食中毒の症状って?予防のポイントもおさらいしよう!
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高温多湿となる梅雨時期から夏にかけて、カンピロバクターなどの細菌を原因とする食中毒が最も発生しやすい時期です。
そのため、広島県では、6月1日から9月30日までを「広島県夏の食中毒予防期間」とし、食中毒予防の普及・啓発を推進しています。
食中毒を予防するためには、食中毒の原因となる細菌等の性質に合わせた対策をとる必要があります。
この記事では、これから夏にかけて気を付けたい食中毒の種類や特徴と、その予防策をご紹介します。
目次
食中毒って?
食中毒とは、有害な細菌やウイルス、化学物質が含まれた食品を食べることによって、下痢、おう吐、腹痛、発熱などの健康被害が起こることです。
食中毒の種類としては、
- アニサキスなどの「寄生虫」による食中毒
- 夏季に多く発生するカンピロバクターやサルモネラ、黄色ブドウ球菌などの「細菌性」食中毒
- 冬季に多く発生するノロウイルスやロタウイルスなどの「ウイルス性」食中毒
- フグや貝毒、毒キノコやジャガイモの芽などの「自然毒」による食中毒
などさまざまです。
広島県内では、どんな食中毒が起きている?
2022年から2024年の3年間に広島県内で発生した食中毒のうち、最も発生件数の多かった食中毒は、アニサキスなどの寄生虫による食中毒でした。次いでノロウイルス (ウイルス性) 、カンピロバクター (細菌性) の順に多く発生しました。
同期間に発生した15件の細菌性食中毒の発生時期をみると、そのうち10件が高温多湿となる6月から9月の間に発生していました。
また、飲食店などによる集団発生を耳にされることが多いかもしれませんが、家庭での食事などでも発生しています。皆さんがそれぞれ対策をとることで、食中毒を予防していきましょう。
どんな症状が出るの?気を付けるポイントは?
広島県内で最も発生が多い「寄生虫」による食中毒と、これから夏にかけて気を付けたい「細菌性」食中毒の症状をおさらいしていきましょう。
「寄生虫」による食中毒
寄生虫がいる生鮮食品や野菜などを生や加熱が不十分な状態で食べたときに、激しい腹痛やおう吐などの症状を引き起こすことがあります。
特に、近年、全国的に発生件数が多いのが寄生虫「アニサキス」による食中毒で、広島県でも毎年発生しています。「アニサキス」は、寄生虫 (線虫) の一種で、その幼虫が、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生しています。
アニサキス幼虫は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいの白色の少し太い糸のように見え、普段は、魚介類の内臓に寄生していますが、寄生している魚介類が死ぬと、時間の経過とともに、身の部分に移動します。
アニサキス幼虫が寄生する魚介類を生の状態で食べてしまうと、人の体内に入ったアニサキス幼虫が胃壁や腸壁を突き刺し、食中毒 (アニサキス症) を引き起こします。
食後だいたい2~8時間後に、みぞおちの激しい痛みやおう吐などを引き起こすことが多く、また、半日から数日後に激しい下腹部痛などを引き起こす場合もあります。
このため、刺身やシメサバなどを調理する際には鮮度の良い魚介類を選び、アニサキス幼虫がいないかしっかり確認しながら調理しましょう。
また、アニサキス幼虫は一般的な料理で使う酢や塩、ワサビなどでは死滅しませんが、冷凍や加熱を十分に行うことで死滅させることができますので、調理の工夫で予防することもできます。
アニサキスの基本的な治療法は除去することです。生鮮魚介類を食べた後に激しい腹痛があるなど、アニサキス幼虫による食中毒の可能性がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
「細菌性」食中毒
高温多湿な夏は、多くの食中毒菌にとって増殖しやすい気候条件となるため、「細菌性」食中毒に、特に注意が必要です。
一口に食中毒菌といっても、様々な種類があり、それぞれ特徴が異なりますので、食中毒菌の一部をご紹介します。
カンピロバクター
- 潜伏期間 2~7日
- 主な症状 下痢、発熱 (38~39℃) 、腹痛
