広島県で子育てしたくなる!?乳幼児支援の新たな形｢ネウボラ｣
ひろしまを学ぶ |
最近、子育てに関する話題で｢ネウボラ｣という言葉を耳にすることがありますが、その意味をご存知の方はまだ少ないのではないでしょうか。今回は、広島県が目指している｢ひろしま版ネウボラ｣について、紹介します。
ネウボラって何？
ネウボラというのは、もともとフィンランド語で｢アドバイスの場｣という意味があります。子育て家庭の相談の場であるネウボラは、フィンランドでは何かあったら行く相談所というよりも、子供ができたら母親も父親も当たり前に通う場所というイメージ。相談ごとがなくても定期的に行って、いろいろと話をする場なのだそうです。
ネウボラには家族ごとについた担当の人が妊娠期から家族の成長をずっと見守り、その時期に応じたアドバイスや支援を提供してくれる、そんなサービスです。
日本にも同じような行政サービスはあるの？
日本では従来、子供と母親の健康を守る母子保健や、児童手当といった経済的な支援など、色々な支援がバラバラに提供されてきました。国内でもこれらをまとめる動きが出てきていますが、住民側がアクションを起こさなければなかなかサービスは受けられず、基本的には困った人を助けるというシステムになっています。
フィンランドのように、様々な支援を提供しながら、包み込むようにすべての家族を見守るというところまでは、もう少し時間がかかりそうな状況です。
広島県ではどのようなネウボラを目指しているの？
フィンランドでは、ネウボラで見守られているという安心感があるため、児童虐待が少ないという話もあるそうです。つまり、ネウボラのスタッフが家族と信頼関係を築いて、子育てに安心感を持ってもらう、これを広島県のネウボラでも実現していきたいと考えています。
また、フィンランドでは、子供が生まれたらネウボラに行って定期健診を受けたり、授乳の相談をしたり、子供への接し方などを教えてもらうのが普通なのだそうです。
日本でも、小学校に入学して教育をうけるというのが当たり前になってますよね。教育も行政が提供するサービスの一つ。広島県のネウボラも小学校の例のように、子供が生まれたらすべての人が当たり前にネウボラに通い、見守られているという安心感の中で、様々なサービスを受けられるようにしていきたいと考えています。
また、フィンランドでは予防接種などもネウボラで受けることができます。日本では、今は定期健診や予防接種は病院や診療所など医師のいる場所で担当していますね。広島県でも、ネウボラが小児科や幼稚園、保育所や児童相談所といった地域にある様々な子育て関係の機関と連携しながら、フィンランドのようなサービスを提供していく形を目指しています。
広島県ではどのようなネウボラを目指しているの？
国も日本版ネウボラの推進をしています。役場などそれぞれの担当に分かれているサービスをワンストップ化しているところもありますが、すべての子育て家庭をしっかりと見守るというところまでは進んでいないのが現状です。
広島県のネウボラは、日本の中でも最も手厚く、フィンランドのネウボラに近いものを目指しています。図のように、色々な機関と連携しながら、子育て支援のサービスをしっかりと提供していくようなイメージです。
ネウボラが広島県全体に広がるのはいつごろ？
フィンランドのネウボラは、100年かけて仕組みを作り上げ、社会に定着してきました。日本では、例えば明治時代に初めて導入された小学校は、義務化され定着するまで、2～30年はかかっているんです。広島県のネウボラも、それくらい大きな社会的インパクトをもたらすと予想され、しっかりと走り出すまで、あと数年はかかると見込んでいます。
まとめ
アドバイスの場というフィンランド語の｢ネウボラ｣。ネウボラとは妊娠期から出産、就学前までの子供とその家族を対象にした切れ目のない支援サービスのことでした。
子育てに、悩みや不安はつきものです。相談ごとがなくても定期的に色々話を聞いてもらえたら、ますます安心して妊娠、出産、子育てができそうですね。｢ひろしま版ネウボラ｣が県内に広がっていくことで、県内どこでも安心して子育てができる体制づくりが進んでいくことを期待したいですね。