大都市よりビジネスが加速!!オフィスが続々進出する「広島ならでは」の生態系とは?
10月7日 (金) 、株式会社良品計画代表取締役社長の堂前宣夫氏と広島県の湯崎英彦知事によるトークセッションが平和記念公園に隣接する「おりづるタワー」で行われました。
こちらは、企業誘致の一環として、一週間にわたって開催された「Hi! HIROSHIMA business week 2022」のクロージングセッションとして開催したもので、県内外のビジネスパーソン約60名にご参加いただきました。
実際に移転を決めた企業に「ビジネス拠点としての広島県の魅力」もお聞きしましたので、イベントレポートと合わせてご紹介します!
目次
Hi! HIROSHIMA business week 2022とは?
広島県と16市町で構成する広島県企業立地推進協議会が主催したプログラムです。
県や市町のほか地元企業や大学、金融機関、シェアオフィス等が企画した25の特別イベントが実施され、自治体が呼びかけ県内外のプレーヤーが開催するイベントとしては、初めての取り組みとなりました。
井戸端のようなコミュニティが地域を活性化する
第二創業として、無印良品の店舗が井戸端のような「コミュニティセンター」としての役割を持つことで地域の活性化につなげよう、というミッションを掲げた堂前社長からの提案で、今回の堂前社長と湯崎知事のトークセッションは、会場に集まった方々からの質問をもとに進められました。
参加者の「広島県はものづくりのイメージが強いが、今後イノベーションが起こるとすれば?」という質問に対して、堂前社長からは「何か新しい事業が生まれる要因として、場所や特定の業種というよりもむしろ、今いらっしゃる人たちが、今の状況をどう使うかというアイデア次第ではないか」といった発言がありました。
実は、堂前社長は学生時代を広島県で過ごされています。広島県の人口規模や、山・川・海に恵まれた自然環境、食生活の中で、考え、動く人の活動や、関係人口には期待されている様子でした。
2022年春に世界最大級の「無印良品 広島アルパーク」 (広島市) を出店した際には、社内のさまざまなセクションから出身者が現地応援に駆け付けて、驚いたというエピソードも披露してくださいました。広島の「井戸端」は熱くなりそうです。
広島県の最大の魅力は「人」
一方の湯崎知事も「広島県の最大の魅力は“人”である」と語りました。県内各地、そして全国で、さらには世界中で、”広島県はワンチーム”を体現するかのように地域の経済や魅力を向上する取り組みをされている方が大勢います。
また、堂前社長のエピソードにもありましたが、広島県で何か新たな取り組みをしようとしたら、県外や海外からも協力者が現れる、そんな経験をされた方が大勢います。
そんなありがたい生態系を生かし、県内外でさまざまな協力を得ながら地域のイノベーション環境をより前進させていくプロジェクト 「ひろしまサンドボックス 」や「ひろしまユニコーン10 」についてご紹介しました。
地元の学生起業家や県外プレーヤー、地元企業経営者等から質問が飛び交い、会場は熱気に包まれていました。
インタビュー!広島県のビジネス拠点としての強みとは?
トークセッションの中でビジネス拠点としての広島県の魅力をお話しされましたが、実際にオフィスを設置する企業が増えています。移転を決定した企業に広島県の魅力などをインタビューしました。
interview1
東京の企業こそ地方で応援してもらえる!
(ウォンテッドリー株式会社)
interview2
広島への本社機能移転で企業のパフォーマンス向上
(株式会社エクレクト)
interview3
まず一度広島にお越しください!
