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収蔵文書展「災害を語る歴史資料」 4(5-2)

印刷用ページを表示する掲載日2020年6月2日

4 レスキューされた被災文書(5-2)

送風乾燥させた帳面 天保9年(1838)正月 (槙林家文書 201820)

 この「田畠山林畝高書抜」は,帳面に吸水紙を挟み込んで,縦置きにして送風乾燥させたものである。表紙は濡れてゆがみがあり,文字も一部かすれている。帳面の内部にも水が浸みているが,墨で書かれた文字はきれいに残っている。

 送風乾燥後,固着した部分を開披してドライクリーニングを行った。この作業は,当館と被災時の相互協力協定を結んでいる広島大学文書館に依頼した。

送風乾燥させた帳面1

送風乾燥させた帳簿 大正7年(1918) (槙林家文書 201820)

 これは大正7年度の「酒類蔵出売上帳」である。冊子状の罫紙に,インクでペン書されているが,水に濡れて黒と赤のインクの部分が流れてしまい,内容が読めない状態である。開いた頁の左上の鉛筆書と押印は鮮明に残っている。墨や朱に比べて,水溶性のインクは水濡れに注意が必要である。

 左端部分には薄茶色のカビが発生していたため,消毒用エタノール(70%)を含ませたキムワイプ(けばのでないティッシュ)でカビの部分を押さえて,繁殖を抑制した。

送風乾燥させた帳面2

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