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(10) 小掛峡県自然環境保全地域

印刷用ページを表示する掲載日2023年6月1日

小掛峡(こがけきょう)県自然環境保全地域

指定:昭和51年12月24日
所在:安芸高田市高宮町川根
面積:52.51ヘクタール

 この地域は、安芸高田市高宮町の北部、江の川と田草川との合流点付近にあって、地形学上の穿入曲流の標本ともいうべき峡谷を中心にして、多彩な植物相に恵まれ、良好な自然環境を形成しています。
 峡谷としては、わずか300メートルくらいの小規模なものですが、この峡谷の特質は、見事に節理に支配され、典型的な穿入曲流を形成していることにあります。
 渓流には狐崖滝、石樋滝、魚切滝などと名付けられた大小の遷急点(滝)が相次ぎ、貴重な甌穴も見られます。
 この峡谷は極めて特異な穿入曲流の発達地であるため、植生もこの立地に応じ、それぞれ特有な植物群落が発達しています。尾根にアカマツ-ハナゴケ群落、急斜面上部にコナラ、アベマキ優勢の落葉広葉樹林、急斜面下部にアラカシ、シラカシ等を主とする常緑広葉樹林、河岸にクサナキリスゲ-ダイモンジソウ群落、コウヤミズキ群落、カワラハンノキ群落が見られます。また、この峡谷は特に鮮苔類、地衣類が豊富です。
 この峡谷には、昆虫類のセミ類、アカネ属のトンボ、蝶類などが散見され、渓流にはカワムツ、サワガニなどが確認されています。また、広葉樹の種類が多彩であり、林帯も連続しているので、季節の小鳥類は豊富です。
 この峡谷の穿入曲流は、その形成過程がまだ学術的に判明されていないので、そのための格好の資料を提供してくれるという意味でも、学術的に貴重な自然環境です。

甌穴が見られる渓流
甌穴が見られる渓流の写真

尾根と急斜面上部の植生
尾根と急斜面上部の植生の写真

位置図
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図25000(地図画像)を複製したものです。(承認番号平成25情複第286号)

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