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肝がんは検査で防げるかも?一生に一度は肝炎ウイルス検査!

ひろしまで暮らす |

みなさんは肝炎という病気をご存じですか?肝炎とは肝臓の細胞が破壊されている状態のことです。肝臓は神経がないことから、自覚症状を感じにくいのが特徴で、そのことから肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれています。

日本では肝炎の多くは「ウイルス性肝炎」と言われており、日本人に最も多い肝臓病です。そんなウイルス性肝炎について今回は掘り下げてみましょう。

ウイルス性肝炎ってなに?

ウイルス性肝炎は、肝炎ウイルス (主にB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス) に感染することが原因で引き起こされる肝臓の病気です。多くの場合感染しても自覚症状がないので、気が付かないうちに慢性肝炎から肝硬変 (かんこうへん) 、肝臓がんに進行することがあります。肝臓がんの死亡者の半数以上はこの肝炎ウイルスが原因です。

また、母親を含め家族が肝炎ウイルスに感染している場合、適切な感染予防をしなければ、赤ちゃんや他の家族にも感染する可能性があります。

働く世代に多い「B型肝炎」

B型肝炎感染後に起こりやすい病気
B型肝炎感染後になりうる病気

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス (HBV) の感染によって起こる肝臓の病気で、B型急性肝炎とB型慢性肝炎があります。広島県内には、約33,500人患者さんがいるといわれています。思春期以降にB型肝炎ウイルス (HBV) に感染するとしばしば急性肝炎を発症し、強い倦怠感や食欲低下などを生じます。

多くの人は一過性の感染で自然に治りますが、最近では慢性化するタイプが増えてきています。また、B型肝炎には母子感染のリスクがあるため、出産前には母親が肝炎ウイルスに感染しているかの検査を行い、出産後には赤ちゃんに必要に応じてB型肝炎免疫グロブリンやワクチンを注射し、母子感染を防止しています。

高齢者世代に多い「C型肝炎」

C型肝炎感染後に起こりやすい病気
C型肝炎感染後になりうる病気

C型肝炎は、C型肝炎ウイルス (HCV) に感染することで肝臓に炎症が起き、長期間炎症が続くことにより肝硬変や肝がんを引き起こす病気です。B型肝炎ウイルスよりも感染力が弱いと言われており、広島県内には、約12,300人患者さんがいると言われています。

C型肝炎ウイルス (HCV) に感染すると、成人でも70~80%と高い確率で慢性化 (持続感染) します。一般的に、感染から20~30年かけて肝硬変、肝がんを発症します。症状としては全身倦怠感や食欲低下などが起こりますが、症状がなくても、キャリアや慢性肝炎と診断されたら必ず継続的な検査を受けましょう。

母子感染のリスクは低いとされていますが、妊娠前にウイルス量を抑える治療が勧められています。

ウイルス性肝炎の感染を予防するには?

歯ブラシ

B・C型肝炎ウイルスはウイルスを含む血液や体液が体内に入ることで感染します。そのため、感染者の体液や血液との直接的な接触を避けることが大切です。また、握手、ハグ、食器の共有、お風呂の共有、くしゃみ、蚊の媒介では感染しません。

  • かみそり、歯ブラシ、ピアスなど血液の付く器具は自分専用とする
  • 血液や体液を傷のある手で触らない (健康な皮膚はウイルスを通しませんが、傷のある皮膚や粘膜はウイルスを通します)
  • 避妊具 (コンドーム) を適切に使用する
  • 乳幼児に口移しで食べ物を与えない
  • B型肝炎ウイルスの予防接種をする

肝炎ウイルス検査は受けたほうがいい?

肝炎予防のためのヒヤリング

肝炎ウイルスに感染しているかどうかは肝炎ウイルス検査でしかわかりません。一般的な健診項目に含まれていないことが多く、慢性肝炎になっていても自覚症状がないことが多いため、まだ検査を受けたことがない方はぜひ検査を受けましょう。

日常生活で肝炎ウイルスに感染する機会はほとんどないので、一度検査を受けて陰性と判断されれば、その後に感染するような機会がなければ、定期的に検査を受ける必要はありません。ただし、医療従事者の方など感染リスクの高い人については、これによらず適切な頻度で検査を受けてください。

検査場所

肝炎ウイルス検査は、県が委託する医療機関・県保健所などで受けることができます。検査は簡単な採血のため、短時間で済み、また、1~2週間で検査結果がわかります。

広島県にお住まいの方は、次の場所で肝炎ウイルス検査を受けることができます。検査を受けたい場合は、事前にお問い合わせください。

  • 職場の健康診断、人間ドック
  • 妊婦健診
  • お住まいの市や町の健診
  • 県の保健所 (広島市、福山市、呉市以外にお住まいの方)
  • 広島市・福山市・呉市の保健所 (広島市・福山市・呉市にお住まいの方)
  • 県や市町の委託医療機関

感染が分かったら

肝炎ウイルスに持続感染していることがわかったらすぐに肝臓の専門医を受診し、精密検査を受けましょう。症状がないからと放っておくと、肝硬変や肝がんに進行するリスクがあります。実際に肝がんの原因として最も多いものは肝炎ウイルスで、B型・C型肝炎ウイルスが肝がんの原因の大半を占めています。

広島県では、妊婦健診、県、市町又は職域で実施した肝炎ウイルス検査、手術前の肝炎ウイルス検査で陽性と判定された方を対象に、医療機関で精密検査を受けた際の医療費の自己負担分を助成しています。その他のフォローアップ体制も整えていますので、安心して治療に専念できます。

少なくとも一生に一度は肝炎ウイルス検査を受けましょう!

「沈黙の臓器」といわれるだけあって、自覚症状がないところが厄介な肝臓ですが、早めの検査で肝炎ウイルスの制御や排除ができれば、肝硬変や肝がんへの進行を予防することができます。これまで検査を受けたことがない方は、この機会にぜひ検査を受けてみてください。