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第1回広島県障害児教育基本構想策定委員会の概要について

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日時

平成13年6月5日(火)10:00~12:00

場所

メルパルクHIROSHIMA郵便貯金会館 5階 瀬戸の間

出席者

(委員)大下,川本,田口,谷本,竹林地,永井,松木,宮河,森山
(欠席:桑原,澤崎【代理出席:中山】,平賀【代理出席:畠堀】)

審議内容

教育長あいさつ
会長・副会長選出(会長:田口委員,副会長:谷本委員)
会長・副会長あいさつ
諮 問
協 議 スケジュールについて
 広島県の障害児教育の現状について

諮問項目

1 障害の種類,程度に応じた適正な就学指導について
2 総合型の養護学校及び高等養護学校の設置並びに盲学校,ろう学校及び養護学校の適正配置について
3 特殊教育教諭免許状取得の推進,研修の充実など,教員の専門性の向上について
4 その他障害児教育の推進に関することについて

広島県の障害児教育の現状について

資料参照

意見交換要旨

委員長  
 本日は初回でありますので,本県の障害児教育についてとか,日頃お気づきになっている点などについてお話が伺えればと思っております。

○「特殊教育」の免許状を持っている教員が非常に少ない。とりわけ養護学校において少ない。県立学校の場合,特に他県に比べてこのことの問題点が非常に大きいのではないか。

○専門性を有していない養護学校の教員が,殊更に専門性を排するような教育を行ってきたところに問題点があるのではないか。

○「特殊教育」の教諭の免許状取得推進,あるいは研修の充実ということによって,教員の専門性の向上をいかに図っていくか,を大きな柱として考える必 要を感じる。このことが適正な就学指導と連動するのではないかと思う。

○今後の施策の打ち出しに向けて考えていこうとする際に,最も根幹を為すものが,3番目にある「特殊教育教諭免許状取得の推進,研修の充実など,教員の専門性の向上について」だと思う。施策が実を結ぶかどうかは,ここに大きな要因があると思う。

○盲・ろう・養護学校の専門性の一つの尺度として出てくるのが,特殊教育に関する教員免許の所有率だろうと思う。高い所有率の秋田県は,さまざまな手立てが講じられた結果だと聞いている。何らかの手立てが必要である。

○教育センター,大学,国立特殊教育総合研究所等へ長期・短期,いろいろ研修へ行き専門性を身につけて一定期間貢献をしてくれる,というような,盲・ろう・養護学校独自の新しいルールについてこの委員会で議論がなされることを期待する。

○障害児教育の専門性から考えた人事の在り方についても,専門的教育力の維持の面から考えたルールのようなものがいるのではなかろうか。

○教員養成大学では,義務教育,特に小学校段階での盲・ろう・養護学校の免許状は取りやすいが,中・高校というのはすごくむずかしい。

○今の養護学校教育のあり方について満足している保護者は少ないと思う。

○専門的な教育を求めて養護学校に行くが,現場の先生方に専門的知識がない。専門的なことを求めても,専門的なことをすること自体を非難されてきた。それが未だに続いている。

○免許を持って新しい先生方が赴任しても,集団の中で感化されて悪い方向に流れる。

○この委員会での審議された内容や,策定されたものが現場で実現されるのかが,心配である。

○研修を行う時に本人が課題意識を持てるような研修の仕方が大事だと改めて思う。

○ただ研修の場をつくるとか,回数を増やすだけではなく,研修参加者が明確な目的意識をつような研修への参加のさせ方が,とても大事だと感じている。

○研修,専門性とあるが,保護者へきちんと説明できるだけの力を持つことが目指すところではないかと強く感じている。

○「自分がこの学校で学んでよかった。」と卒業生が言える,「自分の学校はここである。」と自信を持って言える。自分の学校の創立記念日には「先輩たちの培った伝統を誇りに思う。」と言うことのできる生徒や学校を育てていきたいと思う。目指すべき学校として,そういうところをこの委員会で考えられればと思う。

○6年生になって進学の時期になると,保護者は進路について非常に心配なので養護学校へ行ったり,障害児学級を見学したり,あちこちへ行って教育相談を受ける。いろいろ見学に行くが,結果的に障害児学級を選択するケースが非常に多い。養護学校へも行ったが,ただ子どもたちが遊んでいるという印象しか持たずに帰って来るケースが非常に多い。
 本当はいろいろ専門的に考えてやっている部分はあるのかなと思うが,それが保護者に伝わっていない。見学後「あそこへ行っても,ただお守りしてもらっているだけよ,というような印象で帰って来ている。」と保護者が言う。見学に行く段階では非常に期待して行くのだが,その期待がいつも外れるという状況がある。

○弱視の子どもさんが,盲学校へ行った時に先生のほうから,「お宅の子どもさんの状況はどうですか。」と丹念に聞いていただいて,相談にのっていただきながら,「うちの学校ではこういうことをしますよ。」と,きちんとアドバイスをいただき,盲学校での教育の中身が非常によくわかって,「ああ,ぜひお願いしたいな。」というような意見を述べられて,盲学校へ関わって行かれた方もおられる。

