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おしぼり

「おしぼり×AI」=ビジネスチャンス!?眠れるデータが企業の未来を変える

ひろしまを学ぶ |

おしぼり1枚のデータが、飲食店の未来を塗り替える―。企業に眠るデータが、社運を好転させるかもしれません。

おしぼりレンタル業の「株式会社広島県リースタオル」は、飲食店へのおしぼりの納品・回収データとAIを活用し、ユニークな取組を実証中。その現場に密着しました。

おしぼりが飲食店の経営を改善する?

パソコンでデータを見る様子

広島県リースタオルは、県内の飲食店約1800店舗におしぼりを納品しています。

広島県が、全国のAI開発者と県内企業や自治体とマッチングし、AIを活用したソリューション開発を支援する「ひろしまAIサンドボックス」に参加し、そこでマッチングした「株式会社Creator’s NEXT」と共同でプロジェクトを進めてきました。

おしぼりのデータから、どんな新ビジネスが生まれるのでしょうか?

「勘」を「確信」へ 納品・回収データで来客予測

納品・回収データで来客予測をする

おしぼり納品・回収データからはじき出されたのは、各店舗の来客予測!データをAIで解析し、気象データ、広島東洋カープの試合開催日、地域イベントなどを掛け合わせることで、より精度の高い来客予測ができるようになります。

例えば、カープの試合がある日は、広島駅周辺だけでなく、テレビ中継を楽しめる繁華街の店がにぎわうなどの傾向があるといいます。飲食店はこのAIサービスの導入によって、これまで勘や経験に頼っていた仕入れ量を、適切に発注できるので、売れ残りによる廃棄やメニューの欠品を抑えられます。

また、来客数に合わせて、最適な人員配置を事前に判断できるなど、様々なメリットが生まれます。

どんな仕組みのサービス?

おしぼりが一杯に入ったたくさんのカゴ

広島県リースタオルでは、1日約13万枚ものおしぼりを製造し、納品しています。回収後は、スタッフが1枚1枚手作業で数え、データとして蓄積してきた数は1日7万枚にのぼります。

この長年の膨大な情報をCreator’s NEXTのAIモデルに投入し、解析・学習させ、各店舗の来客予測を導き出します。

予測結果は、スタッフがおしぼりを店舗へ納品する際に報告。分析結果だけでなく「来週のアルバイトは3人体制がいいですね」などと具体的な人員配置や仕入れの量も提案できます。

なぜおしぼり?日常のデータがイノベーションの鍵に

おしぼりが一杯に入ったたくさんのカゴ

なぜ「おしぼり」が需要予測に最適なのでしょうか。それは、おしぼりはお客さま1人に1本提供されるものだからです。納品数と回収数を追えば、その店ごとの「正確な来客数」がピンポイントで把握できるのです。

飲食店の売上金や仕入れ状況では正確な来客数は難しい上、重大な経営情報のためデータを受け取るまでに多大な労力と時間が掛かります。

おしぼりの納品・回収数なら、広島県リースタオルの業務記録なのですぐに活用が可能で、需要予測ができると考えたのが、この事業の始まりです。

いざ飲食店へ!現場の声をサービスに反映

飲食店の方に話を伺う様子

広島県リースタオルでは、納品先の飲食店にAIサービスの提案を続けています。この日は、広島市中区の「広島やきとり処よし坊」で打ち合わせ。

広島県リースタオルの部屋知之さんが、「祝日の客数伸び率が、一般的な飲食店に比べて7倍。カープの試合開催日の来客者も多いです。」と、AI分析による強みを紹介。根拠となるメニューや設備などを挙げ、翌週の来店者数の予測も説明しました。

店主の藤本よしゆきさんは「正確な数字が出ることで仕込みの判断に活かせる。飲食業にとってロス削減は大きな課題であり、非常にありがたい。」と期待を寄せました。

アイデア次第で広がる夢 ビジネスモデルを構築

プロジェクトの今後の展望について、広島県リースタオルの田畑裕生社長とCreator's NEXTのCTO滝田潤さんに聞きました。

広島県リースタオル 田畑裕生社長

広島県リースタオル 田畑裕生社長

アイデアが生まれたきっかけは。

私たちの本業はおしぼりのレンタル業ですが、労働集約型の中小企業として、いかにデジタルやAIを取り込めるかを模索していました。社員が現場でよく聞くのが「他のお店や他の地域はどう?」という声。

周囲の動向や店の立ち位置を客観的な数字で知りたいようでした。これまでは「なんとなく多めに仕入れよう」といった勘に頼っていた部分を、AIによる「指標」に変えて、経営判断を支えたいと思い、発案しました。

このサービスを導入する飲食店のメリットは。

利益率の向上や労働環境の改善です。予測に基づいて仕入れを最適化すれば、フードロスを削減できます。1日の廃棄はわずかでも積み重なれば経営に与える影響は甚大です。店舗独自の強みもデータで裏付けられます。

広島の街は人流が極端に変わります。大きな商業施設ができると一気に流れが変わる。そういった現場の感覚をデータで裏付けて、適切な仕入れと人員配置ができれば、無駄なコストを抑えることができます。

今後の展望は。

今後は本格運用を目指し、特定の時間帯の客層分析からメニュー開発の提案や、エリアごとの人流変化を捉えて「街づくり」にも貢献したいです。このモデルを、全国の飲食店へ波及させていきたい。おしぼりを通じて、飲食業界をもっと夢のある、魅力的な仕事にしていきたいです。

Creator's NEXT CTO滝田潤さん

Creator's NEXT CTO滝田潤さん

着眼点のおもしろさは。

1店舗ごとに、おしぼり1枚単位の細かな実績データを持っている企業は、他にはありません。まさに「宝の山」です。

私たちはAIを活用し、デジタル庁や官公庁のプロジェクト、地方自治体の支援も行っていますが、AIは机上の空論では意味がありません。広島県リースタオル様のように地域に根ざして活動されている企業と組むことで、初めて「地域のお店の経営に直接貢献できるAI」が作れるのだと確信しています。

今後、どのように精度を上げていきますか。

現在は天候やカープ、サンフレッチェ広島といった地元の試合日程を組み込んでいます。今後はさらに、広島県ならではの「選挙日程」も加える予定です。選挙の投票日前後は客足が鈍るという特有の傾向があるからです。

また、店舗の席数や定休日に加え、駐車場の有無も重要視しています。雨の日は客足が落ちやすいですが、駐車場があれば車で来店できる。こうした現場の仮説をデータで検証し、予測の精度を高めていきたいです。

企業はAIにどう向き合うべきでしょうか。

企業が持つ、そこにしかないデータの使い道を生かせば、新しいビジネスが誕生します。まずは最新のAI技術を活用した需要予測や経営支援に興味を持ち、ご相談いただければ解決策を一緒に探ります。

ひろしまAIサンドボックス 未来を試作する場

ひろしまAIサンドボックス

広島県リースタオルとCreator's NEXTをつなげたのは、「ひろしまAIサンドボックス」。全国のAI開発者と課題を抱える県内企業や自治体をマッチングし、AIを活用したソリューション開発を支援します。

「広島発のイノベーション」を県内で磨き上げ、将来的には全国や世界へ展開していくことを目指しています。現場の「宝」を掘り起こし、AIで「世界」を驚かせよう。2026年2月2日(月)まで、第2期提案者を募集中です。次なる挑戦者をお待ちしています。