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プログラミングする様子

地域のお悩みを解決!? 広島AIラボって?

ひろしまを学ぶ |

AI(人工知能)で広島の未来を切り開く―。そんな志を持った者たちが、広島県庁内の「広島AIラボ」に集まりました。

自ら地域の課題を発掘し、AIを活用した解決策を探っています。どんなことが実現できるのか?活動現場に潜入しました!

広島AIラボって?

広島AIラボの業務風景

日常の困ったことを、AIで解決!広島AIラボは、業務や施策にAIの力を取り込むため、2024年9月に誕生しました。地域の困り事の解決や効率的な業務の実現を目指します。

メンバーはAIに精通した5人。各々の興味に基づき、テーマを決めて自由に研究しています。地域に出向いて課題を探し、さまざまな有識者へのヒアリングや最新のAI技術の調査などの「探求活動」を続けています。

AIの精鋭部隊・5人に聞く

5名のメンバー

広島AIラボでの研究について、 (左から) 立仙 (りっせん) 和巳さん、大島風雅さん、川崎恵祐さん、森永雄一朗さん、江盛翔太さんに聞きました。

立仙さん
中山間地域の高齢者の孤立や孤独死を防ぐために何ができるか探っています。まずは夫婦が健康に寄り添うことで何ができるかを焦点に考えています。
住民が課題を自分ごととして捉え、意識を高めていくことにつなげたい。自治体のAIを活用した支援と住民がうまくマッチングできるような仕組みを目指しています。
大島さん
音データとAIを組み合わせ、水道管の漏水検知の効率化を探っています。現在、漏水箇所の特定に「音聴検査」を行っていますが、交通量や騒音が多いと日中に検査できないので、時間も人的コストもかかります。
周囲の雑音から、漏水音を分離する仕組みを構築し、原因箇所を特定できれば検査員の労力もコストも削減できます。
川崎さん
AIの技術面から見て、何ができるのか試作品を作って検証しています。例えば、「音声の認識」「テキストの生成」「音声の合成」を組み合わせて、県庁の来訪者向けの案内AIボットを作ってみようとか。
自治体の人やメンバーたちと「この技術を組み合わせたら、こんな新しいことができる」というアイデアを広げていきたいです。
森永さん
高校生の進路支援に活用したいです。生徒とAIが対話し、その内容から、お勧めの研究室を提案してくれるシステムです。偏差値以外の要素から生徒の関心に合った進路先を見つけ出します。
江盛さん
広島県庁内の業務改善にAIを役立てたいです。職員が業務を可視化・分析・改善できる仕組みを作っています。
現状と課題を把握するために行った調査では、多くの職員が「今のやり方には非効率な点があり、見直す余地がある」と感じていることが分かりました。ヒアリングを重ね、業務フローを作るなど進めています。

日常の困り事に 試作品も

受付AIボットの会話画面

「いらっしゃいませ。広島県庁の受付案内です。」

「川崎さんに用があって来ました。」

「どちらの所属の川崎でしょうか。」

「DX推進と聞いているのですが。」

「DX推進チームですね。本館の3階にお越し下さい。」

川崎さんの試作品「県庁の受付AIボット」。来訪者が質問すると、AIが応答します。声の認識もでき、事前に読み取った音声の声色で応答してくれます。

アイデアの手本となる試作品を作り、AIの可能性を広げていきます。川崎さんは「AIを楽しく使おうという雰囲気を作りたい。新しいことに挑戦し、『広島はAIの中心地』となるくらい活動を盛り上げたいです」と語っていました。

地域の課題発見・解決に向けて

江田島市との意見交換

広島AIラボのメンバーは、取組を県内市町に紹介し、AI活用の推進や連携を図っています。9月は、江田島市役所の職員たちと意見交換をしました。

まずは、5人の研究内容を発表。江田島市は、申請書などの読み取りや、議会の音声データの文字起こし、衛星画像を用いて、休耕地になっている農地を識別することなどにAIを活用している現状を報告しました。

最後はグループに分かれ、江田島市でAIを活用する可能性やアイデアを話し合いました。「法改正による新旧対照表を作れないか」「米軍機の航空機騒音をAIで測定したい」などの声が出ました。

広島AIラボは今後も、AIの知見や理解を深め、地域とともに具体的な活用方法を模索していきます。

広島AIラボの可能性

DX推進担当の安藤良将部長

広島AIラボの目的について、チームをまとめるDX推進担当の安藤良将部長に聞きました。

結成の狙いは。

AI技術は急速に進歩する一方、日常生活や業務への導入が十分に進んでいません。また、「AI=文字起こしに使うもの」という固定観念も生まれつつあり、本来のポテンシャルを発揮できずにいます。メンバーはその概念を打破し、活用の可能性を広げて、多くの人に伝えるという役割を持っています。

今まで考えつかなかったような途方もない使い方ではなく、実践的に使えるシーンを増やすことが大切だと思っています。

期待することを教えてください。

「地域の課題」を難しく捉えず、身近な困ったことを一つずつ解決することが、結果として社会問題の解決につながります。

AIは専門家だけではなく、誰もが使えるもの。「私には関係ない」と思う人にも、日常の困り事はあり、それをAIで解決できるかもしれません。活動を通じて、人々のマインドを変え、AIで解決することをどんどん増やしていきたいです。

暮らしをもっと豊かに 夢が現実に?

「AIって難しそう」。そう思っていませんか?AIは私たちの暮らしに自然と入り込み、気付かないうちに使っていることも。文章や画像、音声を作り出すだけでなく、日常生活の困りごとのヒントをくれるなど、暮らしを前に進める知恵の拠り所にもなってくれています。

AIを社会のために、どう活用するか―。広島県はその可能性を考え、より暮らしやすい街の実現を目指しています。そのアイデアを考えているのが「広島AIラボ」。メンバーの活躍に期待が膨らみます。あなたの「あったらいいな」という夢も、AIが叶えてくれるかもしれません。