子育てをしていると,「これでいいのかな」と悩んだり,「どういうことだろう」と疑問に思ったりすることもたくさんありますよね。
そんな悩みや疑問にお答えし,少しでも子育てのヒントになることを願って,これまでに作成した「『遊び』は『学び』リーフレット」でご紹介してきた「教えて!〇〇先生!!」を集めたページを作成しました。
今後も様々なテーマに応じた専門家の方にアドバイスをいただき,掲載していきたいと思います。
★★注目情報★★
・「『子供にとって心地よい感覚を…~おやつやおもちゃの選択』濱田祥子准教授(比治山大学)」
・「『大人はつい手助けをしそうになりますが…~遊びへの大人の関わり」富田雅子准教授(岩国短期大学)」を追加しました!
テーマ | 先生からのアドバイス | 先生の御紹介 |
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こんな毎日で大丈夫かな? |
生活リズムを整える三つの要素は「寝る」・「食べる(飲む)」・「遊ぶ(動く)」です。朝,適切な時間にスッキリ目覚め,朝ごはんを食べ,排便し,元気に遊び,夜にはぐっすり眠ります。生活リズムは,朝起きて光を感じることでメラトニンという夜に眠たくなるホルモンのスイッチが入ります。 |
七木田方美(ななきだ まさみ)先生![]() 比治山大学短期大学部幼児教育科教授。 研究分野は,乳幼児保健学(感覚の発達・アタッチメント・障がい児保育)。保育等に関する著書,研究多数 |
毎日おなじ遊びばかりで楽しいのかな? ~「期待通りになる」という快い安心 ![]() |
おむつが濡れて不快になると,必ずおむつを取り替えてきれいにしてくれる人がいて,お腹がすいて泣くと,必ず授乳してくれる人がいる。そこにある顔がいつも同じで,「不快」を「快」にいつも同じように導いてくれる。この「同じ」お世話の繰り返しにより乳児は「期待」を覚えます。この「期待」が「繰り返し遊び」の原点です。 姿勢や手指の発達が進むと,「積木を重ねる-崩れる」「叩く-動く・音が出る」といったチャレンジタイプの繰り返し遊びが始まり,期待通りになるという喜びを,子供は満足するまで繰り返します。 0歳のおむつ替えから,およそ2歳のチャレンジタイプの繰り返し遊びへの変遷は,「期待通りになる」という快い安心を,他者に与えてもらうことから自分で得るものへの変換過程。この心の自立過程に傍らにいる大人が楽しく寄り添ってあげるといいですね。 |
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こんな毎日で大丈夫かな? ~心地よい生活を創る経験 ![]() |
身体的な発達とともに,自分でできることが増えていく中で,子供たちは,心地よい生活を創る経験を積み重ねていきます。食事に合わせて箸やスプーンを使い分けることできれいに食べられたり,使ったものを片付けることで,次も気持ちよく遊べたりすることを学んでいきます。時には,どうしてこんなことにこだわるの?できないの?と思う場面もあると思いますが,スモールステップで一緒にやってみたりすることで,子供たち自身が自分の生活を自分で決めている,心地よい生活づくりの主体である経験を大切にしていきましょう。 | 上山瑠津子(うえやま るつこ)先生![]() 福山市立大学教育学部児童教育学科准教授。 研究分野は,幼児教育学,発達心理学。子育て支援,幼児教育等に関する著書多数。 |
どうしたら「がまん」できるかな? ~認めて育つ自制心 ![]() |
自分の欲求をコントロールする力,いわゆる自制心は,幼児期から児童期にかけて発達していきます。これは,成長とともに,他者の気持ちを理解したり,自分の気持ちを表現したりする力が育っていくことが関係しています。家庭や園生活を通して,自分と他者の折り合いをつける葛藤経験は,自制心が育つ機会です。順番を守ったり,相手に譲ったり,粘り強く取り組んだりすることが,子供たちにとって心地よいと感じられる経験になることが必要です。子供たちが自制できたとき,しっかりと大人がその姿を認めていくことが大切になります。 | |
アタッチメント(愛着)とは何ですか?![]() |
Q.アタッチメント(愛着)とは何ですか? Q. スキンシップと愛着の違いはありますか? Q. 不安定な愛着の子供が安定した愛着を身に付けるのに遅いということはないのですか? |
