水曜日の夜は“広島神楽”へ行ってみよう
広島神楽をご覧になったことはありますか?聞いたことはあるけど、実際に観たことはないかもしれない…という方も多いかもしれません。実は私もその一人。興味はあるけど、何だか難しそうだし観る機会も少ないし…と、ちょっと敬遠していました。しかし、なんと広島市内の街中で神楽を鑑賞できちゃうんです。しかも平日水曜日の夜19時からの公演。気軽に立ち寄れますので、学校帰りや仕事帰り、夜の観光としてもおすすめです。
今回は、今年で8年目を迎えた「ひろしま神楽定期公演」通称、水曜神楽を初鑑賞してきましたので、その見どころをレポートします。
街と週のど真ん中、神楽を楽しむ水曜の夜
ひろしま神楽定期公演は、広島県民の方や観光客、修学旅行生など多方面の方に神楽の魅力を伝えることを目的として毎週水曜日の夜 (2021年度は新型コロナウイルス感染拡大対策として隔週の公演になっています) に広島県民文化センター で開催しています。原爆ドームから徒歩3分の立地というのも魅力的。気になる入場料は1,000円、お手頃価格も嬉しいですね。今年は演目数を絞っているため1演目45分間の公演のみですが、初心者の方でも気軽に鑑賞いただける内容になっています。
会場入り口では検温と手指の消毒を行い、座席の間隔を十分に空けるといった感染対策を行って、いよいよ開演です。
クライマックスを見逃すな!
今回鑑賞したのは、北広島町の琴庄 (きんしょう) 神楽団演じる「土蜘蛛」。華やかな演出で、多世代から人気の高い見どころ満載の演目です。研究員が厳選を重ねたオススメシーンをご紹介します。
あらすじ
源頼光 (みなもとのらいこう) が土蜘蛛退治に使った宝刀・膝丸を「蜘蛛切」と改めたエピソードが元になっています。大和の国・葛城山に太古より住み着いている土蜘蛛の精魂が胡蝶 (こちょう) に化け、典薬の守 (てんやくのかみ) からの使いと偽って源頼光に毒を盛るところから展開していきます。宝刀「膝丸」で一命を取り留めたものの土蜘蛛は逃げ帰ってしまったため、四天王に「蜘蛛切」を授けて土蜘蛛退治を任命。大激闘の末に土蜘蛛退治に成功するという物語です。
豹変する美女、胡蝶のたくらみ
艶やかな衣装を身にまとった胡蝶が病に伏せる源頼光へ薬を献上するシーン。可憐な舞で登場した胡蝶はひとつひとつの所作がとても美しく女性の演者かと思いきや…。男性が演じているというから驚きです。よく見ると、衣装に「蝶」が描かれていますよ。
しかしこの薬には毒が盛られており、頼光は命の危機にさらされます。煙の中から現れた胡蝶は、しめしめとしたり顔。さっきまでのお淑やかな姿から一変、本性を覗かせます。悪い顔をしていますね。
土蜘蛛の本性が露わに!盛り上がる舞台演出
一時退散をした土蜘蛛も、土蜘蛛退治の命を受けた四天王に居場所を突きとめられ、ついに本性が露わに。鬼気迫る勢いで四天王に襲いかかります。
土蜘蛛と四天王の戦いが佳境へ向かうにつれて御囃子のテンポは上がり、躍動する演者の動きに合わせて衣装もどんどん変化します。客席から観ているとその変化に気づかないくらい舞台の演出に引き込まれていました。
食い入るように見つめる舞台上では、蜘蛛糸が飛び交い煙も立ち込める中、太鼓や笛の音が鳴り響きます。見る角度によっても変わる土蜘蛛の面の表情にも、大注目です。
ついに成敗、さらば土蜘蛛
大激闘の末、「蜘蛛切」によって土蜘蛛を仕留めることに成功した四天王。赤く舞う糸とともに土蜘蛛退治に幕を閉じました。
ラストシーンでは会場いっぱいに蜘蛛糸が広がり、記憶に残る幻想的なシーンになりました。
ちなみに、密かに気になっていた衣装中央の「目」。これは琴庄神楽団が昨年8月に新調した新しい衣装だそうです。劇中ではこの目がキラリと光り、会場を賑わせていました。伝統芸能でありながらも親しみやすくエンターテイメント性が高い演出は、広島神楽の魅力の一つですね。
さっそく予約してみましょう
広島県民文化センターで開催中の「ひろしま神楽定期公演 2021」では、新型コロナウイルス感染拡大対策の一環として、今年度から前売券を事前販売 (全席指定) しています。チケットぴあで購入可能 (当日19時まで) ですので、鑑賞希望の方は前売券を購入の上、会場までお越しください。
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