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広島県障害児教育基本構想策定委員会中間報告パブリックコメント集約

 「中間報告」への意見募集を2月8日から2月22日までの15日間行いました。
県民の皆様,また,県外から御意見をいただきました。電子メールと郵送で512件の御意見をいただきました。
 多くの御意見をいただきましたことに対しまして,厚くお礼申しあげます。
 意見の集約ですが,512件それぞれに書かれている内容を中間報告の項目に沿って,概ね「支持的」「非支持的」「その他」に分けました。一人の方が提出された御意見には,複数の項目に渡って記載があったり,「ある面は支持できるが,ある面は非支持である。」といったような状況が多くありました。
 中間報告の項目に従って,内容ごとに御意見が取り上げられるようにいたしました。 

1 障害児教育の現状と課題

2 障害児教育基本構想策定の視点

(1)能力や可能性を最大限に伸ばす教育,(2)「生きる力」を培う教育

3 今後の障害児教育の基本的方向性

(1)障害の種類,程度に応じた適正な就学指導について
(2)総合型の養護学校及び高等養護学校の設置並びに盲学校,
 ろう学校及び養護学校の適正配置について
 総合型の養護学校
 高等養護学校
 盲学校,ろう学校及び養護学校の適正配置
(3)特殊教育教諭免許状の取得の推進,研修の充実など,
 教員の専門性の向上について
 専門性の向上
 特殊教育教諭免許状の取得の推進
 研修・研究体制
(4)その他障害児教育の推進に関することについて
 盲・ろう・養護学校のセンター的機能
 「障害児学級」「通級による指導」「学習障害(LD)児等への指導」の充実
 開かれた学校づくり

1 障害児教育の現状と課題

 支持的意見非支持的意見その他
障害児教育の現状と課題○これらの課題の解決,推進,充実が障害児教育の存在価値を生起することになる。
○広島県においては,過去,「障害児教育不要論」がまかり通っていた。盲・ろう・養護学校の存在さえ知らないという状況が続いてきた。断固とした施策を実行してもらいたい。
○今後とも中間報告に示されている方向で,更に審議いただき,障害のある子どもたちのために専門的な教育が行われるようにお願いしたい。
○「取組みが十分であるとはいえない。」とあるがそう思わない。○子どもの発達そのものを否定する考え方が一定の力を持ち続けてきたこと,教員の問題への真摯な総括が必要である。
○これまでの障害児教育の成果,課題を明らかにしてほしい。

2 障害児教育基本構想策定の視点

(1)能力や可能性を最大限に伸ばす教育,(2)「生きる力」を培う教育

 支持的意見非支持的意見その他
障害児教育基本構想策定の視点○広島県の課題を解決するために,新たな視点から見直し検討していこう,とする委員会の真摯な姿勢が伝わってくる。
○「障害のある幼児児童生徒の能力や可能性を最大限に伸ばすための教育」という視点は理解できる。
○学習指導要領の改訂に伴い,小中高の学習指導要領に明記された交流教育について,留意事項を含め掲載する必要を感じる。交流教育が進展することを望むとともに,一部で実施されている計画性のない場の共有だけの交流(交流教育とは言えないと思う)の是正を望む。
○「能力・可能性」を取り上げることは,障害の克服・軽減のみにとらわれているとしか言えない。
○障害は「負のもの」「欠陥」「治すべきもの」という障害観が根底に流れおり,障害者に対する差別意識の本質である。
○健常者中心の発想で,健常者に近づける教育が障害児教育とは言えない。
○「障害児教育にかかわる基本的な考え方」に逆行する内容である。
*障害児教育は,障害者が障害者として主体的に生きていく力を身につけることを保障する教育であり障害者と健常者が共に生きていく社会の実現をめざす教育である。
*幼児児童生徒・保護者による主体的な学校選択が否定されている。
○21世紀にふさわしく,国際的な障害児教育の動向を踏まえ,広島という地域を大事にする等を勘案し,我々が努力すべき理念として示してほしい。
○障害児の成長の全過程を視野に入れて論議し、方向を示してほしい。
○これまでの本県の障害児教育は専門性を否定したり,盲・ろう・養護学校へ就学することが好ましくないといった考えなどが蔓延するなど,他府県の考えと遊離していた観が強かった。考え方の違いは如何なものかと憂慮していた。
○発達権を否定し,盲・ろう・養護学校,障害児学級の存在そのものを「差別」として否定してきた状況がある。

