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第1回「豊かな心を育むひろしま宣言」推進協議会議事録

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1 日時

平成14年7月17日(水曜日)14時00分~16時30分

2 場所

県庁北館 第1会議室3 出席委員

朝倉委員,安東委員,石井委員,伊藤委員,上田委員,奥先委員,樫本委員,北川委員,佐々木委員,中岡委員,花輪委員,藤井委員

4 内容

(1) 委員紹介

(2) 委嘱状交付

(3) 推進協議会の設置要綱及び今後のスケジュール説明

(4) 会長及び部会長選出

 委員の互選により次のとおり選出した

 会長 上田委員(学校教育部会長を兼任)

 社会教育部会長 石井委員

(5) 会議の傍聴及び議事録の閲覧について

 次回の会議から傍聴を許可し,今回から会議の議事録を閲覧することについて承認を得た。

(6) 協議

5 協議内容の概要

【子どもたちの豊かな心を育むために】

  •  「豊かな心とは」について改めて考えてみた。「豊かさ」とは,幅の広さ,奥行きの深さと考えることができるが,「豊かな心が育まれた状態」というのはどのような状態を言うのだろうか。あるいは,完成された状態についてはイメージとして描きにくい。結局は,完成をめざして動いている「動的な存在」としてとらえていくとどうかと自分なりに考えている。子どもたちの姿を見ていると,どの子も日々の生活の中で「よりよく生きたい」と思っている。様々な体験の中で課題や問題を抱えながら「よくなりたい」と思っている主体的存在であると考える。
     そうした思いをもっている子どもたちに,大人たちがどのようにかかわっていけば豊かな心が育っていくのか,どのような社会をつくっていくことが豊かな心につながるのかこの協議会を通して考えたい。
  •  子どもたちの現状を見ていると,もっと自信をつけてやらねばならないと考える。今の子どもたちは,誉めたりしないと自ら行動できないという印象が強い。保護者も子育てに自信をもっておられない方が多いように感じられる。そのため,塾等を含めて子育てを親が外注してしまっているのではないか。
     また,子どもたちの自主性を感じ取る場面が少なくなってきているようだ。失敗を恐れず行動してほしいと言いたい。修学旅行の前日に子どもたちに,「出発までに,家族の人に今の気持ち,コースの説明等,是非手紙を残して出てほしい。これは,将来あなたたちが家庭をもったら,しなくてはならないことですよ。」と語りかけた。
     旅行中,食事の際,箸をもったままおかわりのために動いたり,片手で茶碗を差し出したりすることが気になった。
     部屋のスリッパを揃えることは,事前の指導が行き届きよくできた。
     このように子どもたちは,自らの行動がどうなのか気付いていないことが多い。学校においては,細かなことについて日常的に議論していかないと指導のチャンスを失うことになる。
     子どもにもっと自信をつけてやりたい。プライドをもって行動できるようにしてやりたいと願っている。
  •  最近,形から入ることも大切なことではないかと考える。「学ぶ」ことは,「真似ぶ」ことからはじまると考える。形を決めることである程度心が決まってくるのではないだろうか。形という基本を子どもたちに身に付けさせたい。
     あいさつ等基本的生活習慣の確立は,まず家庭から取組んでいきたい。
     次に,「畏敬の念」を大切にしていきたい。例えば故人を敬うことも心のよりどころとして大切なことである。20世紀は科学の時代であった。これから人間の力ではどうしようもないものに出遭う時代がくると思う。人間として自制の念をもって距離を置き,畏敬の念をもつことも大切になってくるのではないか。
     最後に,「伝統文化を大切に思う気持ち」を大切にしてやりたい。日本には,昔から自然や春夏秋冬に基づいた祭りというものがあった。しかし,これが,今,家庭や地域で崩れつつある。これらの祭りのように,崩れかかった伝統文化を再構築していくことが大切であると考える。
