広島県は,山と海の豊かな資源に恵まれるとともに,古くから製造業も盛んで,我が国の創造性の一翼を担ってきました。
また,厳島神社と原爆ドームといった2つのユネスコ世界遺産を有する世界的な発信力を有するエリアでもあります。
さらに,広島県は建築分野において,歴史ある建築学科を有する大学などの教育機関が多く,国内のみならず世界を視野に活躍する建築設計者や高い技術力を有する建設会社も多いなど,建築の文化的潜在力に恵まれた地域です。
これらの強みを踏まえ,広島県では,平成25年度から「魅力ある建築物創造事業」を展開し,魅力ある地域環境の創出を目指して,優れた魅力ある建築物の整備や保全を通じ,人々の創造的活動の支援とその発信に取り組んできました。
1 県民の協働による創造的な活動を促進し,魅力ある地域環境を創出します
本県は,地方にありながら建築分野において多くの強みを持ち,建築文化の創造的活動の拠点となってきました。
そうした伝統を踏まえ,本事業では,優れた建築は,優れた能力を持つ建築設計者や施工技術者によって創出されることを基本とし,そうした専門家が地域に住む人々と協働することで,その創造性がより発揮される良質な地域環境を生み出します。
2 世代の再生産にも配慮した発信力のある事業を展開します
本事業では,学生を対象とした育成事業はもとより,魅力ある建築物の見学会や表彰など,教育・啓もう活動を積極的に展開します。
さらに,プロポーザルにおいては,参加する方々の負荷を減らしつつ,能力を適正に測る選定方法の開発と普及について考究するなど,設計・建設産業における次世代の育成にも対応します。
3 合理的かつ経済的な方法による良質な地域環境の創造を目指します
少子高齢化の中,社会をどのように維持していくかは,現代に生きる私たちの重要な使命です。
本事業では,魅力ある建築物を創造する上で重要なポイントである建設ストック全体に目配せし,ライフサイクル全体で見た社会資本整備の効率化に努めます。
特に,計画の初期に事業規模や機能について適切に検証するなど,優れた地域環境と経済性の確保の両立を目指します。
1 広島型建築プロポーザルによる設計者の選定
プロポーザルとは,競争入札により価格で設計者を選定するのではなく,良い提案を提出した者を設計者として選定する方式です。
広島県では,建築プロポーザル方式による設計者の選定を積極的に実施しています。
広島県のプロポーザルには,魅力ある公共建築物の創造に向けて最も適した設計者の選定をするための4つの特色があります。
左から: 連携協定締結式 / 宮島口旅客ターミナル(仮称)公開審査 / 広島叡智学園中学校・高等学校公開審査
→ 建築関係団体との連携協定
→ プロポーザル実施プロジェクト
2 小規模公共建築物を対象とした学生コンペ
建築学生を対象とした設計コンペを実施し,最優秀作品を実際に公共建築物として建設しています。
アイディアを募集するだけでなく,学生が設計・工事監理に関与することで,次世代を担うクリエイティブな人材の育成を行っています。
この取組は,若者の人材育成に寄与し,建築文化を大いに育む契機となることが期待され,「2018年日本建築学会教育賞(教育貢献)」を受賞しました。
日本建築学会ホームページに選考理由が掲載されていますのでぜひご覧ください。
左から: 公開審査 / 実施設計 / 工事監理 / しゅん工式
3 魅力ある建築物の表彰制度創設等
魅力ある建築物の創造を民間建築物に波及させていくことを目的に,「ひろしまたてものがたり」を創設しました。
「建築」にスポットをあて,ひろしまの「魅力(ものがたり)」を地域の「宝」として県内外に発信するための県民参加型イベントです。
この取組は,既存の建築について調査し,県民に様々な媒体やメディアを通してその魅力を伝えている点やイベント・見学会の実施が中国各県における建築文化活動の手本となりつつある点などが評価され,一般社団法人日本建築学会中国支部「第14回(平成29年度)中国建築文化賞」を受賞しました。
左から: たてものがたりベストセレクション発表 / ひろしまたてものがたりフェスタ 建物見学会(不動院) / ひろしまたてものがたりフェスタ 建物見学会(広島県庁舎)
それぞれの建物が持つ「ものがたり」を通じて,知らなかった広島の一面にふれてみませんか?
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