- 主な原因食品 肉 (特に鶏肉) 、井戸水、沢水
サルモネラ
- 潜伏期間 12~24時間
- 主な症状 下痢、発熱 (38~40℃) 、腹痛
- 主な原因食品 卵や肉、うなぎ、スッポン
黄色ブドウ球菌
- 潜伏期間 1~6時間 (通常3時間程度)
- 主な症状 おう吐、腹痛、下痢 ※発熱はない
- 主な原因食品 素手で調理したり食べたりする食品 (おにぎり、寿司、弁当類、生菓子(特にシュークリーム))
ウエルシュ菌
- 潜伏期間 6~18時間 (通常12時間程度)
- 主な症状 下痢、腹痛 ※症状は比較的軽く一過性
- 主な原因食品 大量に加熱調理された後、長時間室温に放置される食品 (カレー、シチュー等)
ここからは、近年、最も発生件数の多い「カンピロバクター」について詳しくみていきましょう。
「カンピロバクター」とは、鶏、その他の家畜や、ペットの犬猫など、さまざまな動物の腸内に生息している細菌で、井戸水や沢水などに含まれていることもあります。
特に、鶏肉には高い確率でカンピロバクターが付着しており、十分に加熱せずに食べると発症することがあります。
また、井戸水や沢水を殺菌せずにそのまま飲むことで発症する場合もあります。
カンピロバクターの潜伏期間はだいたい2~7日程度で、他の食中毒菌よりも比較的長いです。
症状は、38~39℃の発熱や腹痛、下痢、頭痛、悪寒などで、多くは1週間程度で自然に治りますが、乳幼児や高齢者、抵抗力が弱い方などは重症化する危険性があるので注意が必要です。
また、カンピロバクター食中毒を発症した数週間後に、まれに手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症することがあると言われています。
ほとんどの場合は、数週間で徐々に良くなり完治しますが、重症化するケースもありますので、適切に医療機関を受診してください。
食中毒かな?と思ったら
食中毒は風邪と似たような症状のこともあるので、見落とさないように注意が必要です。下痢止めや吐き気止めなどを服用すると悪化する場合があるので、判断に迷ったときは、早めに医療機関を受診してください。
特に、おう吐を半日~1日以上繰り返している、尿が半日以上出ないといった場合は、すでに脱水症状になっていることが疑われますので、すぐに医療機関を受診してください。
食中毒にならないために
食中毒は、飲食店などの食事だけでなく、家庭での食事でも発生する危険性が潜んでいます。
これから夏にかけて、家庭で細菌性の食中毒を予防するためのポイントは3つ!
食中毒菌を「つけない、増やさない、やっつける」ことです。
食中毒菌を「つけない」!
調理前や調理中はこまめに石鹸で手を洗い、手と調理器具をいつも清潔にしてください。
サラダなどの加熱をしないで食べる食材を先に調理し、一見きれいに見える野菜もしっかり洗いましょう。また、肉や魚を扱った後のまな板や包丁は、十分に洗い、消毒してください。
食中毒菌を「増やさない」!
食中毒菌の多くは、10℃を超えると徐々に増殖しますので、冷蔵や冷凍が必要な食材を買ってきた際は、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れるようにしましょう。
冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下に保つことができるように、庫内は7割程度までを目安に、食材を詰め過ぎないようにしましょう。
また、調理してから時間が経つと、食中毒のリスクが高まります。調理済みの食品はすぐに食べるようにし、お弁当やテイクアウトで食品を持ち歩く際には、保冷バッグを使うなど、長時間、常温に放置しないようにしましょう。
食中毒菌を「やっつける」!
食中毒菌の多くは、熱に弱いため、食材をしっかり加熱することで、菌をやっつけることができます。
ポイントとしては、食材の中心部までしっかり火を通すこと。中心部の温度が75℃以上の状態を1分以上保つように加熱しましょう。
「つけない」、「増やさない」、「やっつける」で食中毒を予防しよう!
食中毒は、しっかり対策をとることで予防することができます。
梅雨時期から夏にかけて、湿度や気温が高く食中毒が発生しやすいので、「つけない」、「増やさない」、「やっつける」の三原則を守って、しっかり対策をしていきましょう。