(広島県庁県内投資促進課)
東京の企業こそ地方で応援してもらえる! (ウォンテッドリー株式会社)
共感を軸にした人と会社の出会いを創るビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリー株式会社は、『シゴトでココロオドルひとをふやす』というミッションを実現するため、プロジェクト単位での一時的な広島滞在にかかる費用をサポートするひろしまオフィスプランニング実証事業「ちょっと広島県 」を利用して、東京以外で唯一となるオフィスを2022年10月広島市内中心部に構えました。
広島県に決めた理由を教えてください
主に2つあります。まず1つ目は手厚い助成制度です。助成制度はスタートアップフレンドリーな県の姿勢を表していると思います。コワーキングスペース「billage HIROSHIMA」に今月構えたオフィスも、「ちょっと広島県」を活用した際にご縁をいただき契約していますが、経済的支援以上に社内ステークホルダーの巻き込みに効果的であるという点で制度のベネフィットを感じています。
地方都市での活動をより前進させるためには、本社メンバーに積極的に現地へ来てもらうことが大切です。広島を訪問する際にイベントを実施するなどして自治体や地元企業、学生との接点を持ってもらい、地方の実績を知ってもらうことは、社内の同意を得るための必要なプロセスだと考えます。県協力のもと開催した地方企業向けイベントについてはウェブレポート としてまとめました。
2つ目は、広島県は「日本の縮図」だと考えているためです。ウォンテッドリーは“最短距離の最大社会的インパクト”を出そうと日々奮闘しています。サービスを日本全体に、そして世界へ広めていきたいと考えておりそのため単価も安く設定しています。
まずは日本の縮図たる広島県でモデルケースを創ることが、非首都圏に広げるための最短距離と考えています。もちろん広島県の皆さまからの応援が、その距離をまた短くしてくださると思っています。
広島県の魅力は何ですか?
まず、挑戦する人たちをウェルカムな雰囲気で応援するカルチャーが醸成されていることです。「それならこの人紹介するよ!」と喜んで繋げてくださり、スピード感を持って事業を進めることができています。また産学官金の連携が取れていることも魅力だと思っています。
中四国の大学や企業で構成する産学官金連携組織「ひろしま好きじゃけんコンソーシアム」に、今年9月ゴールドパートナーとして参画し大学生の長期インターンシップなどのサポートをしているのですが、広島大学の先生にはミートアップイベントでお会いしました。
活動のキーマンとすぐ出会うことができ、3ヶ月後には一緒に活動ができるというスピード感も好きです。地方学生にとって長期インターンシップの経験が乏しいと感じているので、地元企業に知見を伝えたり学生向けにキャリア形成に関するオンライン講義も行い、長期インターンシップを通して、主体的なキャリア形成を行いやすい環境を整えていきたいと考えています。
移転を検討している企業へのメッセージをお願いします
「急がば回れ!ビジネスをスケールさせたいなら広島へ!」と伝えたいです。東京からすると地方都市はのんびりしていて、反応が薄いと思われているかもしれませんが、東京の企業こそ地方に来たら応援してもらえます。
地方ならではの拡大戦略があるのにも関わらず、東京で成功したやり方を横展開しようとする企業・サービスが多いのはもったいですし、地方ほど自治体と連携することは非常に大切だとも思います。弊社としては広島や中四国で実績を作りつつ、ゆくゆくは全国の地方企業を救いたいと本気で思っています。全国で広がるサービスを一緒に広島県で創っていきましょう!
広島への本社機能移転で企業のパフォーマンス向上 (株式会社エクレクト)
辻本真大さん (中央) 川崎恵祐さん (右)
顧客体験向上のソリューションを提供する株式会社エクレクトは東京本社で行っていた本社機能と多くの業務を広島西日本本社に移管し、西日本本社開設後、現時点で全社員のうち約3割が広島県に移住しました。
どうして広島県を移転先として選んだのですか?
一言で言えば「ご縁とタイミング」です。企業のリスクマネジメントとしての分散型オフィスの実現、そして新型コロナウイルスの影響を契機とした本社機能の見直しにより候補地を検討していました。たまたま共同創業者が広島県出身ということもあり候補の一つに挙がって調べる中で、広島県がイノベーション推進を掲げ、デジタル系企業の誘致に積極的で助成制度も充実していることが分かりました。
県の担当者に連絡して、すぐに対応していただけたことが今に繋がっています。大きな意思決定ではありましたが、今となってはその決断をしてよかったと本当に思っています。
西日本本社の開設が仕事に良い影響を与えていますか?
