知っていますか ヤングケアラーのこと
中学生の17人に1人、高校生の24人に1人。何の人数か分かりますか?実は、「ヤングケアラー」の人数です。
地域や近所に住む子供の行動にちょっとした違和感がある時やヤングケアラーかもしれない子供に出会った時に、あなたならどうしますか?
目次
ヤングケアラーについて知ろう
ヤングケアラーとは、家事や介護などで過重な負担がかかっている状態にある子供を指します。例えば、病気の家族に代わり、買い物や掃除、料理などの家事や幼い兄弟の世話をしている状態。病気や障害のある家族の介護や見守り、日本語が話せない家族の通訳も当てはまります。
何が問題?
「家の手伝いをよくして偉いね」。一見してそう捉えられがちですが、過度な負担がかかると、学業に影響が出たり、部活動や友達と遊びに出掛けることができなかったり。子供らしい生活ができないことが問題となっています。
ただ、子供自身が、その状態を「当たり前」だと思っているケースもあります。ヤングケアラーの問題点は、本人や家族に自覚がない、または周囲に言えずに孤立するなどの理由から、支援が必要であっても表面化しにくいことです。
広島県内の小学5年生と中学2年生を対象に実施した調査 (2023年度) では「自分がヤングケアラーに当てはまる」と答えた割合は小学5年生で1.6%、中学2年生で1.0%。「分からない」は小学5年生で29.6%、中学2年生で22.8%でした。
そのため、支援を進めていくには、周囲の大人が理解を深め、子供の異変に気づくことが大切です。
広島県は、本人が周囲に助けを求めにくい現状を踏まえ、周囲の人が支援の必要な子供を見過ごさず適切に対応できるよう、ヤングケアラーの認知度や理解を深める啓発活動をはじめ、学校や医療福祉関係者向けの研修会などを実施しています。
また、ヤングケアラーコーディネーターを配置し、各市町の対応や相談に関する助言等を行い、支援力の底上げを図っています。
ヤングケアラーかもしれない子供に気付くポイント
周囲の大人がヤングケアラーの存在に気づくためには、子供のささいな変化に意識を向けることが大切です。例えば、服装の乱れや、いつもと違って元気がない時など。学校に行っているはずの時間帯に、子供が1人で買い物に行っていたり、下の子の送迎をしていたり。
これまで近所の公園に遊びに来ていた子が、突然姿を見せなくなった際に「最近あの子を見ないね」と気に掛けることが、支援の第一歩となります。
違和感に気付いたら
違和感に気付いたら、どうすればいいのでしょうか?その子が相談しやすい状況をつくることを意識し、必要であれば支援につなげましょう。
まずは、子供に寄り添って
まずは、その子から話を聞くことです。無理に聞きだそうとはせず、気持ちを受け止め、子供が何を考えているかに寄り添うことが大切です。
本人にとって「当たり前の生活」で自覚がない場合や、やりがいと感じて支援を望んでいないケースもあります。子供の気持ちを優先し、今後どうしたいかを一緒に考えた上で、必要に応じて相談窓口へとつないでいきましょう。
地域での支援の広がり
地域でも、支援の輪は広がっています。「ともの会」は、子供たちが悩みや気持ちを安心して語れる場です。真亀児童館 (広島市安佐北区) で、毎月第4日曜日に開いています。
「高陽ヤングケアラー広場」では、地域のボランティアがヤングケアラーへの理解を深めるための学習会や相談会を開催しています。真亀公民館 (広島市安佐北区) で、毎月第3土曜日に開催し、誰でも気軽に参加できます。
地域で見守る 安心できる居場所を
ヤングケアラーの相談や支援に取り組むスクールソーシャルワーカーで、認定社会福祉士 (児童・家庭分野) の松谷恵子さんに聞きました。
広島県のヤングケアラーの現状は。
家族の病気や障害に関連するケアが多い印象です。体調の悪い親から連絡を受け、学校を早退したケースもあります。
家庭内での手伝いとの違いの一つの視点として、子供の意思でやめられるかどうかがあると思います。子供が「今日はできない」と言ってやめられるなら手伝いの範疇と言えます。しかし「1日でもできない日があると困る」といった状況であれば、ヤングケアラーの状態に近いといえます。
どんな支援ができますか。
近所の子供と挨拶や雑談を通して、つながりを持つことが支援の始まりとなります。子供によっては、家庭の心配をされることや、根掘り葉掘り聞かれることを嫌がる場合があります。
何気ない会話をすることが、「ほっとする場所」となることもあります。「この人なら話しても大丈夫」という存在になってあげられるといいですね。
ヤングケアラーと思われる子供と接する際、心掛けることは。
大人の思い込みで「この子はヤングケアラーだ。なんとかしてあげなければ」と決めつけるのではなく、本人が今の状態をどう思っているのか、困っていることがあるかを聞いてあげてください。
「かわいそうな子」、その親を「悪い親」と決めつける風潮になってしまうと、親も子もますます相談しにくくなります。子供中心に考え、学校や地域の相談窓口につなぐことが重要です。
「仕方がない」で終わらせない
相談することで子供の負担が軽減し、改善した事例もたくさんあります。例えば、祖父母の介護をしていた子供。何気ない会話から学校の先生が気付き、地域包括支援センターにつなげ、専門職が祖父母の世話を行うことになりました。
自覚が難しく、孤立してしまいがちな問題だからこそ周りで気付き、連携しながら支えることが大切です。全ての子供が、子供らしく暮らせる街にするために。
