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2026年6月16日(火曜日)、19日(金曜日)、23日(火曜日)、7月1日(水曜日)、2日(木曜日)の計5回、オンライン・ラーニング&ウェビナー・セッションを開催しました。各セッションでは、ゲストとしてお迎えした大学教授や研究者、国連関係者などの有識者から、核兵器が及ぼす影響やそのリスク、さらに核兵器をめぐる市民社会の役割や関わりについて講義を受けるとともに、参加者との意見交換を行いました。
○ 6月16日(火曜日) 核兵器の人道的影響

写真左:二川 一彦氏 写真右:メアリー・ディクソン氏
最初のウェビナーでは、胎内被爆者である二川一彦氏をゲストに迎え、自身の生い立ちや家族の体験を通じて、広島で起きた惨状、そして戦後も続いた被爆者としての苦悩や差別についてお話しいただきました。母親の胎内で被爆した二川氏は、被爆によって家族を失った経験や、被爆の影響を抱えながら生きてきた家族の思いについて語り、核兵器がもたらす被害が世代を超えて続くことを伝えました。
また、米国の核実験により放射線の影響を受けた「ダウンウインダー(風下住民)」である作家のメアリー・ディクソン氏は、核実験による放射能汚染によって家族や地域が受けた影響、自身の健康被害について証言されました。目に見えない放射線が長期にわたり人々の暮らしや健康に影響を及ぼす実態を語り、核兵器による被害が現在も続いていることを訴えました。
両氏の証言を通じ、核兵器の問題は過去の歴史や政治上の課題にとどまらず、一人ひとりの命や人生に深く関わる問題であることが改めて示されました。また、被爆者や核実験被害者の声を次世代へ継承し、核兵器のない世界の実現に向けて、国境を越えた連帯と学びを広げていくことの重要性を強調する内容となりました。
○ 6月17日(金曜日)核兵器の社会・経済・環境への影響

ロバート・ジェイコブズ氏
この日のウェビナー・セッションでは、歴史学者のロバート・ジェイコブス氏を講師に迎え、核兵器が社会、環境、経済に及ぼしてきた広範かつ長期的な影響について講義いただきました。
講義では、広島・長崎の被爆者だけでなく、世界各地で行われた核実験や核関連事故により放射線の影響を受けた「グローバル・ヒバクシャ」に焦点を当て、その存在や被害の実態について解説がありました。また、こうした被害が従来の科学的評価や枠組みの中で十分に捉えられてこなかったこと、さらに放射性降下物の拡散や核廃棄物が将来世代に及ぼす長期的なリスクについても取り上げられました。
最後に、核問題が植民地主義や経済的利益とも深く関わってきたことを指摘し、核兵器のない世界の実現に向けて、一人ひとりが問題への理解を深め、地域や国境を越えて連帯して行動することの重要性を強調されました。
○ 6月23日(火曜日)現在の核リスクと将来の核リスク

ローラ・コンシダイン准教授
この日のウェビナー・セッションでは、リーズ大学 国際政治准教授のローラ・コンシダイン氏を講師に迎え、核抑止論の基本的な考え方や、それが歴史的にどのように「管理可能なもの」として受け入れられてきたのかについて講義いただきました。
講義では、現代の核政策において重視される「リスク削減」という考え方を批判的に検討し、数値化されたリスク管理によって、核兵器が本来持つ不確実性や深刻な脅威が見えにくくなる可能性について解説がありました。また、核抑止論の根底にある「合理性」という前提が、ジェンダーや植民地主義と結びついた価値観の影響を受けている点についても考察されました。
さらに、コンシダイン氏は、核抑止は単なる理論や技術的な政策手段ではなく、政治的・倫理的な選択であると述べ、その前提や考え方を多様な視点から問い直すことの重要性を強調されました。核兵器のない世界の実現に向けて、核をめぐる議論をより広い視野で捉え、対話を深めていく必要性を示す内容となりました。
○ 7月1日(水曜日)核軍縮のための国連と市民社会の役割

写真左:メリッサ・パーク氏 写真右:セス・シェルデン氏
この日のウェビナー・セッションでは、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)事務局長のメリッサ・パーク氏と、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)法務顧問兼国連連絡担当のセス・シェルデン氏を講師に迎え、核兵器禁止条約(TPNW)の意義や、核抑止論を問い直すための考え方について講義いただきました。
講義では、広島・長崎の被爆者や核実験による被害を受けた人々の証言を踏まえ、核兵器がもたらす深刻な人道的・環境的影響について解説がありました。また、核兵器が安全保障をもたらすという考え方の問題点を指摘し、核抑止に依存しない国際的な枠組みの必要性について説明がありました。
さらに、国連軍縮部大量破壊兵器部門長のクリストファー・キング氏によるビデオメッセージも紹介され、核兵器のない世界の実現に向けた、国際機関による取組と市民社会の活動が連携していくことの重要性が強調されました。
本ウェビナーを通じて、市民一人ひとりの声と行動が国際社会を動かす力となり、核兵器廃絶への道を切り開く原動力となるという、希望に満ちたメッセージが発信されました。
○ 7月2日(木曜日)核軍縮推進のための橋渡し

ジェイソン・ロビンソン氏
最終回となるこの日のウェビナー・セッションでは、今年度プログラム全体のテーマである「核軍縮推進のための橋渡し」をテーマとして実施しました。
今回は、アイルランド国連代表部(ジュネーブ)軍縮会議担当次席常駐代表のジェイソン・ロビンソン氏を講師に迎え、核軍縮におけるアイルランドの取組について講義いただきました。
ロビンソン氏は、核兵器不拡散条約(NPT)や核兵器禁止条約(TPNW)に関する取組に加え、核戦争の影響に関する国連政府間専門家パネルでの議論への関与などを紹介しながら、国際的な核軍縮の推進においてアイルランドが果たしている役割について説明されました。
質疑応答では、核兵器保有国との対話をどのように進めていくべきか、また、軍縮の枠組みにジェンダーの視点や被害者中心の視点をどのように取り入れていくべきかなど、多岐にわたる質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。
本セッションを通じて、核軍縮を前進させるためには、異なる立場や考えを持つ国々をつなぐ対話と協力が不可欠であることが改めて示されました。