○学校の専門性,教育の中身,そのあたりが伝わっていかないというところに非常に大きな問題を感じる。その中身があるかどうかの問題もあるが,伝わっていないということがあると思う。

○通常の学級の担任されている先生で,盲・ろう・養護学校の免許状を持った方がたくさんおられる。障害児教育の担任を勧めても実践するに至らない場合が多い。せっかく持っておられる専門性が生きていないという状況もある。先生方が障害児教育に対する魅力を感じていないように思う。

○卒業生さんと接していて思うことがある。仕事に対する姿勢と言うか,働くことが身についていない実態がある。働くこととはどういうことか,ということから教えないと仕事に結びつかない場合もあった。また,物事を最後までやり抜く,という力をつける必要があると思われる。

○周りの人とうまくいかなくて仕事場を離れてしまう場合がある。周りの人と一つのことについて協力できるという力があるとずいぶんいいと思う

○その場の必要に応じて行動できる力が必要である。忙しい時には忙しいように動く。例えば,いつもマイペースではなくて,今日は仕事がたくさんあるから,頑張ろうとして,普段の力より120%出すような,臨機応変に対応する力がつくといいと思う。

○生活の自立の面では,掃除,洗濯が自分でできるということが必要と思う。また,自分の言いたいことをちゃんと伝えることができる力が必要と思う。上手に言うことはできなくても,困っているということを周りの人に伝えることができる力が必要だと思う。

○その人だけにしかわからないようなこととか,その人だけ特有の行動があるのではなく,できるだけ一般化された伝え方や考え方が身についている方がいいと思う。

○自分が正しく認識できていることが重要である。周りの過度な期待とか,逆に過度な押さえつけによって,自分が正しくわかっていない場合がある。例えば,自分はできるんだ,自分は何でもやればできるんだと,非常に無理をしてしまう。無理をしてやってみるが,実際はできない。そこでつまずいてしまう。または,そこで周りの人とうまいこといかなくなってしまう。また逆に,自分はだめなんだ,自分は力がないんだ,と力があるのに出せない場合がある。前向きに努力するという姿勢があれば,自分の力を知っていくことにつながるのではないかと思う。

○企業は競争の中にいる。そこでは,鍛えられた人間が望まれるのではなかろうか。「障害があるからそんなに本気になってしなくてもいいよ。」とか「これくらいで適当にやっておきなさい。」という扱いを受けると,本当のその子の力は出せないのではないか。本気になって求められたら,その子の力が出るしそこから,横のコミュニケーション,縦のコミュニケーションが出てくると思う。鍛える中で,本人の力は引き出せるのではなかろうか。

○様々な立場の人間が,お互いに意見を率直に出し合って,お互いがそれぞれの立場で障害児教育を進めていくということが必要だと思う。

○高等部の生徒が増加している。これに対してどうするかというのが大きなテーマと思われる。

○医療的ケア・医療行為の必要な子どもが,養護学校だけではなく障害児学級とか,通常の学級に在籍するようになった。これに対して国は,現在,調査・研究中だが,具体的な方策が問われていると思う。

○学習障害,多動,自閉症状等に対しての効果的な指導法が求められている。

○ある経済界の方の意見だが,広島教育の現状を心配して,このようになった原因の一つが,誤った平等思想にあるのではないか,とのことだった。誤った「皆一緒」ではなく「個」をどこまで伸ばせるかという視点が大切と思う。

○スポーツの面で他県との試合の中で,鍛えの違いを感じたことがあった。広島は全く歯が立たなかった。学習,スポーツ,そして生活の面でも鍛えが必要と思う。

○教育者は,「創造性と勢い」の2点が必要だと思い,訴えてきた。

○今後の障害児教育は,医療と福祉と労働とが連携し,就学前から就学後までの見通しを持っていく必要があると思う。

○私は,昭和40年頃から障害児教育に関わっているが,当時「ミニマム・エッセンシャルズ」と言って,生活の上で子ども達に身につけてほしいと思われる内容について,徹底的に取組んだ経験がある。今もう一度,その原点に立ちかえる必要性を感じる。活動の範囲を広げて,伸ばしていく,鍛えるところは鍛えていくという実践だった。

○ろう学校のある卒業生さんたちのことを通して感じたことがある。立派な成人となっておられる。一流の工場へ務めたり,あるいは中小の工場へ務めたりしておられる。コミュニケーションの面では,手話通訳者の方もおられて充実の方向にあると思う。一緒に活動等をしていて感じるのは,文章力がもっと必要ではないかということだ。FAXでのやり取りも,コミュニケーションの中では生じてくる。幼小中高の中で,一貫した指導が必要と思う。

○障害児教育の免許状を持っていて,今は通常の学級の担任をしているが,チャンスがあれば障害児教育に取組みたいと思っている場合もある。

○免許状の所有の有無に関わらず,障害児教育への取組みの姿勢は,赴任先でどのような先輩に出会うかが大きく影響していると感じている。

○各学校において,若い教員を育てていくシステムが必要だと思う。個人的な教育観を伝える部分と,教育という大きな立場での指導の両面が必要である。また,各校種の持つ専門性の内容も当然含まれると思う。学校における教師の,又は教育力の継続性の視点からの取組みが望まれる。

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