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広島県特別支援教育基本構想策定委員会中間報告 はじめに

はじめに

 本委員会は,平成19年6月13日,広島県教育委員会教育長から諮問を受け,3回の諮問会議及び2回の特別支援教育推進専門部会,3回の特別支援学校再編整備専門部会において,諮問事項について検討・協議を行ってきた。ここに,これまでの検討・協議内容をまとめ,中間報告とする。

1 広島県の特別支援教育の現状と課題

 広島県の特別支援教育は,昭和54年の養護学校教育の義務制実施を節目として,養護学校の設置等の整備及び教育内容等の充実が図られてきた。そうした中,広島県教育は,平成10年5月に,当時の文部省から,学習指導要領を逸脱するなどの教育内容面の課題及び教職員の勤務管理などの管理運営面の課題について是正指導を受けた。

 これに対して,広島県教育委員会により,県民に信頼される公教育の確立を目指した取組が行われる中で,平成14年12月に,新たな障害児教育に向けての具体的方針を示した「広島県障害児教育ビジョン」が策定・公表された。その「はじめに」においては,次のような課題が述べられている。

 「是正指導から4年が経過した現在,盲・ろう・養護学校においては,未だに学校運営や教育課程等において,是正が十分に進んでいない状況があり,指導の徹底を図っているところです。」「障害のある幼児児童生徒の能力や可能性が十分に発揮されていない状況もあり,一人一人の教育的ニーズに応じた取組みが十分であるとはいえません。」

 こうした課題の解決を図るため,上記ビジョンに基づき,平成15年度からは,適正な就学指導や教員の専門性の向上等を柱とした「障害児教育ビジョン推進事業」が実施されてきた。さらに,平成18年度からは,小学校や中学校等に在籍する発達障害のある児童生徒の指導を充実するため,専門家による巡回相談の実施などを内容とした「特別支援教育充実事業」が実施されている。

 また,平成18年3月に策定された広島県総合計画「元気挑戦プラン」実施計画においても,新展開施策の一つである「次世代人材育成」に関する7施策の一つに「特別支援教育の充実」が掲げられるなど,障害のある幼児児童生徒の能力や可能性を最大限に伸ばす教育が推進されてきている。

 こうした施策が実施される中で,特別支援学校の教員のうち,特別支援学校教諭免許状を保有する者の割合が,この5年間で約2倍に上昇したり,特別支援学校の在籍者数が増加したりするなどの一定の成果がみられる。一方,特別支援学校高等部卒業者の就職率は,全国平均と比較すると,10ポイント程度低い状況が続いているなど,解決しなければならない課題も残されている。

 また,近年は,知的障害のある児童生徒に対する教育を行う特別支援学校(以下「知的障害特別支援学校」という。)の在籍者数が大きく増加している一方で,他の障害種別に対応した特別支援学校の在籍者数は減少傾向にある。

 さらに,小学校及び中学校においては,特別支援教育を推進するための校内委員会(*1)の設置や特別支援教育コーディネーター(*2)の指名は全校で実施できているが,支援体制が十分に機能しておらず,幼稚園及び高等学校においては,支援体制がほとんど整備されていない状況にある。また,保育所・幼稚園と小学校との接続等,校種間の円滑な接続に課題がみられる。

 一方,国においては,平成18年6月に改正された学校教育法(以下「改正学校教育法」という。)が本年4月1日に施行され,従来の盲学校,ろう学校及び養護学校は,複数の障害種別に対応した教育を実施することができる特別支援学校になるとともに,幼稚園,小学校,中学校,高等学校の要請に応じて,幼稚園,小学校,中学校,高等学校に在籍する幼児児童生徒の教育に関して助言・援助を行うよう努めることが示された。

 また,これまでの障害児教育の対象の障害だけでなく,小学校や中学校の通常の学級に在籍する発達障害のある児童生徒や,広島県障害児教育ビジョンには示していなかった幼稚園又は高等学校に在籍する障害のある幼児又は生徒も特別支援教育の対象として明確に位置付けられた。

 こうしたことから,広島県の特別支援教育においては,広島県障害児教育ビジョンに基づく事業等の成果と課題を踏まえ,改正学校教育法に基づく特別支援学校制度の創設や幼稚園,小学校,中学校,高等学校における特別支援教育の制度化に適切かつ迅速に対応することにより,障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた指導や支援をより一層充実することが求められている。

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