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収蔵文書展「災害を語る歴史資料」 2

印刷用ページを表示する掲載日2020年6月2日

豪雨災害を語る歴史資料

 かつて『広島県史』では,「災害と農民闘争」という章で江戸時代の災害を扱っていました。当時は,歴史における災害といえば旱魃とそれに伴う飢饉の発生であり,その結果発生する百姓一揆や騒動に関心の目が向いていたからだと考えられます。
 しかし,大震災や大規模な台風・豪雨災害が頻発するようになった今日,江戸時代や明治期の災害についても,災害そのものの規模や被害の実態について,より一層掘り下げて考えていく必要がありそうです。ここでは,とくに台風や豪雨による水害に関する古文書を紹介します。

 

1 江戸明治期の水害関係文書

 江戸・明治期の台風・豪雨水害に関する文書としては,町や村から藩へ被害状況を報告する注進書や歎願書,あるいはその写しである御用留があります。また,家や個人の日記,書状類に記載される場合もあります。
 また,被災地では,復旧工事に必要な見積りを作成する必要があり,「夫積帳」という帳面が作成されました。これは,具体的にどのような損壊箇所にどんな改修作業を行い,そのために人夫や資金がいくら必要かといったことを詳細に記したものです。この帳面を郡役所などに提出して藩役人の現地見分を受け,それにより,復旧工事の認可と郡夫調達などの便宜を得ようとしました。災害時には必ず作成された文書であり,この帳簿から,被害の実情が分かる可能性があります。

 

 

2 明治末以降の水害関係文書

 戦前の公文書の大半が失われている広島県では、公文書をもとに戦前の災害の実態を知ることは困難です。そのため、県全体での被災の実態については、各地に残る文書や記録を丹念に調べる必要があります。
 ただし、明治四十年代以降になると、災害の情報は新聞報道によってある程度把握できるようになります。情報量も増え、また、大正期になると写真入りで各地の被害状況や被災した個人の状況にまで踏み込んで詳しく報じられており、災害の全容が格段に把握しやすくなっています。
 また、この時代は、絵葉書が一種のブームとなり、観光土産としてだけでなく、報道媒体として、災害や事故の様子を写した絵葉書が販売されました。今日では、貴重な瞬間を捉えた歴史資料となっています。

 

 

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