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熊野の化粧筆

広島初の伝統的工芸品。世界からも注目される熊野筆ってどんな筆?

ひろしま自慢 |

10月も中旬に入り秋風が爽やかな季節になりました。この季節になると何か新しい学びをはじめたくなりますよね。「筆の里」として知られている熊野町では古くから筆が作られており、器の絵付けや書筆として愛されてきました。その品質の高さから今や世界も注目している熊野筆を今回はご紹介します。芸術の秋、新しいはじまりに、1本いかがでしょうか。

熊野の書筆

熊野筆 くまのふで

熊野筆とは、広島県安芸郡 (あきぐん) 熊野町で作られる筆の総称。現在では、毛筆、画筆、化粧筆のいずれも全国一の生産量を誇る。

どうして、熊野で筆が作られるようになったの?

筆の里工房 エントランスホール

熊野筆とは、広島県安芸郡 (あきぐん) 熊野町で作られる筆の総称です。その歴史は江戸時代末期にはじまります。農地が少なかった熊野では、農閑期になると吉野地方 (現在の奈良県) や紀州地方 (現在の和歌山県) へ出稼ぎに行く農民が多く、その帰りに奈良・大阪・兵庫で筆や墨を仕入れて各地で行商を行っていました。しだいに熊野でも筆づくりが行われるようになり、技術を習得した人々の技術指導によって筆づくりが本格化していったそうです。1975年 (昭和50年) には県内で初となる国の伝統的工芸品に指定され、技術と伝統が現在へ受け継がれています。

熊野筆の特徴ってなーに?

熊野町には今でも約90社ほどの熊野筆メーカーが軒を連ねており、24,000人の住民のうち、約2,500人が筆づくりに携わっています。10人に1人の割合ですから、町一丸になって取り組んでいるのが伝わってきますね。

筆をつくる職人さん

毛を選別して汚れを除き束ねるという一連の工程は、そのほとんどを熟練の職人による手作業で行われています。丁寧なものづくりが伝統的工芸品を支えているのですね。また、穂先の毛を切り揃えずにそのまま仕上げていくため、毛先が繊細で適度なコシを持ち合わせていることも熊野筆の特徴になっています。

世界のトップアーティストも愛用する化粧筆

熊野の化粧筆

アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界各国に輸出されている熊野筆は、世界で活躍するトップアーティストからも絶大な信頼を得ています。毛の種類によって肌触りやメイクのノリが違うため、下地の種類や仕上がりのイメージによって筆を使い分けているそうですよ。

自分に合う書筆を探してみよう

熊野の書筆

書道にとって大事なことは「とめ」「はね」「はらい」です。毛質や穂のきめ細やかさ、軸の形が群を抜いている熊野筆は、水含みもよく書き心地が抜群なんだとか。自分に合った良い筆を選ぶ際には「穂のタイプ (毛の種類・太さ・長さ)」と「手の形に合う軸」を選ぶことがポイントです。

画筆としてもおすすめ

郷土館裏小道の絵

熊野筆特有の穂先のコシや弾力は、滲みやぼかし・細かい表現もできるため、絵筆としても魅力的です。筆のサイズも様々ですので表現の幅も広がりますよ。お気に入りの絵筆を持ってスケッチへ出かけるのもいいですね。

大切な方への贈り物にいかがですか?

技術と伝統が詰まった熊野筆は贈り物としても喜ばれています。自分で買うにはちょっと贅沢かも…と思うものでも、特別な贈り物としていただいたら嬉しいですよね。広島県内にお住まいの方は熊野町にある「筆の里工房」がおすすめです。熊野筆セレクトショップを併設するほか、筆づくり体験や筆に関する企画展も開催していますよ。

また、関東地方にお住いの方は広島県の逸品を販売する「ひろしまブランドショップTAU」でも取り扱いしています。

ずっと大切に使っていきたい熊野筆を大切な方へプレゼントしてみてはいかがでしょうか?