もし核兵器が使われたら…学生が描くワースト・シナリオと世界平和に向けて
ひろしまを学ぶ |
1945年8月6日午前8時15分。人類史上初めて、広島に原子爆弾が投下されました。以降、多くの苦しみを抱えた被爆者をはじめ、私たち広島県民は、世界平和と核兵器廃絶を訴えてきました。
しかし、世界は戦争や紛争、略奪や暴力による支配など、平和とは言いがたい不安定な情勢が続いています。
目次
もし核兵器が使われたら
「国守りて山河なし」-2025年の広島平和記念式典の挨拶で、湯﨑広島県知事が発した言葉です。 もし核による抑止が、いつか破られ、核戦争になれば、人類や世界はどうなってしまうのでしょうか。
学生たちのチャレンジ
被爆80年を迎えた2025年、広島県ゆかりの高校生・大学生10人が参加し、核兵器が使用された場合のワースト・シナリオを一丸となって考えるとともに、その回避策を検討しました。
核兵器を巡る国際情勢と歴史を学ぶ
まず、5日間のプログラムとして、核兵器分野の専門家を招き、核兵器を取り巻く安全保障環境や、核兵器の使用に伴う直接的影響、核兵器が使用された場合のシミュレーションなどについて学びました。
あわせて、核抑止の理論と核兵器廃絶に向けた動きの両面の考え方も学び、核兵器が使われた場合のワースト・シナリオを検討しました。
アメリカで現地の大学生等と意見交換
アメリカのアイダホ州立大学を訪問し、広島の原爆について知識のない学生達へ被爆の実相に関する講義を行い、核兵器に対する認識などを共有しました。また、核兵器について研究しているシンクタンクを4カ所訪問し、現状の世界情勢や核兵器に関する各々の立場の意見交換を行いました。
日本では普段触れることの少ない意見にも触れながら、学生たちは自分たちの考えを深めていきました。
学生たちが導き出した最悪のシナリオ
これらの研修から得た学びをもとに、学生たちは、「次の一歩は私たちから 核兵器使用の回避にむけた提案」をテーマに核兵器が使用された際のワースト・シナリオとして発表しました。
限定核使用は、報復の連鎖で全面核戦争へと拡大する
学生たちが発表したワースト・シナリオの一部を紹介します。
「極度の緊張下では兵士や司令部の判断は不安定になり、誤情報への過剰反応で二度三度と誤爆が続いた。 (中略) ついにC国大統領が限定的な戦術核使用を決断した。」
「限定的核使用は「最初の一発」を契機に数週間で連鎖的に拡大した。 (中略) 両陣営の報復や迅速な意思決定が繰り返され、百発以上の低威力核兵器を含め戦術・戦域核兵器が数週間から数か月の間に投入される。」
情報の錯綜、エスカレートする攻撃、そして残ったのは灰と化した世界と絶望のみ。もちろん、ワースト・シナリオとして学生たちが考えた未来ですが、今の国際情勢を踏まえると決してあり得ない未来ではないと感じざるを得ません。
世界平和に向けて私たちにできること
ワースト・シナリオを現実にしないため、私たちに今できることは何でしょうか。
学生たちの思い
研修をとおして、核兵器廃絶・世界平和に真剣に向きあった学生たち。発表会では、「私たちにできること」として、「核兵器を使わせない、廃絶させるという意識を持ち、広めること」だと伝えています。
まずは、正しい知識を身につけ、周囲の人と話し、発信していくこと。「被爆の記憶」を継承すること。溢れる情報を鵜呑みにしないこと。皆さんの学びがこれから未来へどんどん広がっていくことを期待しています。
広島県として
今回のワースト・シナリオによって、漠然としていた核戦争の悲惨さをありありと想像することができました。かつて、80年前に私たちの先輩が経験した地獄の世界です。決して繰り返さないと誓った被爆者の魂の訴えを決して途絶えてさせてはいけません。
広島県では、広島で被爆の実相を学んだ若い世代が国際社会で活躍できるよう平和人材育成プログラムを実施しています。引き続き、被爆者の想いを未来につなぎ、世界に向けて平和のメッセージを発信し続けていきます。
