでいます。
米は、日本酒になるために必要な「でんぷん」で、ほぼ占められています。ただ、米の外側には「たんぱく質」や「脂質」が含まれています。これらは、雑味や好ましくない香りのもととなってしまうため、磨きをかける必要があります。
日本酒に使われる米は「酒造好適米 (酒米とも言われます) 」と言われ、私たちが普段食べているお米 (食米) とは異なるものです。もともとたんぱく質や脂質が少ない特性がありますが、さらに50%も磨く大吟醸酒は贅沢な日本酒といえますね。
原料や精米歩合などで8種類に分けられます
ここまで「特定名称酒」における純米、本醸造、吟醸の違いを説明してきました。これらを醸造アルコールの有無と精米歩合でまとめると次のようになります。

もっと詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
広島県では、気候変動に対応した日本で初めての酒造好適米品種を開発しています

最近、私たちが普段食べている食米の米不足が話題になりました。米不足の原因の1つが昨夏の猛暑だったとも言われています。
酒米も同様に暑さの影響を受けますが、これまでの酒米は夏の高い気温に弱く、猛暑の年に酒米の品質や原料利用率の低下による清酒の品質の低下が生じていたことから、夏場に高い気温に晒されても品質低下が起こりにくい酒米の開発が求められていました。
そこで、広島県立総合技術研究所では、JA全農ひろしま、広島県穀物改良協会、広島県酒造組合、農研機構西日本農業研究センターと10年にも及ぶ共同研究により、稲が実る時期にあたる夏場に高い気温に晒されても品質低下が起こりにくい広島県オリジナル酒造好適米品種「萌えいぶき」を2023年10月に発表しました。
「萌えいぶき」は、高温に強いだけではなく、醸造時に米が溶けやすく豊かな味わいのお酒になりやすいこと、精米の際に米粒が割れにくい性質があることから、大吟醸酒にも向いた酒造好適米になっているそうです。
また、広島県立総合技術研究所の機関の1つである食品工業技術センターでは、「萌えいぶき」を100%使用した試験醸造酒「明魂」を今年の秋に販売するそうですので、興味のある方は県ホームページをご覧ください。
日本酒にも「生」がある?!

日本酒造りで重要となるのが、「火入れ」です。
日本酒の中では、菌が生きており、発酵し続けています。火入れにより雑菌の増殖を防ぎ、酵母の発酵や酵素の働きを止めることで、日本酒の品質や味わいを保つことができます。
通常、貯蔵前と出荷前の2回のタイミングで加熱処理を行うことが多いですが、火入れをする回数やそのタイミングによって、酒の特徴はかなり変わります。
この火入れをしない日本酒や火入れの回数が少ない日本酒は、品質が変わりやすいため冷蔵保存が必要です。そのため、つくられた地域で消費されることが多いです。日持ちしないのが難点ですが、生酒ならではのフレッシュさが楽しめるため、旅行先でそのご当地の「生」を楽しむという日本酒ファンもいるとか!
今回は「生」がついた名称で呼ばれている3種類の日本酒をご紹介します。

生酒
火入れを全くしない日本酒です。生ならではのフレッシュ感が楽しめます。原料などによって純米生、吟醸生などいろいろなタイプの生酒があります。
生貯蔵酒
生酒の状態でそのまま低温貯蔵し、出荷前に1度だけ火入れした日本酒です。生酒のフレッシュ感があり、火入れをすることにより劣化しにくくなります。
生詰め酒
火入れは、貯蔵前の1回のみ行い、程よく熟して品質が安定します。秋になると目にする「ひやおろし」も生詰め酒の一種になります。
秋の日本酒「ひやおろし」って?

この季節、酒屋さんで「ひやおろし入荷しました」というのぼりなどを目にしませんか?
この「ひやおろし」は「生詰め酒」の一種で、春先に絞ったお酒を夏の間熟成させ秋に出荷します。熟成させることで味がまろやかになるとともに、火入れは1回だけなのでみずみずしい味わいも楽しむことができます。
残暑厳しい9月に出荷されるひやおろしは、冷酒や氷を入れて日本酒ロックにして、みずみずしさをお楽しみください。
秋が深まってくる時期に出荷されるひやおろしは、ぬる燗や熱燗にして、まろやかな口当たりと芳醇な香りを楽しみながらいただくのがおすすめです。
秋限定のひやおろしを楽しみませんか?

秋の到来を告げる「ひやおろし」は、年に一度のお楽しみです。
様々な酒蔵からいろいろな種類のひやおろしが出ていますので、自分好みのひやおろしと、それに合う秋の味覚を見つけてみてはいかがでしょう。
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