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広島県特別支援教育基本構想策定委員会 第2回諮問会議議事要旨

1 日時

平成19年8月17日(金曜日)14時00分~16時00分

2 場所

広島県庁北館2階 第1会議室

3 出席者

13名(欠席者:連石委員)

4 議事内容

(1)開会
(2)事務局説明
(3)協議
(4)閉会

5 議事概要

委員:平成18年度の校内委員会の設置と特別支援教育コーディネーターの指名の実施率が,小学校,中学校では100%,高等学校では45.2%となっているが,小学校,中学校と高等学校の取組みの差の要因は何か。また,県立高等学校長からのヒアリングの結果では,医師の診断はないが,校長が発達障害のある生徒ではないかと判断したものを含む「発達障害のある生徒がいると思う」と回答した学校が57.5%となっているが,もう少し正確に把握するともっと多いのではないかと思う。

事務局:高等学校については,昨年度から国委嘱事業「特別支援教育体制推進事業」の対象となっている。対象の学校数としては,昨年度3校,本年度11校である。県事業「LD等の専門家巡回相談事業」では,昨年度4校,本年度11校を対象とし,巡回相談を実施している。校内委員会の設置等については,校長協会の研修会で紹介したり,リーフレットを配付してお願いしたりしたが,通知等で示してはいなかった。平成19年4月1日付け文部科学省初等中等教育局長通知に基づき,各校に通知したところである。この通知の中では,校内委員会の設置等を示している。

委員:小学校,中学校については,通知をしているのか。

事務局:小学校,中学校については,国委嘱事業「特別支援教育体制推進事業」において,平成17年度から県内全市町を推進地域として取り組んでいる。推進地域については,国委嘱事業の実施要項の中で,校内委員会の設置等に取り組むよう示されている。

委員:幼稚園も高等学校と同様である。幼稚園では,発達障害をどう見るべきか迷っている。校内委員会の設置等だけでは不十分であり,外部とのネットワークを作ることが大切である。また,校種の格差があまりにも大きいので格差を埋めていくことを考えなければならない。

会長:ある高等学校で,発達障害の生徒がいないか調査をしようとしたら,ラベリングするのかと言われたことがある。行動上の問題があっても,試験の成績が良いからそれで良いと考えられる危険性がある。

委員:特別支援教育支援員について,広島市を除く数値となっているが,広島市の状況はいかがか。また,平成19年の時点でこの数値をどう見るのか。介助員と学習支援員の内訳はいかがか。

事務局:広島県における公立小学校及び中学校に配置される介助員及び学習支援員の配置状況は,文部科学省が平成19年7月1日時点において実施した実態調査において,市町からの状況を集計して報告したものであり,都道府県と政令市とを分けて調査をしている。県教育委員会が,現在,把握している広島市を除いた状況は,小学校339人のうち介助員304人,学習支援員35人,中学校92人のうち介助員83人,学習支援員9人である。

平成18年12月27日付けの通知で文部科学省特別支援教育課長から,地方財政措置の予定について,市町教育委員会に周知するよう通知があったので通知した。しかし,この時点で市町の予算はほぼ確定していたのではないかと考えられ,予算化されていった結果がこの数字ではないかと思われる。平成20年度に向かって,国は継続する見通しと言っているので,市町教育委員会もこのことを考えるであろう。つまり,この数値はその経過としての数値と捉えている。

委員:広島市では,通常の学級に在籍する児童生徒の教育的な支援を行っていくという特別支援教育アシスタントを事業化しており,平成17年度から肢体不自由,学習障害等のある児童生徒に対して配置してきている。本年度は,肢体不自由のある児童生徒に対して68人,学習障害のある児童生徒に対して80人,計148人を配置したところである。各学校では,まだ対応が必要であるという状況がある中で,この度の国の財政措置があったので,学習障害等のある児童生徒に対して51人分の予算措置をしたところであり,今年度,小学校,中学校に対して,計199人を配置するよう計画している。

委員:特別支援教育支援員について共通認識したい。特別支援教育支援員の配置に必要となる経費に係る地方財政措置は,市町に来ていて,市町が独自に実施していくということでよいか。資料3の「1 校内体制の整備」の「(4)個別の指導計画の作成,個別の教育支援計画の策定等による指導の充実」の「イ」でも示しているように,市町教育委員会が特別支援教育支援員の配置・充実に努めるということでよいか。

事務局:平成19年6月に文部科学省から「『特別支援教育支援員』を活用するために」という小冊子が出され,市町教育委員会に配付している。これは文部科学省のホームページにも掲載されている。また,特別支援教育支援員に係る経費は,直接,市町に地方交付税として措置されている。ただし,地方交付税だから特別支援教育支援員の経費として明確に区切られているわけではない。市町の予算の中でぜひ活用してほしいということになる。

