けん玉発祥100周年。生誕の地、廿日市と木工の歴史を紐解く
日本で古くから親しまれている木工玩具のけん玉。日本での発祥地は、廿日市市であることをご存知ですか?広島県廿日市市 (はつかいちし) は、中世から木材の集積地として木材とのつながりが深く優れた加工技術とともに栄えた歴史を持ち、様々な工芸品を生み出してきました。
今年は、けん玉発祥100周年記念の年です。どんな経緯で廿日市市が発祥の地となったのか、改めてその歴史を振り返ってみたいと思います。また「けん玉ワールドカップ」が今年もオンラインで開催!「最近、けん玉遊びをしていなかったな~」という方も、今年はぜひ、けん玉にチャレンジしてみませんか?
木工技術発展のきっかけは、嚴島神社!?
平安時代、平清盛が守護神として信仰していたことで知名度を高めた嚴島神社は、全国からの参拝者でにぎわっていました。そうした中、嚴島 (宮島) に神社や仏閣を建設するために鎌倉や京都などから大工や指物師が招集され、これをきっかけに木工技術が広がっていき、宮島杓子をはじめとする広島の木工製品の発展へと繋がりました。
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また、木材の集積地として宮島とその対岸を含む廿日市市が豊富な森林資源を持っていたことも、木工技術の発展に寄与したようです。
廿日市とけん玉100年の歴史
日本に初めてけん玉が登場したのは江戸時代中期と言われています。明治時代に入り木工玩具として大流行しますが、当時のけん玉は棒に玉を刺しただけのシンプルな形でした。今の形になったのは、大正10年 (1921年)。当時家具の小物を製造していた廿日市市の木工メーカーがこれまでのけん玉に受皿を取り入れ、「日月ボール」として製造開始しました。これが現在の原型となるけん玉です。一時、製造業者の転廃業がつづき廿日市市におけるけん玉の歴史も途絶えた時期がありましたが、2001年から製造が復活し、近年ではアメリカを中心にストリートスポーツとしても人気が高まっているそうです。
今年はオンラインで開催!けん玉ワールドカップ2021
今年で8回目を迎えるけん玉ワールドカップは、「けん玉を通じて世界をつなぐ」を合言葉に一般社団法人グローバルけん玉ネットワーク (GLOKEN) が開催しています。世界各国からけん玉愛好家が集結し、自慢のトリック (技) を競う大会です。今年は、コロナ対策ということでオンラインでの開催になりますが、参加者の個性あふれる競技をぜひご覧ください。
競技の見どころは?
けん玉愛好者であれば年齢・国籍問はず、エントリーが可能です。「一般部門」「初級部門」の2部門が用意され、レベルに合わせて参加できるようになっています。(2021年のエントリーは終了しました)
レベル別の公式トリックを用いて競技を実施、エントリー部門に関わらず合計得点に応じて表彰者を決定します。初心者でも気軽にけん玉と触れ合えるようなものから、息をのむ巧みな技まで、子供から大人までみんなで楽しめるように幅広いトリックが用意されています。競技者の手元に注目しながら、気になった技があればぜひチャレンジしてみてください。
廿日市市では2011年から市内のすべての小学一年生に木材利用センターで製造されたけん玉を配布して、子供たちがけん玉に触れられる機会をつくっています。けん玉をきっかけに郷土が誇る伝統と文化を受け継ぎ、次の世代へ繋げていきたいですね。