梅村比丘(うめむら ともたか)先生
広島大学大学院人間社会科学研究科 准教授。 梅村先生の研究 |
デジタル時代の子育て ~スマートフォンとの付き合い方 ![]() |
タブレットがコロナ禍を境に学校教育の中で一般的なものになってきました。それに向けて幼児期からスマートフォンやタブレットを積極的に使わせる家庭も増えてきているのでしょう。一方で乳児期からのスマホ依存の弊害についても耳にします。アメリカ幼児教育協会では、2歳以上の場合、将来のコンピューター使用の準備のためにスマートフォンのような双方向性のメディアに肯定的な立場をとっています。ただその使い方には注意が必要とのこと。情報の一方通行だけの視聴は避け、「子供だけで使わせない」「子供の実体験と結びつくようなものを親子で視聴する」ということを推奨しています。また子供に使う時間の制限をしておいて、自分は視聴し放題、というのも問題がありそうです。 |
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子供の「好き!」が 自分らしさにつながる! ~好きを見つける ![]() |
「好きこそ物の上手なれ」というのはよく耳にします。多くの場合,何事も上手になるのはまずは好きになることが大切だというように使われます。要するに人より秀でるためには,好きになることがその条件として必要ということでしょう。しかし,子供の育ちを見ていると,「上手になること」よりも,実は前提とされる「好きになること」の方が大切なのではないかと思うことが度々あります。子供は「好きなこと」ができ,そして逆の「嫌いなこと」もわかり,そこから自分の感情に気付いていきます。つまり,「自分らしさ」が確立されていくのです。発達心理学では,「好きになる」という感情が起こることで自己肯定感が形成され,社会性の発達の基盤になると言われています。 | |
どう答える?子供の |
3歳になってやっと終わったイヤイヤ期の後には,なぜなぜ期がやってきます。話し言葉を獲得するにつれ,子供は何でも不思議に思え,「なんで?」「どうして?」と大人を質問攻めにします。大人にとっては面倒くさいかもしれませんが,この時期は,大切な発達の節目と言えるでしょう。子供の知的好奇心による「なぜなぜ期」の質問攻めは,脳が成長している証拠。知りたい気持ちが満たされることで,「もっと知りたい」「知ることって楽しい」と思うようになり,好奇心を伸ばすことにつながっていくのです。そのとき大人はすぐには答えずに「なんでだろうね?」と聞いてみてはどうでしょう。子供が自分の考えを話した時には,「知っていてすごいね」「いろいろ考えているんだね!」と褒めてください。褒められることでいろいろなことに興味を持つきっかけとなり,さらには思考力の育成や学習意欲にも結びついていくことでしょう。 | |
信頼する大人との くっつきあい ~アタッチメントの大切さ ![]() |
アタッチメントとは,心理学の世界では「愛着形成」と難しい言葉で訳されていますが,本当は「取り付けること」。親子関係で言うと「くっつきあい」のことです。信頼する大人と十分にくっついた経験が,子供の安心感という心の基地になります。 |
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New!! |
幼児期になると全身を使ってのダイナミックな遊びが増えていきます。そして,人との関わりも増えていき,ごっこ遊びや集団遊びも好むようになります。しかし,時には意見が合わずケンカやいざこざになることも珍しくありません。目の前で子供が困っていると大人はつい手助けをしそうになりますが,そのうち子供同士で遊びにルールを作ったり,工夫をしたりして大人の関わりが必要でなくなる時期に入ります。子供同士の関わりの中で子供は様々な力を得ていきます。知恵を出し合い解決しと陽をする姿をそっと見守っていきたいものです。 | 富田雅子(とみた まさこ)先生 ![]() 岩国短期大学幼児教育科准教授。 研究分野は,幼児教育学,保育学,子育て支援。保育,子育て支援等に関する研究多数。 |
毎日イヤイヤ・・・どうすればいいの? ~「いやー」は「こころが育っている証拠」 ![]() |