3 今後の障害児教育の基本的方向性

(1)障害の種類,程度に応じた適正な就学指導について

支持的意見非支持的意見その他
適正な就学指導について○ろう学校に通学している生徒の障害が,ろう学校に合致していなかったという内容の新聞記事を見てとても疑問に思う。中間報告に就学指導委員会のことに触れられているが当たり前のことである。当たり前のことを当たり前にやってほしい。
○子どもにあった教育を受けさせるためには,保護者の心のケアが必要である。信頼でき,安心して早期から相談できることが必要であり,進めてほしい。
○教育,福祉,医療等が一体となった専門性の高い就学指導体制を期待する。
○身近に相談する所があれば,気軽に相談でき,いろいろな情報に触れ,見通しを持って就学に臨めると思う。
○「種類,程度に応じた」は障害者を隔離し,特別な存在とする社会意識をより助長する危険性がある。同じ人間を差別分断する政策に反対する。
○インクルージョン,ノーマライゼーションの理念が含まれていない。「共育・共生」の視点に立ってほしい。
○子育てを通して実感している幸福感は,周りの子どもやその家族,地域の人たちが,我が子を理解し,支援があることである。
○就学指導委員会の透明性を確保する。メンバーを公表するとともに,プライバシーの保護に十分配慮した上での審議内容を公表するなど,開かれた機関としての機能を重視すべきである。
○策定委員会の審議概要では,就学指導委員会の「調査や審議」の中に保護者との協議の意味合いが含まれているとのことだが,明確な記述がないと不安である。
○学校の情報を保護者に十分伝え,選べるようにすることが必要である。適正な就学指導のためには,障害児教育への偏見を取り除く必要がある。
*体験入学,教育相談,パンフレット,学校開放,具体的な情報提供等

(2)総合型の養護学校及び高等養護学校の設置並びに盲学校,ろう学校及び養護学校の適正配置について」総合型の養護学校

 支持的意見非支持的意見その他
総合型の養護学校○個別指導や小グループでの「個に応じた指導」は差別ではない。障害のある子どもの保護者として望むところである。その点をしっかり押さえ,新しい学校の在り方を考えてほしい。
○医療,福祉等関係機関との連携の早期実現を願う。
○児童生徒の個別化,個性化に対応する指導方法・内容を創造する上で必要であり,緊急を要する。
○「総合型の養護学校」の設置は,現場混乱と教育条件の更なる悪化をまねく。
○地域の学校や子どもたちから切り離される。
○知的障害と肢体不自由だけでなく,総合的な障害児学校を考えてほしい。全ての養護学校を総合型にすることが,通学から考えて合理的である。
○設置については,先生方の専門性が確立した後ではいけないのかと思う。現状のまま移行すると,ますます子どもたちが教育からおいていかれる気がする。
○障害別のクラス編制,医療的配慮を必要とする児童生徒の問題等,どのような学校になるのか分からない。どのようになるのか関心を持っている。

(2)総合型の養護学校及び高等養護学校の設置並びに盲学校,ろう学校及び養護学校の適正配置について 高等養護学校

 支持的意見非支持的意見その他
高等養護学校○軽度の障害のある子どもの保護者として,高等養護学校の設置を期待している。働く喜び,生きる喜びを身につけさせてほしい。卒業後に向けて,職業教育の内容を取り入れた授業の充実をお願いしたい。
○学校卒業後の進路に不安がある。高等養護学校を設置して子どもにあった自立できる教育を行ってほしい。高等養護学校が必要な子どもたちはたくさんいる。早急にお願いしたい。
○軽度の障害のある子どもがいつも置き去りになりがちである。高等養護学校の設置に期待する。
○障害者にランクを付け,障害者を特殊化し分断するものである。教育行政が,障害者の間で能力別の分断を進めると宣言するようなもので,到底容認できない。
○「高等養護学校」設置のねらいは,従順な使い捨て労働者に教育の段階において仕立て上げることと考える。
○健常者にとって,都合のよい枠組みをつくり,はめ込もうとしている。
○先進校の現状と実績を踏まえて設置する必要がある。
○「軽度の知的障害」とは,どの程度の発達段階を想定しているのか。入学調査はどうなるのか。高等養護学校と養護学校高等部の役割分担はどうなるのか。現在の養護学校に設置するのなら,現在学んでいる児童生徒はどうなるのか。
○高等等養護学校よりも,現在の高等部の改善を図るべきである。
○職業教育中心ではなく,自己認識を育てていく青年期教育というとらえの中で,全面発達の視点で取り組むことが大切である。応用力のきく労働力を求める教育課程は時代錯誤である

