【目次】
循環器病には前兆がある疾患があります。
発症時には、速やかに受診し、治療を受けることでより高い治療の効果や後遺症の軽減が見込まれます。
そのため、循環器病のサインをあらかじめ知っておくことがとても大切です。
脳卒中では以下のような症状が突然起こります。
片方の手足・顔半分の麻痺・しびれが起こる(手足のみ、顔のみの場合もあります) |
ロレツが回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない |
力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする |
片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける |
経験したことのない激しい頭痛がする |
脳卒中の症状は様々ですが、共通している特徴は、突然生じることです。大部分が症状の始まりを「何時何分から」というように特定できます。
脳梗塞と脳出血の代表的症状で、最も多いのは片麻痺で、顔の右か左の半分、片方の手・足が突然に動かなくなります。同じ部位の感覚が鈍くなったり、しびれが生じたりすることもあります。両側の指先が徐々に、あるいは時々、しびれるような場合は、脳卒中の症状ではありません。次に多いのは、突然、呂律が回らなくなったり、言葉が出なくなったり、相手の言葉を理解できなくなります。また、失調と言って、手足の麻痺はないのに、急に足元がふらついて、立ったり、歩いたりできなることもあります。目の症状が生じることもあります。例えば、突然に片目の視力がなくなったり、視野の一部が見えなくなったり、物が二重に見えたりします。これらの症状に加えて、意識状態が悪くなることもあります。軽い場合は、なんとなくぼんやりしている、という印象ですが、重症の場合は、強く呼びかけたり、つねったりしても、目を閉じたままで反応がありません。
くも膜下出血の症状は、今までに経験したことのない激しい頭痛が特徴的です。重症の場合は意識障害も生じます。頭痛の強さは発症時にピークに達し、その後も痛みは持続します。同時に、嘔吐することもしばしばです。「最近なんとなく頭が痛い」、といったように、開始時刻を特定できない場合は、くも膜下出血ではないでしょう。
脳出血の場合も頭痛を伴うことがありますが、その場合は、先ほど申し上げた片麻痺、言語障害、失調、視覚障害などを伴っています。
脳卒中が疑われる場合は、救急車を呼ぶなどして、一刻も早く、専門的な病院を受診してください。
運動するといつも胸が締め付けられるような症状が出る。休むとスーッとよくなる。
階段を登ったり早足になったりするときに限って起きるこのような胸の症状は、狭心症のサインです。
狭心症は、心臓を栄養する血管(冠動脈)が狭くなることで血流が制限され、その名の通り「胸が狭くなったような痛み(狭心痛)」が出る心臓の病気です。人によっては「押される感じ」と表現します。運動するときに限って出現する理由は、運動すると心拍数が上がるからです。心拍数が上がるということは心臓がより多くのエネルギーを消費しているということですが、ここで冠動脈が狭いと血流が制限され十分なエネルギーが得られなくなります。その結果、心臓が悲鳴を上げて狭心症を出現させます。
運動と関係なくこの症状が突然激痛として出現する場合は心筋梗塞のサインです。一時的に自然に改善することもありますが、そうだとしても放置すれば命を奪われる可能性が高い緊急事態です。すぐに救急車を呼びましょう。
高齢者の心不全は、症状がはっきり現れないことも多く、症状があっても「年のせい」と思い込み、放置していることが少なくありません。しかし、進行してからでは治療は難しいため、いかに早く見つけて、治療を始めるかが、その後の人生を左右します。
「少し歩いただけで息切れがする」「重い荷物を持って歩けなくなった」など、普通にできていたことが大変になったら、「老化」と片付けず、かかりつけ医に相談するようにしましょう。
また、「むくみ」や「体重増加」も心不全の前兆です。心臓の機能が低下すると、血液の流れが悪くなり、体全体に水が溜まりやすくなります。水分がまわって腫れる症候であるむくみは、「浮腫」ともいわれ、体を起こしているとたまった水は下半身に移動するため、通常は下肢に見られます。例えばすねや足の甲を指で押さえつけると、そのままへこみ、圧痕が残るという特徴がみられます。浮腫が進むとたまった水分の分だけ体重も増加します。理由なくむくみが出たり、短期間で体重が増えたりした場合は、早めの対処を心がけてください。
そのほか、「疲れやすい」「咳が出る」「食欲不振が続く」といった症状も心不全の危険サインです。どれも一見、心臓とは関係ないように思えますが、こうした症状も見逃さないようにしましょう。