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盲学校,ろう学校及び養護学校における学校運営上の課題に係る調査結果について

(PDF13.8KB)

平成15年1月17日
障害児教育室

1 経緯

 平成14年6月19日に報告を行った,三原養護学校における学校運営上の課題については,他の盲学校,ろう学校及び養護学校にもあり得ることから,昨年8月中旬から9月初旬にかけて,三原養護学校を除くすべての本校及び分校計15校に学校訪問調査を実施した。
  この調査を行った結果については,平成14年11月19日に報告したところであり,これらの明らかになった課題について,その是正を行うよう,各学校に対して指導を行っているところである。

2 調査結果

 (1) 学校運営について

ア 校務運営規程

【調査結果】

 校務に関し必要な基本事項を定めている「校務運営規程」については,すべての学校で制定され,職員に周知が図られていたが,年度当初の4月ではなく,5月以降に周知されていた学校が3校あった。

【対応状況】

 今年度は既に周知が図られたところであるが,今後は,毎年度当初に校務分掌とともに,全職員に周知を図るよう指示した。

イ 校務運営会議及び職員会議

【調査結果】
(1) 校務運営会議

 管理職(校長,教頭,事務長,部主事)及び部長(主任等)で構成する校務運営会議は,すべての学校で,現在は定期的に開催されているが,5月中旬に初めて開催された学校,6月及び7月には開催されていない学校が,それぞれ1校あった。

 (2) 職員会議

 職員会議は,すべての学校で定期的に開催されている。

(3) 会議の運営状況

 校務運営会議より職員会議が多く開催されている学校が2校あり,また,校務運営会議が職員会議の30分前に開催されている学校が1校あるなど,校務運営会議を中心とした適切な学校運営が行われているとはいえない状況があった。

 【対応状況】

 校務運営会議及び職員会議の運営については,校務運営会議より職員会議が多く開催されている状況や校務運営会議が職員会議の30分前に開催されている状況は,見直しが図られ,職員会議で取り上げる事項が校務運営会議で事前に協議されるなど,会議の位置付けと運営が適正に行われるようになった。

 ウ 教頭としての職務の遂行

【調査結果】

 教頭が学級担任や校務分掌を担当している学校はなかった。
 しかし,教頭が日常的に授業の補助を行い,教頭としての職務を十分遂行できない状況にある学校が4校あった。

【対応状況】

 教頭が日常的に授業補助を行う状況については,改善された。
 なお,授業補助を行わざるを得ない状況が生じた場合は,教頭としての職務が十分遂行できなくなることのないよう,校長がその権限と責任で判断することを指導している。

エ 部主事の機能化

【調査結果】

(1) 部主事が学級担任や校務分掌を担当しているため,部全体を掌握できない状況があった。

<学級担任を担当>
あり 3校
なし 12校
<校務分掌を担当>
あり 7校
なし 8校

(2) 起案文書等に部主事の押印がなく,部全体を掌握できていない学校が3校あった。

(3) 学部会が定期的に開催されている学校は10校であった。

【対応状況】

(1) 部全体を掌握し,部に関する校務を掌る管理職として機能するよう,4月からは部主事に学級担任や校務分掌を担当させないことを指示した。

(2) 起案文書等に部主事の押印がない状況については,決裁区分欄に部主事の欄が設けられ,押印されるようになった。

(3) 学部会を定期的に開催するため,3月末までに校務運営規程を改正し,部主事が学部会を招集し,主宰する旨を規定するよう指示した。

オ 主任の機能化

【調査結果】

(1) 分掌の部長(主任等)が係の一員とされているため,分掌全体を掌握できない状況にある学校が11校あった。

(2) 分掌部会が定期的に開催されている学校は8校であった。

【対応状況】

 主任の機能化については,主任としての職務と責任を果たすよう,校務分掌全体を把握できる仕組みを整えるとともに,全職員に対して,主任制及び手当支給の趣旨についての理解を深めさせるよう指導した。

