徹底解剖!ひろしまラボ ロゴ
文字サイズ 拡大 標準
指揮をする下野竜也さん

広響って?オーケストラの魅力を下野竜也さんに聴いてみました!

ひろしま自慢ひろしまを学ぶ |

みなさんはオーケストラのコンサートに行ったことはありますか?なかなかきっかけがなくて、行ったことがないなという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

広島県には広島交響楽団があり県内各地でのコンサートを通じて、多くの人にオーケストラの音色を届けてくれています。

せっかく広島県に住んでいるのなら、一度は行ってみないともったいない!ということで研究員、「広響」に潜入してきました。

広島交響楽団って?

リハーサル風景(全体)

「ディスカバリーシリーズ:日本人の交響曲と交響曲の父(ハイドン)」のリハーサル風景

広島交響楽団は、1963年10月に「広島市民交響楽団」として発足、その後の改称・プロ化を経て、2023年には創立60周年を迎えました。

中四国地方では唯一、日本オーケストラ連盟加盟 (正会員) のプロオーケストラとして、広島県内外の様々な場所で演奏会を開催しています。

2022年度はコロナ禍が収束しない中、定期演奏会10回、自主演奏会18回に加えて、子ども向けの音楽鑑賞教室や依頼演奏会など、合計で110回以上の演奏会を開催しました。

そのおかげで、多くの方々が音楽を観て、聴いて、肌で感じることができました。

広響について | 広島交響楽団

下野竜也指揮者インタビュー

リハーサル風景(下野さん)

「ディスカバリーシリーズ:日本人の交響曲と交響曲の父(ハイドン)」のリハーサル風景

今回は、広響の音楽総監督であり、指揮者の下野竜也さんのお話をうかがってきました。昔から音楽が好きだったけれど、子どもの頃は音楽を仕事にする選択肢は持っていなかったと話す下野さん。

高校時代に聴いたベートーヴェンの第九に心を動かされ、指揮者をめざすことになったそう。たった一曲で心をつかんでしまう音楽の力ってすごいですね。

下野竜也さん
下野 竜也さん
これまでも様々な賞を受賞。国内外での多数のオーケストラの指揮、大河ドラマテーマ曲の指揮の経験がある。2023年10月にはNHK交響楽団正指揮者に就任、さらに2024年4月から札幌交響楽団首席客演指揮者、広島交響楽団桂冠指揮者に就任など、多方面で活躍。

指揮者は「時間を預かる仕事」だと思っている

指揮者としてどんな気持ちで舞台に上がられていますか?

指揮者は、オーケストラの時間、お客様の時間、大切な人たちの時間を預かる仕事だと思っています。

自分が失敗すると、その時間が台無しになってしまうかもしれない。その責任はいつも感じています。それに気づいてからは毎回緊張するようになりました。

指揮をするときに喜びを感じますか?

作曲家の思いをリハーサルでオーケストラの方々に伝えて、オーケストラの方々が思いの丈を存分に発揮して、お客さんに届けていく。

その空間から自分の存在が消えたとき、そこには音楽しか流れていないと感じたときはとても指揮者としての喜びを感じますね。

いつもそんなふうに指揮ができれば良いなと思っています。逆に自分が一人で盛り上がったときは、意外に上手くいっていないときだったりもします。

指揮者で苦労したことは?

指揮者になったばかりの若い頃、「自分はこういう勉強をしてきて、こういう音楽をしたい。」ということを、どれだけ説得力を持って伝えられるか、すごく苦労しました。

例えば、プロ野球選手をしたことがない人が、いきなり監督をするような感じ。選手として実績もないのにバントの指示をしても、ベテラン選手の方が物事をよく分かっているから聞いてくれない。

それと同じで、遥かに経験や知識があって、自分よりも良い指揮者で同じ曲を演奏した経験を持っている人達に対して、前に出て色々と指示するだけでは、誰もいうことを聞いてくれないんです。

すごいオーケストラだと、歯が立たないという場面もありました。ただ、そこに誠心誠意、誠実に、自分はこういう準備をしてきた、こういう音楽を考えています、お願いしますということを伝えると、「じゃあ今回は君のそういうのをやってみようか。」となるときもありました。

そのときは幸せですよね、やっていてよかったと思います。指揮者というのは、人がいないと成り立たない音楽家です。1人で棒を振り回しても音は出ない、誰かが演奏をしてくれる、誰かが歌ってくれることで成り立つ仕事です。

