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(24) 吾妻槙原谷県自然環境保全地域

印刷用ページを表示する掲載日2023年6月1日

吾妻槙原谷(あづままきはらだに)県自然環境保全地域

指定:昭和57年7月19日
所在:庄原市比和町森脇
面積:87.52ヘクタール

 この地域は、比婆道後帝釈国定公園の最西端に位置する吾妻山の南麓にあって、ブナ、ミズナラ、クリ、サワグルミ等が原生林に近い状態で生育し、中国山地を代表する残存植生として良好な自然環境を形成しています。
 この地域を含む一帯は、地質的には、白亜紀以後の火成岩類や、地層が豊富で、これらの地史が非常に鮮明に現れています。また、新第3紀中新世の海生層から形成されている備北層群(流紋岩からなる砂礫層)が存在し、古瀬戸内海の成因過程に問題を投げかけています。
 このように、中国背梁山地で地形上、地質上において、これほど学術上豊富な資料を保持していることは全国的にもまれです。
 この地域の植生は、ブナ、クリ、ミズナラ等の大木が生育する中に、湿性林を代表するサワグルミを含む原生林に近い林相で、中国山地を代表する残存林分として価値が高く、特にサワグルミ林とブナ林は植物学上からも極めて重要なものです。
 吾妻山山麓辺縁部に当たるこの地域は、山地動物生息の宝庫です。特にコモグラ、エゾゼミ等北方系動物の生息地として、広島県では極めて注目に価する地域です。
 この地域は、出雲神話発生の地として知られており、古い時代から文化が発達していたことがうかがわれています。事実、この地域一帯に古い時代から砂鉄を原料とする製鉄が行われており、山麓のいたる所に砂鉄採集の跡(カンナ流し)や製鉄所跡(タタラ)があります。

中国山地を代表する残存植生
中国山地を代表する残存植生の写真

ブナ林とキンポウゲ
ブナ林とキンポウゲの写真

位置図
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図25000(地図画像)を複製したものです。(承認番号平成25情複第286号)

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