(2)総合型の養護学校及び高等養護学校の設置並びに盲学校,ろう学校及び養護学校の適正配置について 適正配置

 支持的意見非支持的意見その他
適正配置○集団が成立できない幼児児童生徒数の学校では,教育効果があがりにくい。障害児学校においても適正配置は当たり前である。
○現状及びニーズに合った学校の設置や配置が必要であると思う。
○適正配置と言いながら合理化ではないのか。
○少数者を切り捨てるという論理は,差別そのものではないか。人数によって,統廃合をしないでほしい。
○統廃合はますます遠くへ時間をかけて通学することになり,本人・保護者とも負担が大きくなる。
○適正配置に当たっては,幼・小・中・高等部の一貫した教育にあった施設・設備の充実が必要である。老朽校舎の改善等,環境への配慮がほしい。寄宿舎の施設・設備を今の時代に合ったものにする必要がある。
○病院併設の病弱養護学校などの検討も重要である。小中学校の病弱学級では,ベッドサイド教育の実施等対応に重要な影響を与えている。
○少数者に対応することのできる学校配置にしてほしい。

(3)特殊教育教諭免許状の取得の推進,研修の充実など,教員の専門性の向上について 専門性の向上

 支持的意見非支持的意見その他
専門性の向上○専門性を求めて養護学校を選択したが,一部の熱心な教員の個人的な努力に頼るしかなかった。専門性を否定する教員もいた。養護学校へ行けば専門的な教育が受けられるという一般の考えは,今の養護学校には当てはまらない。
・人権学習,平和教育に力を入れ,養護学校の専門性がない。
・訪問教育の子どもに応じた専門性に基づくカリキュラムがない。
・養護学校で発達段階の違う子どもが,いつも同じ大きな集団で学習しており,専門性に基づく指導がされていない。
・「個別の指導計画」について,養護学校の教員が分かっていない。
・保護者,関係機関との連携で子どもの実態を把握してほしい。
○平等とか人権ということで,親が「何かさせてください。」と言っても「できない子がいるから差別になる」と返ってくる。「ただ預かっているだけ」等,保護者は愚痴ばかりである。保護者が望んでいる専門性を古いとする思想が未だに根付いて,無残に潰されている状況がある。こうした体質を早急に改善してほしい。
○教員の高い専門性は必要である。教員の専門性が向上すれば,信頼される盲・ろう・養護学校が期待できる。障害の種類や程度に応じた科学的,専門的な教育をする学校が必要である。専門性に基づく教育実践による充実した教育を受けることにより,よりよく伸ばすことが出きる。専門性のない学校に対して,教育委員会は指導してほしい。教職員個々の教育実践,教職員集団としての教育力の向上が重要である。
○障害児教育に携わる教員に求められる専門性とは,「障害児・者のおかれている障害者差別の状況を見抜き,その解放をともに探っていくことのできる感性の鋭さ」ではないか。専門性は,「排除,隔離」という意図がありはしないか。専門性を強調すれば生徒不在になり,障害者を特別なものとしていくものにならないか。
○専門性とは免許の所持ではなく,人間と関わり合い,その人の幸せを真に考えようとする姿勢である。
○専門性は,大学や教育センターの研修ではなく,生徒や保護者と向き合って身に付けるものである。養護学校の現場で必要なことは,児童生徒との出会いの中で,児童生徒の課題や教育要求に対して応えていける自由性と時間確保である。
○専門性を高めるためには,何よりも教員本人の意欲をいかに育てるかが問題である。
○盲・ろう・養護学校,障害児学級の専門性では,一定期間取組む教職員が必要であり,人事上の配慮が求められる。専門性向上のために,盲・ろう・養護学校独自の人事異動方針が必要ではないか。
○子どもの発達段階など,発達を保障する教育力を発揮することが重要である。