  •  先日,子どもたちと地域で活動されている芸能サークルとの交流を行った。様々な方々と交流してかかわっていくことは大切なことである。
     子どもたちに大切にしてもらいたいことはたくさんあるが,特に,「思いやり」「感謝」「強い意思」を大切にしたい。この中で,「思いやり」と「感謝」は,他の人とのかかわりに関することである。「思いやり」の気持ちがないと人とのかかわりは生まれない。人と人とが直接ふれあうことは,大切なことであり,楽しみなことであるが,その中で悩みも苦しみも生まれる。
     ふれあいを続けることを通して,人としての在り方を自らに問うことになるのではないか。
     人とのふれあい,かかわりをとおして人間的に磨かれていく。
     よりよく生きたいという願いをもって人とかかわりながら夢や希望をもって人生を歩んでほしい。
      「感謝」については,子どものすることよりも親のすることの方が多くなってきているのではないか。すべて親にやってもらい,子どもたちの考えの中に自然と「やってもらって当たり前」という考えが身についてはいないだろうか。お世話になっている方の存在に気づかせ,自分自身の存在にも感謝させる。「感謝」は,人間尊重に結びついている。
     強い意思をもってやりぬく過程で得られるものは多い。自分がやろうと決めたことについては,まわりが励ましながら目標に向けて努力してほしい。いけないことだと思ったら,「やらない。」とはっきり言えるように育ってほしい。
  • 子どもとのかかわりでPTAの役員を長くさせていただいたが,家庭の中で保護者が子どもを引っ張りすぎているのではないか。例えば,子どもの行事に保護者がたくさん参加して,子どものやるべきことを取り上げてしまっている。
     どうしても行き詰まって,どうにもならなくなったとき初めて親が出てくることが必要である。今の状況を見ていると,もう少し子どもたちがやりたいことを伸ばせるようにしてやりたい。そのためには,保護者が手を離し,自由に子どもたちにやらせてほしい。子どもたちが枠にはめられて,自ら動こうとしないことが特に気になることである。
  • 豊かな心,豊かさとは自分の思い,夢や希望がかなえられることである。子どもたちがしたいこと,夢や希望が社会的に承認を得られるということであるが,この場合何をしてもいいというわけではない。夢をかなえる前に身に付けておくことがある。それが,社会規範であり基本的生活習慣である。要は,しなくてはいけないこと,考えなくてはならないことはきちんと身に付けておくことである。その意味でしつけは大切である。例えば,「人の話を静かに聞く」ことは,理屈ではなく,低学年のうちに身に付けておかなければならない。
     「感謝」の気持ちをもつことも大切である。自分は他人に支えられて生きているということを子どもたちに理解させることだ。あいさつについて言えば,いくら「あいさつをしましょう。」と指導しても,その根底に感謝の気持ちがなければ本物とは言えない。地域であいさつ運動に取り組んだとき,ある人から,「地域の子どもがあいさつをしないから運動を始めたのか。」と聞かれた。そうではなく,子どもがあいさつをすることによって家庭が変わっていく,そして地域が変わっていくことを願ってあいさつ運動に取り組んでいる。
      「畏敬の念」については,例えば万引きをしてしまった子どもに「見つからなければよい」といった考え方があるように思う。一昔前であれば,祖父母が,「そんなことをしたら,神様が見ているよ。ばちがあたるよ。」と子どもたちに語りかけていた。このことによって子どもたちは,人間の力ではどうにもならないことがあることを知ったように思う。
  •  この宣言の話をいただいたとき,子どもたちに語る言葉をどうやって見つけ,どのように投げかけることができるだろうかと考えた。宣言は,今の子どもたちに合う子どもたちの言葉で投げかけることが大切である。
      「勇気」「寛容」「基本的な生活習慣」が大切だと考えるが,これは今の大人社会にも大切なこととしてそのまま当てはまることである。勇気ということについて,子どもたちにどんな言葉で返していくのか,どんな投げかけ方があるのか考えていく必要がある。
