広島県が進めるDXとは?事例によってわかりやすく紹介!
ひろしまを学ぶ |
最近よくDX、デジタルトランスフォーメーションという言葉を聞きますよね。広島県にとっても重要な政策の柱なのですが、一体どういうことなのでしょうか?今回はその意味や必要性、県の取組について事例なども交えながらわかりやすく紹介します。
DX (デジタルトランスフォーメーション) の必要性とは?
全国的に人口は減少傾向にあり、もちろん広島県も例外ではありません。人口が減っていることで、インフラや医療、交通、教育など、これまでの人口規模を前提にしたサービスが成り立たなくなってきています。また、グローバル化やコロナ禍での「新しい生活様式」といったような社会経済環境の変化にも対応する必要がでてきており、こういった変化の中、デジタル戦略はとても重要だと考えられています。
デジタルやDXは未来の話?
デジタルやDXについて、まだピンときていない方がいるのではないでしょうか。現在、光ファイバーや5Gといった高速通信環境の整備が進むのと同時に、AIやIoTといったデジタル技術が急速に進展しています。
例えば、最近のカメラの機能で、にっこり笑った瞬間に自動的にシャッターが下りるといったものも、デジタル技術のおかげです。様々なデータの収集と分析が格段に簡単になってきて、私たちが想像できないような新しい価値が生み出される可能性が高まってきています。デジタルの力で社会をより良い方向へ変えるDXは、どんどん進んでいるんです。
DXの流れは止まらない!?1900年代のニューヨークの例
1900年のニューヨーク (出展:Wikimedia Commons)
1913年のニューヨーク (出展:Wikimedia Commons)
上の画像は1900年代のニューヨーク。1900年代の初めに自動車が発明され、それまで主要な移動手段であった馬車は1913年には自動車に替わりました。当時、自動車ではなく、馬を使い続けたいと思っていた人もいました。しかし社会全体で自動車の利用が進むと、それまで町にあった馬の飼葉や水の提供、てい鉄の手入れといった商売がなくなってしまい、馬を使い続けることができなくなったのです。
この話のポイントは、馬が自動車に替わるということだけではありません。馬に飼葉や水を売る商売、あるいはてい鉄を打つ商売が、ガソリンを売る商売であるとか、自動車の整備や板金工場などに変わっていったということなんです。つまり、古いものにこだわり続けると、自動車時代に飼葉を売る人になりかねません。
DXも同じで、世界がデジタル化していく流れは、止めることができません。その流れに抵抗するよりも、むしろ流れを作る方になっていきたいですよね。
広島県は、このDXの潮流をとらえてデジタルの力を社会課題の解決と経済発展の原動力にしていくため、取組方針をつくって様々な取り組みを進めています。
どんなことに取り組んでいるの?具体例を紹介
広島県ではモノづくりという強みを生かし、他県に先がけて産学官連携によるモノづくりのDXを進めています。例えば、
- 県内企業がいつでも様々なチャレンジができる場「ひろしまデジタルイノベーションセンター 」を2018年に設置
- デジタル技術を使って、土木や農林水産、スポーツ分野といった行政課題や地域課題の解決に取り組むプロジェクト「ひろしまサンドボックス 」を推進
「ひろしまサンドボックス」では、コロナ禍でのニューノーマルや新しい生活様式に適応するため、様々なアイディアを募集して実際にビジネス化しようというD-EGGSプロジェクトで、30を超える実証プロジェクトが進行しています。
デジタルの力でより暮らしやすく
広島県では、「DXの推進」を全ての施策を貫く視点の一つとして位置付けています。
産業分野だけではなく、防災や子育て、教育、健康づくりなど県民生活に関わるあらゆる分野で、デジタルの力で県民の皆さんがより暮らしやすく、県内企業のビジネスがより発展していくような、そんな広島県を目指して取組を進めています。
DXを学ぼう!
DXは、県民、企業、学校、行政といった県内のあらゆる立場の皆さんが実践することが重要です。このため、DXを実践したい皆さんが集まって「DXとは何か」を学ぶことから、データを活用して新しい価値をどう生み出すかといった研究まで、DXを実践していくための様々な活動を行う「広島県DX推進コミュニティ」を2021年に設けました。
DX推進コミュニティには、県内・県外、法人・個人問わず、誰でも参加できます。また、DXを理解して推進する人材を育てるため「みんなのDX研修 」を行っています (2021年度は1500人の研修を予定)。この研修では、わかりやすい表現でDXの基礎知識を学ぶことができますよ。
ますます進化するDX
広島県では、DXをより具体的に理解してもらえるように、次のように表現しています。
「広島県を構成するあらゆる主体 (企業、教育機関、研究機関、金融機関、県民、行政) が、デジタル技術を活用して、絶えず、それぞれの目指す姿の実現に向けて新たな価値を生み出し続けている状態。」
社会や経済の変化のスピードが一層増している今だからこそ、広島県の未来を予測して、先回りしながら色々な人と知恵を出し合うことが必要です。最初から完璧を求めるのではなく、まずはとりあえずやってみる、その上で成功や失敗を活かしながら挑戦していく、アジャイルな姿勢で、DXに取り組んでいきましょう。