好奇心旺盛なこの時期は,「自分でやってみよう」という行動が繰り返されます。そのことによって「できた」という満足感を得て,今度は「なんでも自分でやりたい」という欲求が芽生えます。「いやー」「自分でー」と急に泣き出したり癇癪(かんしゃく)を起こしたりすることもありますね。一見すると反抗しているようにも見えますが,実は「こころ」が育っている証拠なのです。「なぜそんなにこだわるの?」とイライラすることもあるでしょう。そんな時は,「じゃあ,どうする?」とゆったりした気持ちで寄り添ってみてはいかがでしょう。子供は,周りの人と関わることで自己をコントロールする力が育ちます。そのうち「あれはいったい何だったの?」と笑える日がきます。子供の育つ力はすごいですね。 | |
絵本を介したやりとりを楽しんで ~絵本は読むもの?それとも…… ![]() |
子供は他者とのやりとりの中で、言葉や感情、社会性を発達させていきます。やりとりのコツは、体の動きを合わせることと対乳児発話(Infant-Directed Speech)です。対乳児発話とは、大人に対するより高い声で限られた短い言葉による発話のことです。なんだか難しそう…と思われるかもしれませんが、多くの人は無意識に対乳児発話で子どもに話しかけています。絵本は、こうしたやりとりにぴったりだと思いませんか? 食べ物が出てくる絵本では、「もぐもぐ」などと言いながら食べる真似をしたりして、絵本を介したやりとりを楽しんでみてください。 | 本岡美保子(もとおか みほこ)先生![]() 広島都市学園大学子ども教育学部子ども教育学科准教授。 前職は,小学校教諭・保育教諭。研究分野は,乳児保育保育実践,子育て支援。乳児保育,保育実践等に関する研究多数。 |
遊びながら気持ちを通わせているんだね ~「いないいないばあ」に込められたメッセージ ![]() |
「いないいないばあ」をすると,なぜ子供は喜ぶのでしょうか。それは,いなくなったように見える大好きなひとがちゃんとそこにいて,また現れてくれるからです。こうした経験の繰り返しによって子供は,子供にとって大好きな人との絆を,さらに強いものにしていきます。まずはお子さんと目を合わせ,それから歌うように「いないいないばあ」と言ってみてください。言葉の抑揚と拍感・リズム感によって遊びへの期待が高まり,楽しい気持ちが通じ合います。昔の人は,「いないいないばあ」が人への信頼や絆の形成に関わる遊びだということを,経験的に知っていたのでしょう。そして現代の私たちに,子供に歌いかけて共に遊ぶことが子供の育ちにとって大切なのだということを,「いないいないばあ」を通して伝えてくれているのです。 |
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New!! 子供にとって心地よい感覚を… ~おやつやおもちゃの選択 ![]() |
子供は感覚を通してたくさんのことを学びます。万能なおやつやおもちゃはありませんので,子供にとって心地よい感覚を探しましょう。この時期の子供は好奇心旺盛で,なんでも触ったり,口に入れたりして感覚を確かめます。ですから,誤嚥や窒息などの命に係わる事故から子供を守る必要があります。おやつやおもちゃも4歳までは直径4センチ未満のものは避け(トイレットペーパーの芯の直径とほぼおなじです),棒状のものは必ず大人がそばで様子を見ましょう。安全性に配慮しながら,子供の「好き」を見つけてください。 | 濱田祥子(はまだ しょうこ)先生![]() 比治山大学現代文化学部子ども発達教育学科准教授。 研究分野は,発達心理学,保育学。保育の心理学等に関する著書,研究多数。 |
子供には子供の世界があるんだね ~尊重しよう!子供のイメージの世界 ![]() |
ごっこ遊びには正解がありません。また,現実世界にとらわれない自由さがあります。だからこそ,イメージの共有が難しく,思いが一致しないことがあります。そのような時,子供たちはどうしたらお互いの思いがかなうか,どうしたら楽しくなるかを考えます。そして,設定やシナリオを柔軟に変え,自分たちのごっこ遊びを作ります。ごっこ遊びでは,想像力はもちろん,創造力,計画力,他者の視点に立つ力や自己を調整する力など,多くの力が育まれます。時には,大人の仲立ちを必要とすることもあります。その際には,ごっこ遊びの自由さが育む力があることを踏まえ,大人の価値基準を押し付けず,子供のイメージの世界を尊重したいですね。 |