     読み・書き等基本的な学力は,十分な場を与えていけば身に付くものだと考える。それと同様に,心を育てる場合にも大人が子どもたちにそうした身に付ける場を提供していくことが大切である。
  •  これまでの経験から,子どもたちに特に育てていきたいことは,「自主自律」「正義感」「努力」だと考えた。
     日本人は,これまで他国の人たちから,真面目・勤勉・人が見ていなくても自分の行動を律していけるということで評価を得てきたが,そうした良さが最近失われつつある。
     校則のない学校に勤務した経験があるが,何か注意をするときは,「自分で,それは良いことなのか,そうでないことなのか考えて判断しなさい。」と語ってきた。現在そうした規範意識が欠けつつあり,義務感も失われつつある。そうした規範意識や自律心について学校だけでなく,家庭で幼児の頃から教えていくことが必要であると考える。
  •  「家族愛」について子どもたちに語りかけていくことが大切だと考える。子どもたちは,愛をどこで感じるのか。ハートであり,ハートは頭であると考える。子どもを育てていく中での語りかけ,頭への刺激が大切である。その意味で,幼い時の母語と共に受けるやさしさを感じ取って子どもの心は育っていくのだと思う。その語りかけの意味においても,昔話を伝承していくことが必要だが,語れる大人が少なくなってきた。
     子育てサークルに参加していただくお母さん方には,そうした意味を含めて,絵本の読み語り等を積極的に行っていってほしいとお願いしている。
      「感謝」の気持ちを育てるために,「おかげさまで」という言葉を教えてやりたい。おかげさまは,感謝を表現している。その言葉の中に豊かな心が育つ基礎・基本があるのではないか。
  •  心の教育相談員をした経験から,子どもたちが自信を持ちにくい,人とかかわりを持ちにくい状況が生まれていると捉えた。そこから,自分のことを大切に思える,それと同時に,他人を思いやれる子どもに育ってほしいと考えている。そうした心を育てるための方策のひとつとして,実体験を通して学ぶことが大切だと考える。
     乳幼児を抱える家庭では,遊びを通して心を育ててほしい。
  •  話合いの基本は,人の話をきちんと聞けることである。「他人不在の時代」と言われるように,他の人の話が耳に入らない,他人が眼中にない状態にあるのではないか。話合いのできにくい時代の中にあっていかに相手を受け入れる民主的な社会をつくっていくかが問われている。そうした中にあって,他人の言葉を聞いて自分の言葉で語りかけることを子どもたちに身につけさせたい。「希望」は,自信のないところに生まれない。「勇気」は,希望と連鎖している。「誠実」は,感謝や思いやりに裏付けられたものである。この3点を特に子どもたちを育てていく中で大切にしていきたい。
      こうした大切なことは,言葉で一から伝えていくのは大変難しいことであり,形やマニュアルから入っていくことも必要ではないか。
     「豊かな心」の豊かさとは,結局自己判断ができることだと考えている。これは,映画の中の話だが,クリント・イーストウッドが演ずる老兵が,勝ち目のない模擬戦で,最強の兵力で固めた相手を負かしたときのセリフが「結局,臨機応変だよ。」であった。これは,「希望」,「勇気」, 「誠実」ということに完結する言葉であると思う。
  • 親として,子どもに価値観を教えていくことは必要なことであると考える。例えば,それはあいさつであり,人の悪口を言わないことや友だちを大切にすることであったり,感謝の気持ちをもつことである。そして,子どもたちに教えていく前に,大人自らができているだろうか,自らの道徳性を問うていくことが大切である。「大人が変われば子どもが変わる。子どもが変われば未来が変わる。」そうした気持ちで自ら取り組んでいきたい。
  •  本日は委員の皆様から様々な意見をいただいた。次回の協議に生かしていきたい。本日の協議はこれにて終了する。
     なお,次回の会合までに,事前に各委員が意見を集約できるよう,前以て事務局から資料を送付していただきたい。
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