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ハート型のレモン

日本一のレモン県!尾道市瀬戸田で見つけた逸品とは?おすすめレシピも!

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瀬戸田は生口島 (いくちじま) と高根島 (こうねじま) の2つの島からなる瀬戸内海に囲まれた町です。レモンをはじめとする柑橘類の栽培が盛んで、5~6月になると島中がレモンの花の爽やかでほのかに甘い香りに包まれます。

瀬戸田町では生産量が多いだけでなく、生産方法にもこだわった、環境や人にやさしい「皮まで食べられるレモン」がつくられています。

広島県でレモン栽培が盛んになったわけ

広島県では島しょ部を中心に、傾斜地を利用してレモンや温州みかん、ハッサク、ネーブルオレンジ等の柑橘類が栽培されています。

その中でもレモンの主な産地は、呉市や尾道市、大崎上島町などの瀬戸内海沿岸の島々。豊田郡大長村 (現広島県呉市豊町大長)では、明治31年に和歌山県からネーブルオレンジの苗木を購入した際、混入していたレモンの苗木3本を試植したのが始まりとも言われています。

今回は、県内の代表的レモン産地の中でも、しまなみ海道で有名な尾道市瀬戸田町をご紹介します。

なぜ、瀬戸田町でレモン栽培が盛んになったのでしょうか?それは瀬戸田町の地理的な要因が関わっています。

瀬戸田町ってどんなところ?

レモン

レモンは柑橘類の中でも寒さに弱い種類です。強風雨によって葉や茎が傷つくことにより感染する病気にも弱いため、レモン栽培には温暖で雨が少なく風が穏やかな気候が適しています。

瀬戸田町の年平均気温は15.5℃と暖かく、中国山地や四国山地で風がさえぎられ、風上の山地側で雨も落とします。

さらに急傾斜地が多く、土壌の大部分が花こう岩で水はけが良いことも、レモン栽培にとって恵まれた環境となっています。

レモンを持つ女性

瀬戸田は古くから柑橘類の栽培が盛んな土地です。当時は自家栽培程度だったと考えられ、昭和2年 (1927年) からは瀬戸田をレモンの産地にするために栽培面積を増やすなどレモンの増産が行われました。「レモン谷」と言われる地名の残る垂水地区は戦後、瀬戸田レモンの基礎を作り、県内でも代表的なレモン産地として知られるようになったのです。

ところが、昭和39年 (1964年) 5月の「レモンの輸入自由化」に続き、昭和51,56年 (1976,1981年) の大寒波などにより、瀬戸田レモンを含め国産レモンは致命的な打撃を受けました。生産量は一時激減しましたが、その後、安全面等から国産レモンの需要が増加し、徐々に栽培面積と生産量を増やしています。令和2年 (2020年) 現在、広島県の栽培面積は293ha (全国654ha、シェア45%) 、生産量4,861t (全国8,634t、シェア56%) となっています。 (農林水産省令和2年産特産果樹生産動態等調査より )

国産レモンの旬はいつ?

緑のレモン

近年は一年中スーパーなどで見かけるようになった国産レモンですが、国内で栽培されている一般的なレモンの収穫時期はいつか知っていますか?爽やかな初夏や元気な夏をイメージする方が多いかもしれませんが、実は国産レモンの旬は冬。露地栽培レモンは10月から翌年5月ごろの秋から春にかけて収穫時期を迎えます。

レモンは疲労回復効果もあり、夏の暑い時期にはレモンが食べたくなるものです。こうした消費者のニーズと国産レモンの供給時期にはギャップがあるため、以前はレモンの需要が高まる夏場は国産レモンの供給が追いつかない状況にありました。その状況を打開するため、広島県ではレモン生産者やJA、県、市町などが連携して、ハウス栽培や貯蔵・保存技術を開発することで、一年を通じて鮮度の高い広島県産レモンの出荷体制を整えたのです。

レモン栽培のスケジュール

ちなみに、たまに見かける緑色のレモンは黄色いレモンとは別の品種だと思っている方も多いようですが、実は収穫時期が違うだけで同じ種類のレモンです。グリーンレモンは木に成ったレモンが熟して黄色く色づく前に収穫されたものでイエローレモンに比べて香りが爽やかで酸味も強いのが特徴です。