(3)特殊教育教諭免許状の取得の推進,研修の充実など,教員の専門性の向上について 特殊教育教諭免許状の取得

 支持的意見非支持的意見その他
特殊教育教諭免許状の取得○特殊教育教諭免許状の保有率が全国最低レベルであることは,早急に改善していただきたい。法律上は問題なくても,専門性は是非高めてほしい。
○免許を持っていない教師が多いことに不安を感じる。よくぞ親や子どもの前に立っていると思う。今までの県教育委員会の甘さもあったと思うが,強い姿勢で取組んでほしい。
○障害児教育に携わることとなった教員は,その時点では免許がなくても,真剣に取組もうとすれば,附則の規定に甘えることなく努力をするはずではないか。改善措置を速やかに実施していただく必要がある。免許状の取得は,専門職としての資質向上と自覚のために必要である。
○特殊教育教諭免許状を保有することは当然であり,研鑚を積まなければならないと考える。免許法認定講習,研修等の機会の拡充を計られることを期待する。
○特殊教育教諭免許状を反強制的に取得させようとするなど「押しつけ」になっている。
○免許の取得は,専門性の向上にはつながらない。障害児に関わっている時間が長いほど専門性は向上する。
○免許状があることで,どれだけ本人・保護者に応えることができるのか。
○免許取得を絶対化して,教育を自由度のない硬直した考え方や内容,方法のもとに進める結果となっていくことが危惧される。
○全国44位とあるが,人事を行う県教委の責任である。
○免許の取得は必要条件ではあるが,決して十分条件ではない。
○専門性向上のためには,現在の硬直・停滞化した研修体制を早急に是正する必要がある。
○採用と異動からの観点も必要。

(3)特殊教育教諭免許状の取得の推進,研修の充実など,教員の専門性の向上について 研修・研究体制

 支持的意見非支持的意見その他
研修

研究体制
○広島県の障害児教育には専門性が全くない。専門性向上のための研修プログラムを作っていただきたい。
○「個別の指導計画」は学校格差があるように思う。教員への指導を徹底してほしい。
○専門性のある先生が少ない。しっかり研修してほしい。教員の自覚を高め,教員が参加したい,参加しなければと思われるような体制を一日も早く確立してほしい。研修・研究は教師の仕事である。
○養護学校の教員は,研修・研究を生かし,専門性をアップしてほしい。教育内容について,きちんと話し合っていける教師の集団づくりが必要である。
○研修があっても参加しない教員が多いと聞いている。専門性を身に付ける研修にはぜひ参加してほしい。自由闊達な教育研究ができる学校づくりが重要である。
○教職員の自主的,主体的な研究態度に依拠することが大切である。
○「押し付け」ではなく,教職員による「主体的研修」が大切である。
○保護者にもよい研修の情報を提供してほしい。
○養護学校の教員は,研究部会に入ることを義務化してはどうか。
○専門教育不可能という過去のブランクを取り除くことは容易ではないことを自覚してほしい。
○「障害の種類,程度に応じた自立活動等の指導理論や技法」を強調しているが,広い研修内容が求められている。

(4)その他障害児教育の推進に関することについて

 支持的意見非支持的意見その他
センター的役割○盲・ろう・養護学校の相談のセンター的機能の充実を早急に実現してほしい。
○教育相談主任に限らず,理学療法士,言語療法士,作業療法士等を配置し,そこから小・中学校あるいは高等学校へ派遣したり,相談にのったりすることも重要である。
○現在の仕事に上乗せして,仕事量だけ増やすのはおかしい。
○「教育相談主任」の選出や在り方が問題である。
○盲・ろう・養護学校が地域のセンターとしての機能を持てるようにするために必要なことは,教員増と活動の自由性の確保である。
○学校から出かけていく教育相談等を考えていく必要がある。
障害児学級等の充実○学習障害に対する校内の認識が薄いため,十分なケアがなされていないことが多いのが現状である。LD親の会として,随所にLD児等への配慮が盛り込まれており,大変ありがたく思っている。具体的な方策の提示を期待している。
○専門性を受け継ぐことは責務として大切である。担任だけでできることではなく,体制として計画的に行っていく必要があると思う。
○通級による指導担当の教員として,目指しているものは「一人一人の教育的ニーズを把握し,必要な教育的支援を行う。」であり,理念が具体化していくことを願っている。
○自閉症には特異的な教育手段(TEACCH等)が欠かせない。理解を喚起し誤解を防ぐ目的で文中に「自閉症」という言葉を記載してほしい。
○通級指導については,当たり前のことの記述しかない。障害児一人一人が置かれている現状について,理解・洞察がなく,何が必要なのかがない。
○通常の学級に在籍する特別な教育的支援の必要な児童生徒への対応について,学習障害(LD)の指導のみを取り上げて書かれている。幅広く書いておく必要があるのではないか。
開かれた学校○体験入学や教育相談の実施,パンフレットの作成・配布,学校開放等を積極的に行う必要がある。
○養護学校は「プライバシーの保護」を盾にして,開くべき門を開いていない。情報公開を進める必要がある。
○保護者を学校教育に不可欠な構成部分と位置付け,自主的,主体的な学校となっていくことこそ,開かれた学校となっていくための一歩である。
○障害児教育の理解啓発が必要。

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