副会長:県教育委員会として,幼稚園の状況を表す資料はないか。

事務局:平成18年度の幼稚園における校内委員会の設置,特別支援教育コーディネーターの指名の状況については,国の調査の結果として全国の状況を示している。発達障害のある幼児の在籍状況等は把握していない。

会長:記憶している中では,広島市の場合,発達障害の可能性のある幼児の在籍は2.6%であった。幼児期なので把握しにくい。

委員:特別支援教育が始まって間がないため,データにブレがあると思う。学校規模にもよるだろうが,ある学校では,発達障害等の児童生徒の数が10~20人であったり,また,ある学校では1人であったりしている。国の調査では6・3%と言われている中で,数値にそんなばらつきがあるはずがないと思う。これは,医師しか診断ができないことも関係しているのではないか。今の段階では信憑性がなく,数値が落ち着くにはもう少し時間が必要ではないかと思う。

委員:この資料でいう教育委員会とは,県教育委員会のことであり,市町教育委員会のことがあまり記載されていない。市町教育委員会もしっかり取り組む必要がある。関心が通常の学級に在籍するLD等の発達障害のある児童生徒ばかりになっているように思う。従来から取り組んでいる特別支援学級の状況について聞きたい。

事務局:特別支援学級担任の特別支援学校教諭免許状の保有率が約2~3割である。免許状を保有している教員が担任になるなど専門性に基づいた指導の充実を図ること,特別支援学級の担任の専門性を図ることが必要であるという意見を専門部会でいただいている。

会長:当然,これまでの特殊教育の対象の児童生徒についてもしっかりと考えていかなければならない。

委員:報告は,方法論に偏りすぎているので,考え方の基礎・基本,特別支援教育に関する理念をしっかり押さえて作ってほしい。

副会長:この報告には,前書き等が付くことが予測されるが,そこで,県と市町の教育委員会等の連携が重要であること,従来の特殊教育から特別支援教育への転換したことの意味などを含めてほしい。資料の「校内体制の整備」についての文言で「児童生徒」に「幼児」を含めてほしい。同様に「教員の専門性の向上」について「特別支援学級担任」だけでなく「通級による指導の担当者」も含めてほしい。

委員:資料の「校内体制の整備」についての文言で「研修会等において認識を深める」や「主体的に取り組む学びの組織を確立する」などを,具体的に分かりやすく表してほしい。

委員:この報告書自体が啓発に使えそうである。学校が主体的に動くように「学校」という文言を書き込んであるのが良いと思う。

会長:文部科学省初等中等局長による125号通知の「7 教育活動等を行う際の留意事項等」では,「医師等による障害の診断がなされている場合でも,教師はその障害の特徴や対応を固定的に捉えることのないよう注意するとともに,その幼児児童生徒のニーズに合わせた指導や支援を検討すること。」と示されている。

委員:個別の指導計画,個別の支援計画のところで,「関係機関との連携」とあるが,施設が考えていることと,特別支援学校が考えていることが,かみ合わないため,実際はなかなかうまく連携ができていない。特別支援教育の推進のために協同して取り組んでいく必要があることが,意識されるような書き振りにしてほしい。

会長:大学院生がこのことについて全国調査を実施している。特別支援学校の特別支援教育コーディネーター,療育センターやリハビリテーションセンター等のコーディネーターに質問をした。療育センター等のコーディネーターは,ひとつの事象を広い視点から考える傾向があるのに対し,特別支援学校の特別支援教育コーディネーターは,ひとつの事象を深く掘り下げて考える傾向があった。これからの広島県の特別支援教育の発展のために,協力してできることをしていきたい。

委員:特別支援学校が地域のセンターであることについては,嬉しいことだと思うが,現状は難しいのではないか。今後の方向性はいかがか。

事務局:センター的機能について,報告の中で,「すべての特別支援学校に専任の教育相談主任を配置することを目指す」とあった。現在は,特別支援学校ができる範囲のことを取り組んでいこうとしている。例えば,夏季休業中に地域の小学校,中学校教員を対象に研修講座を開催し,各特別支援学校のノウハウを紹介している。特別支援学校主催の研修回数やその講座への参加人数を昨年度と比較すると,2倍程度になっており,今,発展途上の段階である。

委員:「一貫した支援体制の整備」について,教育委員会による支援として,公立,私立の幼稚園,保育所への支援が必要との記載がある。幼稚園等は,養育の問題なのか,発達の問題なのか,まだ分からない状況である。教育委員会そのものがコーディネーター役として,体制を整えてほしい。もっと広い地域の資源を活用するための機関としての教育委員会であると,より安心感,安定感が得られると思う。

