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フードデリバリーサービスWolt(ウォルト)の配達パートナーの男性

アジア初上陸が広島!Woltのオフィスでその理由を聞いてみた

ひろしまを学ぶ |

最近、広島市内で水色の、大きなバッグを背負って颯爽と自転車やバイクで走る人を見かけることありませんか?そう。3月26日からサービス開始となった、フードデリバリーサービスの「Wolt (ウォルト)」です。

新型コロナウイルス感染症の巣ごもり消費の影響もあって、広島でも一気に市民権を獲得したフードデリバリーサービス。その火付け役ともなったWoltは、ヨーロッパはフィンランド発祥。実は日本初上陸、だけでなくアジア初上陸だったって、皆さんご存じでしたか?今回は、Woltを運営するWolt Japan(株)の広島本社を訪問し、サービス開始の裏側や今後の事業展開について話を聞いてきました。

ヨーロッパに似ている広島の街で、地元密着のサービスを目指す

Wolt広島本社オフィス

いざ、Wolt Japan広島本社へ。ここは広島市内のあるオフィスビルの一角。7月中旬に開設されたばかりで大きくはないものの開放的な雰囲気です。シンプルなのに洗練された印象を受けるのは、やはり母国フィンランドの影響でしょうか (勝手なイメージ)

※ Wolt Japan(株)は、東京・広島の2都市に本社を設置。

Wolt Japan 福井優貴さん

お話をお聞かせくださったのは、オペレーションチームの福井優貴さんです。

素敵なオフィスですね

福井さん ありがとうございます。Woltのシンボルカラーの水色を壁全面に配色して、オフィスに来ることが楽しくなるような雰囲気を目指しています。広島本社には、配達パートナーを担当する「オペレーションチーム」、レストランとのパートナーシップを担当する「レストランチーム」、そしてお客様の問題解決を支える「サポートチーム」が在籍しています。できるだけ境目のない空間にすることで、各チームが円滑にコミュニケーションをとり、お客様に最適なサービスを提供できるようにしているんです。

Wolt広島本社オフィス 内観

なるほど。では、早速ですが、アジア初上陸に広島市を選んだのはなぜですか?

福井さん Woltは、日本進出を決めた時から全国での展開を目指しています。最初のエリアでは、まずは日本というユニークな市場において、利用者に愛されるサービスを構築することが求められていました。そんな中で広島市を選んだのは、ヨーロッパの都市に似ていたから。人口の規模感や平面な土地が街中に多いこと (自転車で移動しやすい) など、Woltがこれまで培ってきた経験を活かせる場所として最適だと考えたのです。それだけでなく、フードデリバリーが根付く条件となる食文化の豊かさや、スポーツ観戦が生活に根付いていること (自宅での観戦などで需要が見込まれる) も、広島特有の魅力でしたね。

自転車に乗るWoltの配達パートナーの男性

広島でのサービス開始は順調に進みましたか?

福井さん 非常に上手くいったことと、一方でそうではなかった部分もありました。例えば、新型コロナウイルスの影響も予想外。サービス開始に当たって、コロナ前から準備し本国フィンランドから社員も来ていたのですが、3月までに全員帰国せざるを得ない状況になってしまい…結局、最後は私のような日本で採用された社員が、本国のアドバイスを仰ぎながら、自分たちの力でサービスをローンチさせることになりました。大変でしたね。

ただ一方で、丁寧に広島の皆様とコミュニケーションをとったり、地元らしいマーケティング活動を続けたりした結果、皆様もよくご存じのレストランの方々からも信頼いただけるようになりましたし、利用者の皆様からも地元密着のサービスとして認めてもらえるようになったことはうれしい限りです。社員の採用やこの広島本社を開設する時には、広島県の制度や支援も活用させてもらったんですよ。始めから県の制度を知っていたわけではなく、たまたま訪れた「イノベーション・ハブ・ひろしまCamps」で教えていただいたのですが(笑)

イノベーション・ハブ・ひろしまCamps ロゴ

イノベーション・ハブ・ひろしまCamps イノベーションハブひろしまキャンプス

新たなビジネスや地域づくりなどにチャレンジする多様な人材が集まるイノベーション創出拠点。

今後の事業展開は?広島本社の役割は?

福井さん Woltは、広島に続いて6月に札幌、7月に仙台でのサービスをそれぞれ開始しました。引き続き、さらなる拡大を目指していくのですが、広島本社にはサービス全体を支えるカスタマーサポートのチームもあり、重要な拠点だと考えています。安全安心にフードデリバリーサービスを利用いただくために、広島を中心に、日本全国の利用者の皆様に質の高いサービスを提供していきたいですね。

Woltの配達パートナーの女性

広島の皆さんにメッセージを

福井さん おかげさまで、Woltは開始5ヶ月で、広島市内の多くの方々に知っていただけるサービスにまで成長できたと感じています。一方で、まだまだ利用したことがない個人やレストランの皆様もいらっしゃいます。安心してサービスを利用いただくために、より地元密着で皆様に愛されるサービスを目指してまいります。

おもてなしフードデリバリー「Wolt」 3月26日に広島で正式サービスを開始

「会社ごと移住する」を支援する県の制度

Wolt Japan社が広島本社を立ち上げる際に利用したのが、広島県の「企業人材転入助成」。本社機能 (複数事業所に対する業務や全社的な業務を行う部門等) を広島県内に移転させ、3人以上が転勤する場合に対象になり、事業所の移転や新設の際の初期コストの半額が助成されるほか、県外から転勤する社員一人につき100万円が支払われるんです。そして、広島県の助成制度の特徴は、なんと転勤してくる社員の家族 (配偶者並びに1親等以内の親族) も助成の対象となること (家族も一人につき100万円を助成)!新型コロナウイルス感染症により、大都市を中心に地方への移住が注目を集めていますが、一般的に地方移住するためには退職や転職を伴うもの。でも、この制度を利用し本社機能を広島に移転すれば「会社ごと移住する」という新しい地方移住を実現できるんです (※)

※ 助成金は上限が設けられているほか、実際に受け取れるのは少なくとも事業を開始して1年以上経過した後となります。

制度を活用した、ドリーム・アーツ広島本社の社内の様子

広島県の企業誘致制度 ひろしまけんのきぎょうゆうちせいど

広島県では「イノベーション立県」の実現に向けて、様々な助成制度などにより国内外の企業の誘致に取り組んでいる。

Woltの福井さんはこう話してくださいました「助成金も素晴らしい制度だと思います。もう少し申請のペーパーレス化をしてくれるとうれしいですが(笑) そして、もっとありがたかったのは、助成制度以外の支援かもしれません。何もノウハウのなかった国内、そして広島での採用の相談にも乗ってくださいましたし、サービス開始当初はレストランの方々を紹介いただいて広島でビジネスの基盤を築くきっかけとなりました。」

広島県がこうも企業誘致に力を入れるのは、「イノベーション立県の実現」のため。広島県が誇るものづくりの技術や開発力、チャレンジ精神などの土壌に、国内外から新たなプレイヤーが加わることで、地域全体での連携や相乗効果、新たなビジネスへの発展などが期待されます。今後も県内で新たな商品製品やサービスが定着し、人やビジネスの交流が生まれるはずです。ご期待ください!