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手をつなぐ男女

不妊治療って?どんな方法で進める?タイミングや費用も解説します

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「なかなか赤ちゃんを授からないな…」「もしかして不妊かも…」

国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、こうした不妊の心配をしたことがある夫婦は、3組に1組以上。さらに、4.4組に1組の夫婦が、不妊検査または治療を経験しています。 「第16回出生動向基本調査 (結婚と出産に関する全国調査)

子供を授かりたいと思っているけれど妊娠しにくい状況にある方におかれては、妊娠しにくい原因や不妊治療の流れ、費用など分からないことが多いため、なかなか一歩を踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。

不妊治療の不安や疑問を一緒に解消していきましょう。

「不妊」とはどのような状態?その原因は?

話し合う男女

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態をいいます。

日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年とみるのが一般的である」と定義しています。不妊は、男性側にも原因の半数があるというデータもあり、女性だけの問題ではありません。 (※WHOによる不妊症7,273カップルの調査)

男性の不妊の原因は?

最も多いのが「精索静脈瘤」です。

精巣の周辺の静脈がこぶ状に膨れる病気で、生命にかかわるものではありませんが、男性の不妊患者のおよそ3割に見つかる症状です。

他には、

  • 精巣の腫瘍
  • 精子をつくるホルモンの数値が低い
  • 精液の通り道に感染症 (クラミジアなど) が生じている

などの異常が見つかることがあります。

女性の不妊の原因は?

不妊症の検査をしても、どこにも明らかな不妊の原因が見つからない場合もありますが、一般的には以下の原因が考えられます。

排卵因子
高プロラクチン血症、多のう胞性卵巣症候群、精神的ストレス、急激な体重減少に伴う排卵障害 など
卵管因子
骨盤内炎症や子宮内膜症などによる卵管の閉塞、狭窄 (きょうさく。卵管がすぼまって狭くなること) 、癒着 など
子宮因子
子宮筋腫 (特に粘膜下筋腫) や子宮内膜ポリープ、子宮内癒着、子宮奇形 など
子宮頸管因子
子宮頸部の手術、子宮頸管炎、子宮頸管からの粘液分泌異常 など
免疫因子
抗精子抗体 など
子宮内膜症
チョコレート嚢胞

といったことがあります。

どのタイミングで受診するのがいい?

どのくらいの期間、妊娠しなければ受診した方が良いのでしょうか?

避妊せずに自然な性生活を送っている場合、1年たっても妊娠しなければ受診した方がよいかもしれません。男女ともに年齢が高くなれば妊娠の確率は低くなります。早めの受診をお勧めします。

検査は産婦人科、泌尿器科で行います。広島県で不妊検査を行っている医療機関は次のリンクから検索できます。

不妊治療の流れや期間、内容は?

期間のカレンダー

まずは不妊検査を行い、結果に応じて治療を行っていきます。不妊の原因は様々で、原因に合わせて治療を行っていく必要があります。あなたとパートナーに合った不妊治療を見つけるためにも、まずは2人で一緒に検査を受けましょう。

男性の場合

男性の基本的な検査は精液検査で、1日で完了します。ただ、精液の状態は疲労やストレスなどの体調にも左右されるため、結果によって複数回行うこともあります。

不妊の原因と考えられる症状に応じて、次のような治療等が行われます。

精索静脈瘤
状態に応じて、手術療法を検討します。
ホルモンの異常
精子をつくるためのホルモンが不足している場合は、補充します。
亜鉛などのミネラルの異常
不足している場合は、補充します。
勃起・射精障害など
内服治療や行動療法などを行います。
明らかな異常が指摘できない場合
漢方薬・ビタミン剤・血流改善剤などの内服を行います。 このほか、喫煙者には禁煙をおすすめしています。 精子をつくるサイクルは約2カ月半なので、治療効果の判断は、2カ月半以降での精液検査で行います。

治療を行わない場合や治療困難と考えられた場合には、現在の精子を用いて、最善と考えられる治療 (人工授精・体外受精・顕微授精など) を行います。

女性の場合

超音波検査等、月経周期の体が変化するタイミングでさまざまな検査をします。そのため基本的な検査が完了するまでは、最短でも約1カ月かかります。

検査の結果に応じて、その原因に応じた治療方針を決定して治療を行っていきます。保険適用となる治療や保険適用とならない自費での治療があります。

不妊治療には、タイミング法、排卵誘発法、人工授精、体外受精 (顕微授精) などの生殖補助医療があります。 また、不妊原因を取り除く目的で、内視鏡下手術 (子宮鏡・卵管鏡・腹腔鏡) も行われます。

選択した治療法で一定期間に妊娠が成立しない場合には、必要に応じてより高度な治療へステップアップしていきます。

不妊治療の費用や保険適用は?助成金もあるの?

受診する女性

不妊に関する検査や治療にかかる費用については、検査・治療内容によって異なるため、詳しくは受診される医療機関へお問い合わせください。

広島県には不妊に関する助成制度が以下の2種類あります。 ※申請期限や助成要件の詳細については、広島県ホームページでご確認ください。

不妊検査を含めた一般不妊治療の費用助成

広島県では、夫婦 (事実婚の方を含む) 等が男女そろって不妊検査を受けた場合に、不妊検査を含めた一般不妊治療 (人工授精まで) の費用を助成しています。

不妊検査を共に受けたご夫婦は、最大5万円を受け取ることができます。

助成対象となる費用
不妊検査・一般不妊治療に係る費用のうち、医師が認めたもの。
助成額
助成対象費用に掛かる自己負担額の1/2 (上限5万円、千円未満切捨て)
助成対象期間
不妊検査開始から2年以内のもの
助成回数
一組のご夫婦 (事実婚の方を含む) につき一回限り。

先進医療等の治療の費用助成

2022年4月から体外受精・顕微授精などの「生殖補助医療」が保険適用になったことを受けて、県では、保険適用外の先進医療等の費用の一部を助成しています。

さらに、2023年4月からは、先進医療等の活用によって治療費の全額が自己負担となった方を対象とする新たな助成メニューを追加しました。

不安や疑問が解消されないときは…

スマホで検索する人

不妊検査を受けようか迷っておられる方や治療中の不安や悩みなど、周りに相談しにくい場合もあります。

広島県不妊専門相談センターでは、不妊に関する専門的な相談や、不妊による悩みや思いなどについて、専門の相談員 (助産師) が無料で相談をお受けしています (匿名で相談できます)

対面だけでなく、電話やメール、オンラインでも相談できます。

また、直接相談する前に色々調べたいという方や、これから妊活を始める方に対して、基礎知識や不妊治療に関する情報や体験談などをまとめた「広島県ふたりの妊活全力応援サイト 」もぜひご覧ください。

まずは不妊検査から。検査は2人そろって受けましょう

子どもを授かりたいと思ったら、まず初めにできること、それはご自身やパートナーの体の状態を知ることです。妊娠しにくい原因は、性別に関わらず様々な原因が考えられます。「もしかしたら妊娠しにくいかも」と感じたら、まずは2人で一緒に検査を受けることから始めましょう。