広島叡智学園の授業を調査!全国から注目される学校の“学び”とは?
いま、県内だけでなく全国から注目を集める学校が大崎上島町にあります。それは、県立広島叡智学園 中学校・高等学校。大人も思わず「今からでも通いたい」と思ってしまう(!?)学校や授業の様子を取材してきました。
生涯にわたって学び続けるための力を育てる
昨年4月に開校した県立の中高一貫校、広島叡智学園。広島版「学びの変革」アクション・プランのモデル校として、生徒が「自ら考え学ぶ力を身につける」教育をいち早く実践している学校です。
授業も、教師が一方的に教えるのではなく、生徒が自ら課題を設定し、その解決方法を考えられるよう心がけているとのこと。「学び方を学ぶ」授業を行うことで、生徒たちが生涯にわたって、探求心をもって学び続けていくための力を育てているんです。
・・・そう聞くと、どんな授業が行われているのか、生徒たちはどのように学んでいるのか気になりますよね。さあ、広島叡智学園の授業に潜入してみましょう。
技術の授業のテーマは「社長からの製作依頼」!?
今回取材したのは、中学2年生の「技術」の授業です。生徒たちが取り組んでいたのは廃材を使った製品作り。グループごとに学校で必要なPCラックやブックエンド、靴箱、ベンチなどを製作していたようで、聞くと「社長からの依頼」によるものだとか。 「社長?」「依頼?」頭の中に「?」が浮かんでいたところ、生徒たちが「グループごとに、学校内の架空の会社 (社長役は先生たち) から依頼された製品を作っているんです」と教えてくれました。
しかも、依頼の背景や目的を聞きながら、何が必要か、どのように製作するかを自分たちで調べ、デザインを起こし、依頼元の社長に報告しながら製作を進めているとのこと。いやいや、それって大人がビジネスでやっていることと同じですよね…?確かに、製作の様子を眺めていると、グループの中で「ああしよう。こうしよう」と話していたかと思えば、一人がタブレットでデザインを調べたり、一人は出来上がった部分の使い方を確認したり、それぞれが目的意識を持ち、チームワークを発揮しながら依頼の製品を作っていきます。
取材日当日には、自然の素材を活かしたベンチや、本を並べるだけでなく立ててディスプレイできる本棚など、工夫をこらした製品がいくつか完成していました。「ひろしま県民テレビ」の取材で訪れた小嶋研究員も、ベンチに座って「立派!」と思わず大きな声を上げていましたよ。
製品を作っていた生徒たちに話を聞いてみると、
- 社長さん (依頼者) のニーズを聞きながら、使い方も考えて作った。
- 失敗もあったけど、考えながら作っているので楽しい。
- 自分が何をしたら良いか考えられるので、もっと学びたいと思う。
という答えが。なるほど。「学び方を学ぶ」というのは、技術の授業においても、例えば「PCラックの作り方」を学び、同じものを一緒に作るのではなく、「なぜそれを作るのか」を理解した上で、どのようにデザインするか、どのように製作するかなどを自分たちで考え、試行錯誤しながら取り組むということなんですね。生徒たちのはつらつとした様子を見ながら、広島叡智学園の授業の面白さを感じた気がします。
また、技術の教室の隣では、同じく2年生の理科の授業が行われていました。広島叡智学園と言えば、「生きた英語力の育成」も特徴の一つ。発熱や吸熱についての実験が行われていたこの日の授業でも、外国人の先生の英語での問いかけに対して、声をそろえて答える様子が印象的でした。英語は、このような授業の場だけでなく、放課後活動や海外の講師とのオンラインレッスンなどを通して、実践的な力を身につけられるようになっているんですって。
生徒たちは、今日も自ら考え、試行錯誤しながら学んでいるはず。今後、生徒たちが、どんな環境でも自身で学び続ける力を身につけるとともに、地域や世界の課題解決にチャレンジできる人材として成長していくことを願っています。