海ごみゼロに!美しく恵み豊かな瀬戸内海を守ろう
ひろしまで暮らす |
瀬戸内海に流れ出るプラスチックごみは、年間どれくらいだと思いますか?
なんと4500トン!その多くが、陸から流れ込んでいます。このままだと、海のプラスチックごみは魚の量を上回ると予測されています。
広島県は海洋プラスチックごみゼロを目指し、官民連携組織「GREEN SEA瀬戸内ひろしま・プラットフォーム (GSHIP) 」を結成。さらに、宮島・宮島口 (廿日市市) でもごみ問題の解決に向けて、地域をあげて新たな取組も始めました。
私たちも、どんなことができるか考えてみませんか?
目次
瀬戸内海が泣いている
海に流れ出るプラスチックごみの多くは、私たちが暮らす街など陸から出ていると言われています。
特に瀬戸内海は、本州、四国、九州に囲まれており、水の入れ替わりが少ない海域です。そのため、海洋ごみのほとんどが瀬戸内海地域から排出されたものと考えられています。
海に流れ出たプラスチックごみは景観を損なうだけでなく、環境にも影響を与えます。その中でも紫外線や波によって粉々に砕けたプラスチックの破片のうち、5㎜以下のものは「マイクロプラスチック」と呼ばれ、回収がとても難しい上に、自然界ではほとんど分解されないことから魚などの生物の体内に取り込まれやすく、生態系への影響が懸念されています。
宮島・宮島口を「持続可能な観光地域」に
「美しい海を守りたい」。観光客の増加やテイクアウトの普及に伴い、ごみ対策が急務となっている宮島・宮島口。周辺の飲食店や宿泊施設のオーナーたちが思いを一つにし、今秋から使い捨てプラスチックの削減に挑戦しています。
「ACTION FOR ZERO Miyajima」と銘打ち、22事業者27店舗が集まりました。飲食店では、プラスチックのテイクアウト容器やストローを自然に還る素材を使った製品に替えました。
ホテルでは、宿泊者用のペットボトル飲料をアルミ缶に変更。歯ブラシやくしなどアメニティーは環境に優しい素材に替えるとともに、将来的には使用後にカキ養殖の資材として再生する予定です。
この取組は、GSHIPの活動の一環で、2026年3月まで続けます。今後、より多くの事業者が参加しやすい方法など取組内容を検証しながら、他の地域にも広めることを目指していきます。
Action for Zero Miyajima 公式サイトはこちら
スナメリのロゴが目印 キックオフイベントでお披露目
宮島口であった「ACTION FOR ZERO Miyajima」のキックオフイベントには、13事業者が出店。「環境にやさしいマルシェ」として、飲食ブースやワークショップなどで、プラスチックごみの削減やぽい捨て禁止を呼び掛けました。
イベントでは、テイクアウト用に、自然に還る素材や紙素材の容器が使われました。容器には、シーグリーン色の背景にスナメリのかわいいロゴがあしらわれています。今後は、このスナメリをロゴマークとして、取組に賛同した事業者が使っていきます。
トークイベントでは、湯﨑英彦広島県知事と事業者が、海洋ごみの現状や今後の取組について説明しました。ペットボトルや漁具などのリサイクルの仕組みが分かるブースや、海ごみを使った工作体験もあり、多くの来場者でにぎわいました。
海を守りたい 賛同した事業者から
今回の取組に参加する伊都岐珈琲の佐々木恵亮代表取締役と、宮島コーラルホテルの田村義和支配人に、宮島での課題や対策について聞きました。
伊都岐珈琲の佐々木恵亮代表取締役
参加したきっかけは。
宮島に住んでいて、いつも海に捨てられたごみを見ては心を痛めていました。自分の店のロゴが入ったカップが落ちていると、本当に後ろめたい気持ちになります。「自分ごと」としてこの問題に取り組みたいと思いながら、事業者単独では難しい面もありました。GSHIPからの働きかけに背中を押され、参加を決めました。
取組内容を教えてください。
宮島周辺の3店舗で、テイクアウトで提供しているプラカップを、自然に還る素材に切り替えました。ぽい捨て自体を無くすことが大前提ですが、ごみ箱に入れたつもりが、風で海に落ちて、悪意がなくても海を汚すこともあります。容器を替えることで、環境への負荷を軽減したいです。
活動の意義は。
このスナメリのロゴを見て、取組について知ってもらい、環境について考えるきっかけになればうれしいです。ぽい捨てが続くと、食べ歩きが禁止になるなど、楽しみに制限がかかってくるかもしれません。みんなで危機意識を持ちながら、活気ある観光地にしていきたいです。
宮島コーラルホテルの田村義和支配人
何を切り替えましたか。
お客さまに無料で提供していた水入りのプラスチック製ペットボトルを、アルミ缶に変更しました。アルミ缶の方がリサイクル率が高く、リサイクルする上でのエネルギーコストが良かったからです。アメニティーの歯ブラシも、海に溶ける素材にしています。
代替素材を導入する上での課題は。
コストが掛かることです。アルミ缶の価格差は約2倍。代替素材もコストが高く、広まりにくい要因となっています。代替素材の流通も整っていないため、製造ロットが大きく、細かい単位での発注ができません。コストを下げ、導入しやすくするためには、消費者や事業者の利用を増やすことが必要です。
海洋プラごみ問題の解決に向けて。
一つ一つの積み重ねが大切です。宮島の玄関口にあるホテルとして、情報発信の場にしたい。海外からの宿泊者も多いので、取組を世界にも伝えたい。宮島に対する印象をより良くし、集客にもつながることを期待しています。素晴らしい宮島の自然を、未来にしっかり残していくことが我々の責務だと思っています。
GREEN SEA瀬戸内ひろしま・プラットフォームの活動
県内から海に流出するプラごみを2050年にゼロに!「GREEN SEA 瀬戸内ひろしま・プラットフォーム」には、賛同した県内外の食品・飲料メーカーや素材メーカーなど約150企業・団体 (2025年10月現在) が加盟しています。
このプラットフォームでは、会員間で連携しながら、プラスチックのリサイクル促進や海で分解しやすい素材等の開発・普及、屋外のごみ箱からの漏洩防止、海岸清掃などに取り組んでいます。
私たちができること
私たちにできることは、身近にたくさんあります。その中でも「3R」、「Reduce (ごみを減らす) 」、「Reuse (くり返し使う) 」、「Recycle (再生利用) 」することは解決への大きな一歩になります。
例えば、
- マイボトルやマイバッグ、マイ箸を持つ
- ポイ捨てをしない。ごみの分別を徹底する
- 環境にやさしい製品を選ぶ
- 使ったプラスチックは資源回収に出す
- 製品を長く使ったり、リユース品を購入したりすることで、ごみを減らす
自分たちができることを実践して、美しい海を守りましょう!