当たり前のことなのですが、本当の意味で気付くのには時間がかかった。そこは苦労しましたが、それは今振り返ると、とても良い勉強になったと考えています。

音楽とは人と人とを結びつける、そういう力を持っている

指揮者として鑑賞者に見てほしい、聴いてほしい点を教えてください。

クラシック音楽は、何百年も前に作曲家が作ったものを、いま再創造しているわけです。それを、大人数で集中して作り上げようとしているんです。

最近の録音や映像は素晴らしいけれども、やはりその圧倒的なエネルギーを直で感じていただきたいと思います。

その中心に指揮者がいる訳ですが、オーケストラが指揮者の操り人形のように動くのではなくて、一緒に共有している、指揮者の存在が消えた瞬間というのが究極の指揮者だと思っている。

そこに至ることはなかなかないですけど、そういった瞬間に立ち会っていただけたら、すごいと思います。

音楽のちからとは何だと思いますか?

リハーサル風景(バイオリニスト)

「ディスカバリーシリーズ:日本人の交響曲と交響曲の父(ハイドン)」のリハーサル風景

最近思うのは、音楽というのは人と人とを結びつける、そういう大きな力を持っていると思います。極端かもしれませんが、電車に乗って隣に座った人は、他人であれば他人で終わるわけです。

コンサートホールに行く、これはクラシックでなくても、有名なアイドルでも歌手でもいいのですが、その方のパフォーマンスを観る、聴くことによって、みんながそこで一体感を持てる。そういう力を音楽って持っているのかなって思います。

綺麗事に聞こえるかもしれませんけど、音楽によって、もっとみんなが心豊かに、お互いを大切にできるような気持ちを育むこともできるのではないかなと思っています。

音楽の良さを多くの人にお届けしたい

指揮者としての使命についてどう考えていますか?

もちろん、音楽家として色んなことを知り、色んな技術を高めて、音楽家そのものとして成長していくということがやっぱり指揮者として生きる一つだと思います。

先輩たち、先達たちが作っていたものを次世代に渡していく、繋げていくという社会的な責任もあります。

ただ、それだけではなくて、指揮者は、自分だけが音楽を楽しむのではなくて、音楽の良さをできるだけ多くの方に分かっていただく、お届けするということを、一番やらないといけないと思っています。

インタビューの動画はこちら

広響コンサートに行く前にチェックしたい!Q&A

リハーサル風景(全体)

どうですか?クラシックコンサートに、興味が湧いてきましたか?それでも、実際にコンサートを聴きに行くとなれば、やっぱり分からないことが多くて、ハードルが高く感じてしまうかもしれませんね。

クラシックコンサートに行く前にチェックしておきたいことをまとめてみました。

Q1.どんな服装が良い?

A1.クラシックコンサートの服装、悩みますよね。ご自身も周りの方も、クラシックコンサートは言わば非日常空間を楽しむ場所。そのため、擦れると音が出やすい服装や、運動着は避けた方が良いです。

また、会場によっては席の間隔が狭いことも。大きな荷物は持っていかない方が無難。どうしても大きな荷物がある場合は、会場のロッカーに預けた方が、演奏に集中できると思います。

Q2.クラシックコンサートは、クラシックの曲しか演奏しないの?

リハーサル風景(バイオリニスト)

A2.決してそんなことはありません。本当に幅広い楽曲が演奏されます。2023年度に広響が演奏した曲目だけでも、クラシック以外にも時代劇や童謡、ゲーム音楽まで、本当に様々な曲目をテーマに合わせて演奏されました。

ぜひ、ご自分が興味のある曲目が演奏されるコンサートを探してみてください。

コンサートリスト | 広島交響楽団

Q3.クラシックコンサートは誰と行けばいい?

A3.会場では、1人で、夫婦で、制服を着た子供と一緒に、お仲間と・・・などなど、それぞれで楽しまれています。研究員の最近のツボは、職場の人と席は別々で同じコンサートを聞いて、コンサート後に一緒に晩御飯を食べて帰ること!

不思議と普通の飲み会より話が盛り上がりますし、同じコンサートを聴いたのに感想は人それぞれ。余韻までしっかり楽しみましょう。

広響のクラシックコンサートで非日常体験を

コントラバスがいくつも置かれている

プロオーケストラの演奏が聴ける都市と言うのは、国内でも、世界でも、本当に貴重です。

実は、広島には広響以外にも、広島ウインドオーケストラなどの様々なオーケストラが活動していて、幅広い音楽を届けてくれています。

ご自身が聴いてみたいコンサートに、ぜひ足を運んで、音楽を観て、聴いて、肌で感じてください。広島での生活が、今よりもう少し、楽しくなると思います!