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(21) 阿下川県自然環境保全地域

印刷用ページを表示する掲載日2023年6月1日

阿下川(あげかわ)県自然環境保全地域

指定:昭和54年12月1日
所在:神石郡神石高原町安田
面積:54.27ヘクタール

 この地域は、旧油木町南西部に位置し、典型的な吉備高原面である油木高原が安田川の支流である阿下川の谷頭浸食によって形成された峡谷です。谷壁は100~150メートル、傾斜は40~70度に達し、随所に岩壁、岩城、淵が見られるほか、河岸及び峡谷周辺の植生は、ほとんど人為の影響を受けておらず、典型的な河岸植生が分布するなど自然の状態がよく保存されており、良好な自然環境を形成しています。
 この峡谷の河川には、滝の消滅過程を示す標本が残存するなど、学術的価値の高いものとなっています。また、諸所の岩石段丘面には、甌穴がみられ、浸食過程を研究する好材料となっています。
 この峡谷の植生は、地質構造の変化によって、上流域と下流域との植物相が区分されます。上流域は流紋岩類で、コナラを主とする落葉広葉樹林が発達し、下流域は主として古生層で、オニイタヤ、ヤマグワ、ケヤキ等を主とする落葉広葉樹林が発達しています。
 また、河岸植生の発達は見事で、水際から、ナルコスゲ群落-カワヤナギ群落-キシツツジ群落-カワラハンノキ群落が配列され、この地域の特質を示しています。
 保全地域内は、地形も険しく道路もないので、動物の絶好の生息域となっています。哺乳類では、大型獣のイノシシをはじめ、キツネ、アナグマ、タヌキ等中型獣、イタチ、テン、ノウサギ等の小型獣等、鳥類では、キジ、ヤマドリ、トビ等、昆虫類ではモンキアゲハ、エゾゼミ等、水中昆虫では、流水の富栄養性を反映して、アミカやカゲロウ類が豊富です。その他、は虫類や両生類、魚類等も多数生息しています。なかでも、渓流性のトンボ類が豊富であることは、その自然性の高さを示しています。

阿下川
阿下川の写真

見事に発達した河岸植生
見事に発達した河岸植生の写真

位置図
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図25000(地図画像)を複製したものです。(承認番号平成25情複第286号)

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