皮ごと食べられる「せとだエコレモン®」

ハート型レモン

瀬戸田町では、安全性の観点を配慮しながら皮まで食べられるレモン作りに取り組んでいます。環境保全型農業で育てられ、収穫後も防カビ剤・防腐剤・ワックスを一切使用しないという、環境にも人にもやさしいレモン、それが「せとだエコレモン®」。果肉、果皮まで安心して丸ごと食べることができます。

安心!広島ブランド ロゴマーク

「せとだエコレモン®」は2008年に広島県の「特別栽培農産物」にも認証されています。特別栽培農作物とは、慣行レベル (その地域の一般的な農薬や化学肥料の使用状況) に比べ節減対象農薬の使用回数や化学肥料の窒素成分量を5割以上減らして栽培された農作物のことです。広島県では特別栽培農産物に「安心!広島ブランド」のマークがついているので、見たことがある!という方もいるかもしれませんね。

レモンを収穫する男性

こうした取組や、地元企業との連携による産品開発等で地域の活性化に貢献していることが認められ、「せとだエコレモン®」の生産に取り組んでいるグループの皆さんが2023年1月に「日本農業賞」 (一般社団法人 全国農業協同組合中央会、NHK主催) の大賞を受賞されました (集団組織の部) 。 現在、「せとだエコレモン®」の栽培に取り組んでいる方は150名ほどで、今回取材をさせていただいた原田さんもそのお一人です。

2023年2月末に訪問させていただいた原田さんのレモン畑は、生口島と愛媛県大三島をつなぐ多々羅大橋のすぐそばにあります。レモンは果実だけでなく、葉や茎も香るそうで、鈴なりのレモンの鮮やかな黄色と爽やかな香りに包まれていました。

こちらの畑では、断面がハート形になる「ハートレモン®」や星形の「スターレモン®」といったかわいい形のレモンも作られています (「ハートレモン®」「スターレモン®」はひろしま農業協同組合の登録商標)

型枠に入れて育てるのですが、きれいな形になるまでには長い期間にわたって試行錯誤をされたそうです。こんなレモンが出てきたら気分もアガりますね!12月~3月頃まで販売もされているそうですよ (在庫があるときのみ。問合せ先:瀬戸田直販センター )

形になったレモンを持つ女性たち

おすすめレモンレシピ

今回、皮まで食べられるレモンを紹介したので、ここでは夏にぴったりな皮まで使えるレシピを瀬戸内広島レモンレシピ40選 からご紹介します!ぜひ作ってみてくださいね。

はちみつレモンゼリー

はちみつレモンゼリー

準備するもの (4~6個分)

  • イエローレモン2個
  • 砂糖30g
  • はちみつ大さじ1
  • 水300cc
  • ゼラチン5g
  • 水大さじ2 ※ゼラチン用
  • はちみつ大さじ2 ※シロップ用
  1. 大さじ2杯の水にゼラチンを振り入れふやかしておく
  2. レモン1個は半分に切り、その中央部分から3枚分のスライスをとり、それをいちょう切りにしておく
  3. ②のレモンの残りを搾り (A) 、さらにもう1個のレモンも果汁を全部搾っておく (B)
  4. 鍋に水300ccを入れて沸かし、 (A) のレモン果汁と砂糖、はちみつ、レモンのスライスを加え、砂糖が溶けたら火を止める
  5. ④に①のゼラチンを加えてよく溶かした後、氷水で鍋のあら熱をとる
  6. ⑤を容器にそそぎ、冷蔵庫で冷やし固める
  7. (B) のレモン果汁とはちみつをあわせてシロップを作り、固まったゼリーの上からかける

瀬戸田レモンを是非食べてみて!

生産量日本一の広島県を支えるレモン産地では、環境への配慮や安全性にもこだわったレモンがつくられていました。5~6月のレモンの花に始まり、10月頃からのグリーンレモン、12月~4月頃には色鮮やかなイエローレモンと一年を通じて色々な景色が楽しめる瀬戸田町。

皮まで食べられるレモンや「ハートレモン®」「スターレモン®」など、料理の主役になれるレモン。ぜひ食べてみてくださいね。