カ 文書の処理の状況

【調査結果】

(1) 校長の確認を経ないで,通知表を保護者に渡していた学校が1校あった。

(2) 校長が内容を承知していないのに,学年通信などの文書が保護者に配布されている学校が9校あった。

【対応状況】

(1) 校長の確認を経ないで,通知表を保護者に渡していた状況については,第2学期からは,校長の決裁を受けてから保護者に渡されるようになった。

(2) 学級通信については,教頭又は部主事により内容等が点検されるなど,管理職がその内容を承知しないまま,担任から保護者へ配布される状況は改められた。

(2) 教育課程等について

ア 教育課程・時間割の編成

【調査結果】

 知的障害者を教育する養護学校において,学習指導要領にない教科名(小学部において「社会」「理科」,中学部において「技術」)を学年通信に不適切に表記している学校が1校あった。

【対応状況】

 学習指導要領にない教科名を学年通信に不適切に表記していた状況については,学習指導要領に則って適切に表記されるようになった。

イ 個別の指導計画

【調査結果】

 学習指導要領において,「自立活動の指導に当たっては,個々の児童又は生徒の障害の状態や発達段階等の的確な把握に基づき,指導の目標及び指導内容を明確にし,個別の指導計画を作成すること。」「重複障害者の指導に当たっては,個々の児童又は生徒の実態を的確に把握し,個別の指導計画を作成すること。」となっており,個別の指導計画はすべての学校で作成されている。
 しかし,きめ細かな指導を行うための内容の記載が不十分であったり,年度当初に作成したものを見直すなどの工夫がなされていない状況であった。

【対応状況】

 個別の指導計画については,内容の充実を図るよう,年度当初に作成したものについて,記載する項目や内容を見直すことを指示した。
 さらに,これら個別の指導計画の内容及びそれに基づいた指導状況について,保護者等に説明し,指導の改善・充実を図ることを引き続き指導していく。

(3) 勤務管理について

【調査結果】

 旅行命令について,復命に具体の内容が記されていないなど,適切に処理されていない状況が多くみられる学校が10校あった。

【対応状況】

 旅行命令については,復命内容が具体的に記載されていない状況は改められた。
 なお,旅行命令簿の様式について,復命記載欄を狭めている学校については,3月末までに様式の見直しを行うよう指示した。

(4) 会計処理について

【調査結果】

 学校の実習等で生産された物品(生産品)の売払い収益について,広島県物品管理規則等で定められた会計処理を行っていない学校が3校あった。

【対応状況】

 学校の実習等で生産された物品(生産品)の売払い収益について,広島県物品管理規則等で定められた会計処理を行っていない学校については,その金額を確定し,歳入の手続き中である。

(5) 学齢超過者,過年齢者の在籍状況について

【調査結果】

 学齢超過者,過年齢者が在籍している学校は12校あり,これらの学校に在籍する者の合計は62名であった。
 なお,学齢超過者,過年齢者が全生徒数の半数を超える状況の学校は3校(3分級)である。

<3校(3分級)それぞれの状況>

学齢超過者等 6名
全児童生徒数 9名
割合 66.7%

学齢超過者等 19名
全児童生徒数 23名
割合 82.6%

学齢超過者等 9名
全児童生徒数 10名
割合 90.0%

【対応状況】

 学齢超過者の就学については,平成15年度入学者からは,学齢児童生徒で編制する学級数の範囲内で許可するよう基準を定めるなど,厳正な運用を図ることとした。

3 おわりに

 明らかになった課題については,9月以降随時,各学校において是正に取り組み,校長を中心とした学校運営がなされるよう指導してきた。また,前回11月に行った調査結果の報告以後,あらためて障害児学校長会を開催し,適正な学校運営を行うよう指示するとともに,各学校への訪問指導などにより,指示事項の徹底を図った。
  その結果,多くの課題状況が改善されたところであるが,学校間における状況には格差があることなどから,継続して指導を行っているところである。
  今後は,各学校が学校運営や教育課程等の実施状況について,自己点検・自己評価を行い,その結果を保護者はもとより,広く県民に公表するなど,開かれた学校づくりを推進し,保護者,県民に信頼される学校教育の確立に努めてまいりたい。

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