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収蔵文書展「災害を語る歴史資料」 4(5)

印刷用ページを表示する掲載日2020年6月2日

4 レスキューされた被災文書(5)

槙林家文書(広島市)のレスキュー

 槙林家は広島市安芸区瀬野で近世期から醤油・酒造業などを営み,瀬野村の村長や県会議員なども務めた旧家です。「平成三十年七月豪雨」では,家の傍の瀬野川に合流する支流が氾濫し,家屋が浸水して蔵内の文書が被災しました。被災後,高温多湿の蔵に置かれていた文書にはカビが繁殖し,紙の腐敗も進行して臭いがひどい状態だったため,七月二十六日と八月一日に,被災した文書(四十四箱分)を当館に搬入し,乾燥などの応急措置を開始しました。

 水に濡れた文書を冷凍すると,カビの繁殖や腐敗の進行を抑えることができるため,保全活動では,冷凍庫の確保も課題の一つとなります。今回のレスキューでは,広島市内で大型の冷凍施設をもつ倉庫会社のご支援により,文書の冷凍保管が可能となったため,水濡れの激しい文書やカビによる被害,腐敗の進んだ文書(二十箱分)については,七月三十日に冷凍して保管し,十二月に解凍・乾燥作業を行いました。

 このたびの保全活動では,神戸市ほか各地の史料ネットやレスキュー専門家の支援,関連諸機関との連携,広島大学文書館や広島歴史資料ネットワークのボランティアの皆さんとの協働,各地からの資材の提供などが活動の大きな支えとなりました。

被災地の状況

瀬野川の様子
槙林家付近を流れる瀬野川の様子

濡れた帳簿類と掛軸 濡れた帳簿類 濡れた掛軸
濡れてカビが発生した帳簿類と掛軸

 

《受け入れた槙林家文書》 コンテナ・木箱など44箱分

  • 近世・近代の酒造業などに関する帳簿類
  • 明治から戦前期の書簡・葉書類
  • 書画などの掛軸類
  • 和洋書籍
  • 賞状類

 

自然乾燥させた賞状・包紙

送風乾燥させた帳面

乾燥終了後の文書の保管

濡れが軽く送風乾燥させた帳面

冷凍保管したのち解凍・乾燥した帳面類

濡れて固着した掛軸への対処

濡れて固着した書簡・葉書類

 

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