オフィスで働くことには「信頼や関係性の構築」「暗黙知の共有」「文化の醸成」などの価値があると考えており、その場の1つとして西日本本社は重要な役割を果たしています。
希望者を募ったところ、今では全社員のうち3割が広島に拠点を置いて暮らしています。ゆとりのある住環境であり、大都市と比べてストレスもありません。みんなでサウナや登山、ビーチテニス、座禅などウェルビーイング活動を楽しみ、仕事とアクティビティを両立させています。
立場や仕事内容も関係なく、仕事以外の時間を共にすることで、人となりを知り、想いを醸成することは、仕事での気持ちの良いコミュニケーションとパフォーマンスに繋がっていると実感しています。実際に「移住で仕事に良い影響はありましたか?」という社内アンケートではほとんどが「来てよかった」という回答でした。
今後の展望を教えてください
イノベーションを生み出す上で大切なことは組織づくりであり、本社機能の移転は組織づくりに活きていると実感しています。
広島は、適度な都会性と豊かな自然環境を両立した、新しい働き方に適した土地だと思っており、今後ますます事業拡大を加速させるために、広島県での採用を積極的に進めていきます。地方都市での事業成功モデルを広島県で作って他の都市に展開していき、広島県にいながらグローバルにサービスを展開していけることを証明したいです。
まず一度広島にお越しください! (広島県庁県内投資促進課)
「Hi! HIROSHIMA business week 2022」の発起人であり、広島県に新しい風を吹かせようと模索を続ける広島県商工労働局県内投資促進課の八巻淳さんに、広島へのオフィス進出についてお聞きしました。
Hi! HIROSHIMA business week 2022開催に込めた思いを教えてください
自治体の誘致活動としては、企業が集積する大都市圏で「企業立地セミナー」を開催するのが定番ですが、逆転の発想で「広島でやってみたらどうだろう?」と企画しました。
企業誘致を担当して5年、広島県内の各地にキーパーソンがいて、進出企業から「○○さんがいたから、とんとん拍子でこんな事業がはじまった」という喜びの声を耳にする機会が増えました。
しばらく行動制限があった中、この魅力をもっと広く知ってもらいたいし、実際にキーパーソンや進出した企業の方々に会って話をしてみてほしい、とにかくイノベーションが次々と起きそうな今の広島県のオープンマインドを体感してほしいという思いが強まっていったんです。
参加した県内企業の方からも思いがけないスタートアップ経営者との出会いがあったと、とても喜んでいただき、ますますウェルカムな土壌を醸成することに繋がったと考えています。
Hi! HIROSHIMA Business week 2022は5日間で、計25のイベントに延べ320名の方にご参加いただきました。
既に進出された企業やコワーキングオフィス、移住された経営者から「こういうことをしたら面白いんじゃない!?」とコラボイベントを提案していただきました。
通常の出張では、都市部にある取引先を訪問して終わるケースが多いでしょうが、江田島や竹原、大崎上島、尾道、三次など、少し足をのばして地域のキーパーソンを訪問するツアーや地元の大学や企業のオフィスで過ごすイベントもあって、いろんな新発見をご提供できたと思います。
いい意味で“おせっかいで遊びにも全力”な人が多いことが広島県の魅力だと思っています。行政が仕切る雰囲気をあえて外すことで企画者・参加者の垣根を無くしみんなで広島県を盛り上げることができました。これからも頼れるパートナーとして一緒に地域を盛り上げ、広島県の魅力を発信していきたいです。
進出の動きは広がりつつあるのでしょうか?
「1社最大1億円」という思い切った内容の助成制度 と進出サポートの体制は6年前からありましたが、コロナ禍によりリモートでビジネスする環境が整ったことが契機となり、お問合せ件数が大きく伸びました。サポートさせていただいた企業は100社を超えました。
これは県内外のキーパーソンの存在と、「ひろしまサンドボックス」や「ひろしまユニコーン10」といったイノベーション推進の施策も相乗効果となっていると思います。「応援するカルチャー」と「広島県でビジネスを行うベネフィット」が伝わりだしたのではないでしょうか。
進出を検討する方へのメッセージをお願いします
進出を支援する助成制度やイノベーションを生み出す取り組みなど「広島県はなんか面白い取り組みを色々やっている」という認識を持ってくださっている方も多いと思います。まずは広島県に足を運び、ビジネスが加速する場所であることを体感していただきたいです。
広島県の地元企業や金融企業、大学、自治体などご要望に応じてステークホルダーもご紹介します。広島県には素敵なキーパーソンがたくさんいます。ぜひ広島県でビジネスをスケールさせていきましょう。全力でお力になります!