委員:高等学校でも,校内委員会の設置,特別支援教育コーディネーターの指名などを必ずやることと強く言ってほしい。形づくりから始めて徐々に中味づくりを行うとよいと思う。理念を前書きに入れるということであるが,その中で特別支援教育が教育全体の中で何を意味するのかをしっかり示してほしい。今,最も大事なのは,個々の生徒に対して,丁寧に指導することだと思う。これは,教育全体にとっても大切なことであり,これを進めていくことで学校が変わっていくということを強調して書いてほしい。校種間の円滑な接続については,不登校やいじめ等,様々な課題を接続の部分でどう伝えていくのか,特に中学校から一気に課題が増えていくと思う。中学校から高等学校への接続では,合格発表後,高等学校が中学校を回るまで,中学校からの情報提供がない。高等学校としては,中学校での課題に配慮しながら取り組んでいきたいので,情報提供等を含めた連携の必要性を明確に示してほしい。

会長:答申にも書いてあるが,特別支援教育を推進するということは,現在の学校教育の様々な課題の解決や改革に大いに資すると考えられる。ある市の小学校長によると,特別支援教育に取り組むことで一番変わったことは,学力の底上げと不登校の減少であると言っていた。

副会長:「一貫した支援体制の整備」について,「個人情報の取扱いにおいて過剰な反応がみられるため・・・」の表現が逆向きに捉えられるように思う。おそらく連携の中で「個人情報だから出せません」と言って連携を拒まれることを言っているのだと思うが,むしろ「条例に基づいて積極的に幼児児童生徒の情報を収集する」,「適正な取扱い方」という表現にすべきであると思う。

「特別支援学校の教育の充実」について,専門的な教育をさらに推進するための取組みを,職業的自立を促進する教育の充実とセンター的機能の充実としているが,もう一つ,教育の中味について考えていく必要がある。学校としての専門性と言うと,教育課程である。教育課程を中心として,教育内容及び教育方法が特別支援学校の専門性である。教育課程を中心とした教育の中味を明確に記載するべきではないかと思う。各特別支援学校が教育の対象とする障害種別に応じた専門性のある指導を提供するための一つの表れが教育支援計画や個別の指導計画である。

また,適正就学をどう考えるかということをどこかに入れるべきではないかと思う。専門性の向上を図るために必要なことは,学校のキーパーソンとなる専門性の高い教員にどう位置付いてもらうかということ,人事についてどう考えるかということも必要である。

「特別支援教育に関する普及啓発」について,「障害の状態等に応じた指導方法・内容の工夫が必要」と書かれており,指導方法の例示として,「学級を少人数に分けての指導が大切である」と書かれている。児童生徒を少なくすればよいと読んでしまうので,「個別と集団の指導の在り方についての検討が必要」など,個別と集団のバランスの問題であるという意味の表現はいかがか。内容の工夫としては,「分かりやすい教材・教具の提示が必要」という例示ができるのではないか。

委員:障害種別に応じた指導を的確に行うということを,原点として押さえておくことが必要である。特別支援教育を推進していくために一生懸命に取り組んでいる教員の適切な人事を大切にしてほしい。市町教育委員会は,障害があるために配慮が必要な全ての幼児児童生徒に対して,様々な場面で適切に支援できるような体制を組んでいくことが課題であり,大事なことである。とりわけ市町教育委員会は,本年度から地方財政措置された特別支援教育支援員の配置・充実について有効に活用してほしいということだが,本来は,障害があるために配慮が必要なすべての幼児児童生徒に対して必要であり,書き振りを考えてほしい。

委員:「校内体制の整備」について,各校長が文章を読むと,おそらく「よく分かっている。だからどうするのか。」と言うと思う。校長が特別支援教育に関する認識を深めるということは,どういう特別支援教育に関する認識を深めるということなのか。当たり前の答申になったのでは意味がない。校長が,「なるほど,ここができていなかったのか,こうすればよいのか」と思うようなものになってほしい。「情報を共有し,学校全体で取り組む体制づくりが必要」というのは誰でも思っているが,それができないから困っている。もう一つ踏み込んだものにしてほしい。「一貫した支援体制の整備」の「教育委員会による支援」のところで,就学前の教育とそれを受ける小学校との接続が大切である。小学校における対応では,すでに遅いという部分もあると思う。市や町からすると,教育委員会による支援ということよりも,いわゆる市や町の部局との関わりである。私立幼稚園となると,所管は県の学事室になるが,この特別支援教育に関わることができるのか,教育委員会はどういった関わり方をして,小学校第1学年を迎えるのか,といったことがポイントとなる。

委員:特別支援学級の担任の資質について,各学校の状況はいかがか,特別支援教育コーディネーターを特別支援学級の担任がやっているところもあり,そうでないところもあると聞くが状況はいかがか。具体的にコーディネーターはどうあるべきか,根本的なことも考えていく必要がある。中学校では,発達障害のある生徒への支援については,深刻な課題である。巡回相談の枠も数回であり,各学校には,まだ支援を必要としている生徒が大勢いることを認識して推進していただきたい。

会長:貴重な御意見をいただいた。これをまとめて中間報告を出すことにする。

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