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里親制度とは?条件などについてもQ&Aでわかりやすくお伝えします

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みなさんは、日本に「様々な事情から実親による養育が困難とされる子供」は何人存在するか知っていますか?実は4万人以上もいるんです。

子供の成育において、家庭養育の重要性が明らかになってきており、他国では、実親から離れて暮らす子供の多くが里親の元で養育されています。例えば、オーストラリアでは、実親から離れて暮らす90%の子供が里親の元で養育されているなど、非常にポピュラーな制度です。

日本においても、近年は、国が法律の整備などにより里親推進の強化を行っているところですが、まだまだ皆にとって馴染みのある制度にはなっていません。今回はそんな「里親制度」について考えてみましょう。

里親制度って?

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そもそも里親とは、親の病気、家出、離婚などのいろいろな事情により家庭で暮らせない子供たちを、自分の家庭に迎え入れて養育する人のことをいいます。

里親制度は児童福祉法に基づき、県が認定、登録した方に里親をお願いする制度です。

里親制度はどうして必要なの?

なんとなく社会貢献のため?と思いますが、そもそも里親制度ってどうして必要なのでしょうか。死別や虐待などにより実親と暮らすことが難しい子供を家庭的環境で養育するための方法として、里親制度が必要とされています。

家庭的環境で養育されることは、信頼できる大人との愛着関係のもとで自己肯定感を育むことができるなど、将来、自立に向けての土台となります。

また、子供を育てるということはもちろん大変なことも多くありますが、里親にとっては、子供の笑顔や成長をみる醍醐味を味わうことができます。子育てを通じて世界を広げることができ、里親自身の成長にもつながるでしょう。

実際の体験談はこちら

「里親制度」と「養子縁組制度」の違いって?

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「里親制度」と関係の深いものとして「養子縁組制度」がありますが、みなさんはこの違いをご存じでしょうか?どちらも実子でない子供を家庭へ迎え入れて養育するものという点では共通していますが、法律上は別の制度です。

養子縁組制度に関わる法律は民法、里親制度に関わる法律は児童福祉法という違いがあります。また、養子は法律上の親子となりますが、里親は法律上の親子ではありません。

里親制度の種類は?

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里親は、子供を養育する期間や内容により、「養育里親」や、「専門里親」、「養子縁組里親」、そして、「親族里親」の4種類に分かれています。

また、自治体の独自の事業である「週末里親」があります。
子供の養育に係る必要な経費は、国と自治体から支払われます。

養育里親

さまざまな理由で社会的養護を必要とする子供を一定期間養育する里親です。

委託は、数カ月単位の短期間の場合もあれば、子供が自立するまでの年単位の長期間の場合もあります。

専門里親

養育里親として、または児童福祉事業に従事した経験があり、専門里親認定研修を受講し認定された里親です。

委託されるのは、非行や障害があるなど、養育に関し特に支援が必要な子供です。

養子縁組里親

受託した子供と養子縁組することを前提として、養子縁組が成立するまでの期間、里親として子供を養育します。

親族里親

両親が死亡、行方不明、長期入院などにより子供を養育できない場合に、その子供の扶養義務者である親族 (祖父母等) が里親となり、養育します。
※子供の扶養義務者でない親族 (おじ、おば等) が養育する場合は、養育里親となります。

週末里親

施設で暮らしている子供を、週末や夏休み、冬休みなど短期間に受け入れる里親。
広島県はふれあい里親、広島市はホリデー里親と呼んでおり、自治体によって呼び方が異なります。

【Q&A】里親をもっと知る! (養育里親)

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ここまで里親制度について考えてみましたが、実際に里親になるには、一体どんな要件が必要なのでしょうか。よくある質問をまとめてみました。

里親には誰でもなれるの?

里親になるには、まず「保護を要する子供の養育についての理解及び熱意並びに子供に対する愛情」が必要です。その他に、欠格事由に該当していないこと、研修を受講していることや、経済的に困窮していないことなども要件となります。

里親は何歳までできるの?

年齢制限はありません。

独身でも里親になれるの?

知識、経験を有するなど、子供を適切に養育できると認められる場合は、独身でも里親になることはできます。

子供がいてもなれるの?

実子がいても里親になることができます。ただし、委託は家庭状況などを総合的に判断し決定します。

里親になるには?

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手続きは、下記フローで進めます。

1. 相談・申込
まずは、お住いの地域を担当する里親支援センター にお問い合わせください。その後、里親制度について説明を受け、家族同意の上で申し込んでください。
2. 家庭訪問
県こども家庭センターの児童福祉司が家庭を訪問し、家族状況や養育への考え方などをお聞きし、里親となる事が可能か確認します。
3. 研修受講
県又は広島市が実施する一定の研修を受講してください。
4. 審査・登録
広島県子ども・子育て審議会又は広島市社会福祉審議会の意見を聞いて、知事から里親として認定され、里親名簿に登録されます。
5. 委託決定
子と里親とが交流を重ねた上で、こども家庭センターが養育の委託を決定します。

里親が日常にいる、あたたかい社会へ

まずは里親制度をより多くの方に知ってもらい、里親や里親に養育される子供が決して特別なものではなく、家族のかたちであると受け入れてもらえる環境をつくる必要があります。このため、広島県では、令和5年度より、里親制度の広報・啓発、研修の実施、里親と子供のマッチング、里親委託後のフォローまで、一貫した支援を行う里親支援専用の機関である里親支援センターを設置し、里親さんに寄り添った支援に取り組んでいます。

里親や里親に養育される子供が周囲の人に見守られ、支援を受けながら安心して生活できるあたたかい社会を広島県は目指しています。