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第6回広島県高校教育改革推進協議会概要

第6回 広島県高校教育改革推進協議会概要について 

日時 

平成13年5月24日(水曜日)14時30分~16時30分

場所

 県庁北館 第1会議室

出席者

 安藤,東風上,椎木,鈴木,富永,名越,二宮,藤田,山極,吉田,渡邉
  (欠席者) 石橋,佐々木,松木,森

協議内容

 中間まとめ(案)についての協議

意見交換

○「中間まとめ(案)」について

<21世紀の社会において求められる能力について>
  •  これからの社会で求められる能力が,知識の蓄積量ではないとするならば,例えば「新たな問題を解決する能力」というような表現が必要ではないか。
  •  豊かな創造力や独創性ということを前面に強調しながら,これからは雑多な情報の中で埋没するのではなく,自分で必要な情報を取捨選択し,これを積極的に活用していく力,あるいはそれを創造する力をもつ子どもを育てなければならない。
  •  情報を収集するばかりではなく,より質の高い最新の情報に改めながら問題解決を図るという趣旨が「中間まとめ」には盛り込まれている。
<「学校の情報発信」について>
  •  「主体的」な学校選択を促すためには,高校の情報を十分中学校の生徒に与える必要がある。
  •  主体的に選べるかどうかは,高校から中学校へ与えられる情報の信頼性にかかっている。各高校は都合の悪い情報は公開しない傾向がある。この信頼性を保持するためには,生徒による学校評価を導入し,同時に評価内容を外部に公開することが必要となるのではないか。
  •  現在,高等学校はホームページを開き,説明会,オープンスクール,体験入学等を実施し,中学生に向けてはかなり大量の情報を発信している。「私の学校はこんなカリキュラムです」「教員のスタッフはこのようになっています」「学校行事はこうなっています」等,各高校は情報発信をしている。従って,中学生や保護者が学区の高等学校についての情報を知る機会は多い。
  •  中学校側の実態をいえば,高校の情報をかなり収集し,「主体性のある」進路指導を1年生から実施している。しかし,現実にはできていない部分もある。これを克服するためには,生徒が自分自身を知ることができる評価をもっと工夫すべきではないか思う。
  •  高校は進学率とか偏差値に限定した情報だけでなく,高校の特色についての情報をもっと公開し,学校の透明性を拡大する。中学生はそれらの情報に基づいて,「自分はこういう学校に行きたいんだ」と選択する。そこに「主体性」が生まれる。学校は自分の学校の特色を前面に出して,選ばれる存在にならなければならず,そこで経営責任が問われるのである。
  •  評価の方法には多様な手法・手段があり,「生徒による評価」も「評価」の中に包含される。
<定時制課程の高校について>
  •  定時制課程の高校の特色ある学校づくりについて,定時制課程の特徴を,全日制のフルタイムに対してパートタイムという言葉の表現は適切ではない。
  •  定時制課程の高校の適正配置では,「生涯学習の視点も取り入れた活性化の方向を探る」という観点も盛り込めないか。
  •  定時制課程の特色づくりにおいて,通信制課程及び生涯学習機関等の機能も活用することは重要である。
  •  現在,小学校教育も生涯学習の観点からの捉えなおしをしているなど,生涯学習あるいは学習社会の在り方は,特定の形態の学校だけではなく,学校システムそのものを転換させるという考え方にまで進んでいる。この問題は,定時制課程の問題に限定されたものではないので,今後,本答申に向けて議論していくこととしてはどうか。
<通学区域の見直しについて>
  • 通学区域の見直しについては,「過度の受験競争を避ける配慮」ということも必要ではないか。
  • 現実に「過度の受験競争」は存在していない。かつては受験競争の過熱化と煽り立てていたが,現在は子どもは勉強していないのではないか。そのために学力向上で一生懸命になっている。今はむしろ,本当にしっかり勉強する子どもたちを育てる必要がある。
  • 「特定校に生徒が集まる」から学区が問題なのではなく,生徒の集まらない学校が出てくることが問題である。学区を越えてまで子どもが入りたいような学校をつくる取組みが大切である。学区制というのは,学校を地域にバランスよく配置していくときの背景として念頭に入れなければならないもので,いったんバランスよく学校を配置すれば,ユーザーである保護者や子どもが学校を選ぶのは自由でよい。
  •  多様な選択肢を与えることによって,生徒は自分にふさわしい学校を選べるようにすることが改革の狙いである。仮に1校に生徒が集中するような事態が起きたとすれば問題である。
  •  多くの子どもが行きたくなるような,特色ある学校づくりを進めること自体を批判することこそが,これまで学校教育を沈滞化させてきた原因である。子どもが全く集まらない学校あるとしたら,学校再建に力を注ぐことが重要なのであり,通学区域に責任転嫁すべきではない。私学では努力しなければ,学校経営そのものが危うくなる。私学的な発想も必要ではないか。
  •  仮に「特定校に子どもが集中」するとすれば,かつての考え方では,「過度な受験競争」となるかもしれない。しかし,このことで生徒のニーズがどこにあるかがわかる。他の学校も特色づくりの中で県民のニーズに応えていけばよい。
  • 指導者を頼って生徒が集まるということはすでに,スポーツ関係ではある。したがって,学習面でも先生を頼って集まるという傾向が出てくるのも好ましいことではないかと思う。

○答申に向けての検討課題

<調整枠の問題について>
  •  通学区域について,今後はその区割りをどうするか,また調整枠の問題を協議して欲しい。クラブ活動,教育システム等,学校はさまざまな特色を出して生徒募集について努力しているが,そういった魅力ある学校を幅広く選択できるような措置についても検討すべきである。
<専門高校の在り方について>
  •  専門高校では現在,その設備が時代にマッチしていないのではないか。どこかに拠点を置いてそこに最新の設備を導入し,そういった施設をどの学校の生徒も活用できるような制度をつくっていってはどうか。
<これからの高校の共通課題>
  •  専門高校であろうと,普通科であろうとこれからの教育の中に,「地域」と「国際化」のキーコンセプトが必要である。つまり,地域の問題を考えることが,ある意味で子どもたちのいろいろな動機付けにつながっていく。また異文化理解を進めるため,将来,各高校は海外に姉妹校をもつぐらいにしてほしい。
<教職員の資質向上について>
  •  教育改革の成否は教員の資質にかかっている。教員の資質向上及び教員に関する情報の開示について,今後,論議して欲しい。
<実施計画の早期策定について>
  •  新しい学科やコースの設置,学校の統合,新しい通学区域の具体的な情報はなるべく早く公開すべきである。そのことで,生徒も保護者も時間をかけて学校選択ができる。高校自体も将来に向かって,明確なビジョンを描き,教育内容を構築していけるのではないか。また統廃合によって学校が無くなるというような場合,町村合併の問題も迫っているので,施設の有効利用も視野に入れて考えなければならない。
  • 今後の協議会で何をどのような順番で協議していくか,専門委員会で議論していく。

まとめ

  本日の協議の意見を踏まえ,これを「中間まとめ」として教育長に報告する。