国際平和のためのユース対話イベント

世界のリーダーと若者の対話 核兵器なき世界への道
広島、そして若者へつなぐ
(担当者レポート)
パネリストと参加者との記念写真
原爆投下から79年が経った2024年8月6日、広島平和記念公園で行われた平和記念式典へ、109カ国の代表や岸田文雄首相、被爆者や遺族ら約5万人が参列しました。そしてこの日の午後、広島県/へいわ創造機構ひろしま(HOPe)と国連訓練調査研究所(UNITAR)は、核兵器なき世界の実現に向けて「世界のリーダーと若者の対話 核兵器なき世界への道 広島、そして世界の若者へつなぐ」を今年2月に開業したサッカー専用スタジアム「エディオンピースウィング広島」で開催しました。
このスタジアムの名前は、「恒久平和と、夢や希望を持って明るい未来へはばたく」との願いが込められるなど、平和をコンセプトとしており、この度のイベント会場としてふさわしい場所です。
会場となったエディオンピースウィング広島の全景
パネル・ディスカッションの様子
ニキル・セス氏(国連事務次長補/国連ユニタール総代表)がイベントのモデレーターを務め、中満泉氏(国連事務次長/軍縮担当上級代表)、ショーナ‐ケイ・リチャーズ氏(ジャマイカ駐日大使)、湯崎英彦・広島県知事/HOPe代表、田中美穂氏(カクワカ広島共同代表)、フランコ・エスコバル氏(ユース非核リーダー基金プログラム参加者代表)ら5名のパネリストが登壇し、パネルディスカッションと、参加者からの質疑応答を行いました。
会場には広島を中心に京都や東京在住の学生・留学生を含めた10-20代の若者が参加し、「ユース非核リーダー基金プログラム」の参加者も、世界各地からオンラインでイベントを視聴しました。
パネルディカッションでは、「現在力を入れている若者を対象とした活動とその影響について」をテーマに、中満国連事務次長、リチャーズ大使、湯崎知事がプレゼンテーションを行いました。
中満 泉 氏(国連事務次長・軍縮担当上級代表)
中満国連事務次長は、国連が行っている若いリーダーを対象とした軍縮の枠組みを議論し学び合うプログラムを紹介し、「多様な見方があることを理解し、様々な視点から考えることが重要。「リアリズム(現実主義)」の視点に加えて「アイデアリズム(理想主義)」、この両方の視座から核兵器がなくとも安全保障ができる世界を如何に築くか。勉強して考えてほしい。」と激励されました。
ショーナ‐ケイ・リチャーズ氏(駐日ジャマイカ大使)
リチャーズ大使は、軍縮・不拡散教育と若者のエンパワーメントに関わるきっかけとなった19年前の広島での被爆者との交流と、現在取り組んでいる様々な講演やワークショップを紹介し、「アドボカシー活動は大変な時もあるが、課題に対して楽しむことが重要。被爆者からバトンを受け取って、勇気を持って次の世代につないでほしい。希望をもって、あきらめず、自分のできることを自分の場所で。」と活動に取り組む若者を勇気づけました。
湯崎 英彦(広島県知事/へいわ創造機構ひろしま(HOPe)代表)
湯崎知事は、広島県/へいわ創造機構ひろしま(HOPe)が取り組んでいる若者を対象とした人材育成事業と、その修了生の活躍について紹介し、「自分が信じていることにどれだけコミットして行動するかが重要。核兵器の問題に関して参加している若者の数が少ないと感じている。パンデミックの時期を経て、巨大な組織に若者が連帯して対抗できるようになっている。力を合わせて取り組んでほしい。」と問題に対して行動をとることの重要性を述べました。
パネルディスカッションに続いて、田中共同代表、エスコバル氏がそれぞれ行っている平和に関する取組を紹介し、中満国連事務次長、リチャーズ大使、湯崎知事が活動をよりよくするアイデアについてアドバイスを行いました。
田中 美穂 氏(核政策を知りたい広島若者有権者の会(カクワカ広島)共同代表)
田中共同代表は、被爆者や核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の活動家との出会いをきっかけに設立した「カクワカ広島」の活動を紹介し、「若者が核軍縮・不拡散の分野に関わるべきだと考える理由の一つに、核兵器が使われた場合、若者への被害がより大きくなるということがある。自分たちも下の世代に責任を渡さず、自分の世代で責任を果たすためにできること、引き継げることについて考えないといけない。」と活動を継続していく決意を述べられました。
フランコ・エスコバル氏(ユース非核リーダー基金プログラム参加者代表)
エスコバル氏は、核軍縮運動への若者の参加についての研究を紹介し、「現在、世界では気候変動などの分野に興味が向き、核兵器問題は後回しとなっている。大人にはできないが若者にはできることもある。歴史を見ると若者が世界を変えた例は多い。そのような例を忘れないでほしい。」とユース非核リーダー基金プログラム参加者を代表し、核兵器問題へのさらなる取組を呼びかけました。
参加者との質疑応答の様子
イベントが終わった後も、会場の熱気が冷めることはなく、参加した若者は熱心にパネリストに質問をしたり、記念撮影をするなどしていました。核軍縮・不拡散の分野で活躍する世界のリーダーが、活動への想いを語り、次代を担う若者へのメッセージを直接送ることは、若者にとって得難い経験になったように思います。このイベントでの経験が、今後彼らの様々なチャレンジのきっかけとなり、核兵器のない平和な世界の実現につながることを期待します。
※「世界のリーダーと若者の対話 核兵器なき世界への道 広島、そして世界の若者へつなぐ」の様子は、YouTubeで視聴可能です。
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現在、令和7年度のユース対話イベントの企画を進めております。詳細な情報については、本ページにて随時更新いたしますので、今しばらくお待ちください。