研究成果・提言 ダウンロード
核軍縮や被爆の実相、広島の果たすべき役割等について学んだ若者が、国連幹部などの世界を牽引するリーダーとの対話を通じて、核兵器のない平和な世界の実現に向けた広島からの平和のメッセージを国内外に発信する「国際平和のためのユース対話イベント」を開催しました。
開催概要
主 催:広島県、一般社団法人へいわ創造機構ひろしま(HOPe)、国連訓練調査研究所(UNITAR)
日 時:令和8年8月6日(木)15時00分~16時30分
場 所:エディオンピースウイング広島 2階ラウンジB ※オンラインによるライブ配信も実施
テーマ:広島の若者から世界へ -核抑止力と平和-
登壇者:
【若者】
・国連UNITAR広島ユース大使プログラム※の参加者11名
【パネリスト】
・中満 泉 国連事務次長・軍縮担当上級代表
・樋川 和子 長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)副センター長・教授
・ケムエリ・ナイガマ 駐日フィジー共和国特命全権大使
・横田 美香 広島県知事
【ファシリテーター】
隈元 美穂子 国連UNITAR持続可能な繁栄局長
※国連UNITAR広島ユース大使プログラム
国連UNITAR広島事務所が18~29歳の広島県在住の若者を募集し、4月から8月まで、国際舞台で活躍できるリーダーの育成を目的として、「平和都市」広島から発信すべきメッセージはいかなるものかを考え、紛争のない世界の実現に向けて具体的な行動ができる力を養成する研修を実施。
傍聴者数(会場+オンライン視聴(延べ)):379名
若者による発表:
「核兵器がこれほど深刻な人道的・環境的被害をもたらすにもかかわらず、なぜ今なお存在し続け、さらには開発が続けられているのか」という問いに基づき、ユース大使が以下の2つのテーマで発表を行い、専門家等と議論を交わした。
○テーマ1「平和教育と市民参加」
世界中の核被害のストーリーを世界の平和教育に組み込んでいく方策と、被爆者の数が減る中での平和教育の課題と若者への支援策について考える。
○テーマ2「政策立案と国連の役割(非核兵器地帯について)」
核軍縮が停滞する現在、アフリカの事例を踏まえながら、特に北東アジアにおける核抑止への依存を減らすために何ができるかを、NPT体制のもとで考える。
パネリストからのコメント:
(1) 中満国連事務次長・軍縮担当上級代表
○NPT運用検討会議では、核保有国の説明責任の強化や核リスク低減、戦略的安定に関する対話など、核軍縮を前進させる具体的な方策について合意形成が進んでいた。成果文書は採択に至らなかったが、合意可能なアイデアはすでに存在しており、これを国連総会等の別の場で取り上げ、各国への直接・間接の外交的働きかけなどを通じ、粘り強く前進させることが国連の役割である。
○世界を変えていくためには、1)知識と知恵を備えること、2)当たり前とされていることを疑い、常に問い続けること、3)人道、団結、正義・公正について考えることが重要。核兵器の歴史を、広島・長崎だけでなく世界各地の核実験や植民地主義、帝国主義とも関わるグローバルな歴史として捉え、公正性について考えてほしい。厳しい国際情勢にあっても希望を失わず、若者自身が世界を変えたいと考え行動すれば、世界を変えることはできる。
(2) 樋川RECNA副センター長
○北東アジアには、核保有国が存在し、それらの国が核兵器を放棄しない限り、非核兵器地帯の実現は困難。地域により政治環境や前提条件が異なることから、過去の枠組みにとらわれず、北東アジアに適した非核兵器地帯の仕組みを新たな視点から考えることが必要。
○核兵器を手放すことが各国の利益になるとして核兵器保有を放棄した南アフリカの事例のように、各国にとって利益となる状況をいかにつくるかという視点も、非核兵器地帯の実現可能性を考える上で重要。
(3) ケムエリ・ナイガマ駐日フィジー共和国特命全権大使
○核兵器がもたらす人的影響は決して過去のものではない。広島では被爆者や地域社会を通じてその記憶が現在も受け継がれているが、数多くの核実験が行われ、人々が居住地からの移動を余儀なくされるなど、長期にわたる大きな影響を受けてきた太平洋諸国でも同様に受け継がれるべきである。
○広島・長崎は核兵器の被害を伝えるグローバルな象徴となっているものの、太平洋地域における核実験とその被害の経験については、世界的な議論や平和教育の中で十分に取り上げられてこなかった。
○こうした太平洋諸国の経験も核兵器の人道的影響を伝える重要な歴史として位置づけ、「太平洋のストーリー」を「広島のストーリー」と常に一緒に語り、世界の平和教育へつなげていく必要がある。
(4) 横田知事
○被爆者の高齢化が進み、直接体験を聞く機会が失われつつあることが平和教育の大きな課題であるが、AIやVR等も活用して被爆者の声や思いを次世代へ継承する仕組みが必要。
○広島・長崎の経験は核実験被害を受けた地域ともつながり、世界全体で共有すべき経験である。
○広島とそれ以外の地域では被爆の実相や核兵器に関する情報に触れる機会に大きな差があることから、そのギャップを縮める必要がある。若者に学びや交流の機会を提供するとともに、参加した若者自身が経験や学びを周囲へ伝え、行動につなげられるよう、県としてそのための場づくりに取り組んでいきたい。
イベントの様子
知事あいさつ
若者による発表

若者とパネリストとの対話

集合写真
動画(YouTube配信中)